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都市近郊の農業戦略

前回はマルシェを中心とした経営計画を考えてみた。
その中で、マルシェに出品する野菜の品種を多く揃えることが重要であり、多品種を栽培することが必要だと考えた。

今回は都市近郊で農業を営む場合において、多品種少量栽培のメリット・デメリットについて考えてみたい。

まずは都市近郊という地域特性について確認してみたい。


都市近郊の農業環境

都市近郊の農業とは、都市から1時間~1時間半程度の場所にある農業地帯のことを言うようで、ぼくの環境だと1時間ちょっとあれば車で新宿まで行ける位置にある。
ベットタウンとして発展を遂げた埼玉県某所では、住宅地と農地が混在しており、農地は細かく分割されている。

住宅街と農地が混在している

現在では農業の担い手不足から農地の貸し借りが頻繁に行われており、一軒の農家が一続きの農地を管理することは少なく、いくつかの畑を飛び地で所有するのが一般的だ。

都市近郊ならではの物流網

都市近郊の農業の特徴として、都内へ流通するルートがそれなりに整備されている所があげられる。
複数店舗の直売所を経営する会社が出荷された野菜を他店へ輸送したり、地元農家から野菜を買い上げで都内の加工メーカーへ卸すなど、流通ネットワークは日進月歩なのだ。
しかし、このルートで多品種の野菜を出荷するのは、非効率的と言わざるを得ない
品目点数が多いことで出荷手続きに手間がかかってしまうためだ。
生産の手間も考えれば、一品目を大量に作りまとめて出荷するのが建設的と言える。
合理性を追求すると、結局大量生産型になってしまうのだ。
つまり多品種少量生産は、特性上、物流に乗りにくいというデメリットを持っていると言える。

物流網の落とし穴

ここで、都市を中心とした物流網に落とし穴がある。
都市近郊の農家は精力的に生産と出荷をしているが、都心までわずか1時間程度の立地でありながら、買い物困難な地域が散見さえるのだ。

どういうことか。

地域から大手スーパーが撤退したり、高齢化による車を所持しない人が増えたことで行動できる範囲で買い物をすることが出来なくなっているのだ。
物流網から漏れている地域が存在しているのである。

これは結構深刻で、自治体による買い物支援のような活動や、このnoteの起点にもなっている地域のマルシェが活発化していることが問題を映しだしている。

物流網から漏れている地域に野菜を届ける

ならば、という事で、買い物困難な層に対するマーケットを開いてあげれば良い。
そこには確実にニーズがあり、おまけに自分の作業環境から近い場所で完結可能なのだ。
近隣の公園や施設、イベントや街角など、許可さえもらえれば野菜を販売できる。
生産者が直接販売すれば生産者の顔も見れてより安心できるというものだ。

ぼくはいま、この物流という現代の武器に逆らって地域に野菜を届ける農家になろうとしている。
まだまだ始まったばかりだが、マルシェで生活するというスタイルは、これからの時代にあっていると思っている。

CSA(Community Supported Agriculture|地域支援型農業)

CSAという言葉がある。
Community Supported Agricultureの略で、地域支援型農業という意味だ。
マルシェで生活するとなると、販売も担うことになるため必然的に農業に割ける時間が少なくなってしまう。
販売にばかり力を入れて畑が草だらけでは本末転倒だ。

この問題を解決するには、生産者と地域と消費者をつなぐ、農業をサポートする個人や団体の存在が望まれる。
次いで、地域活性を含めた農業の発展性について考えてみたい。

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