マネジメントとか組織開発を考える時に役立ったワードのまとめ〜前編〜
僕が勤めるディップ株式会社では、毎年QiitaのAdventCalendarに参加していまして、今年は僕も参加して2日分を担当することにしました。
で、せっかく記事として書いたので、noteの方にも転載しようかなと思ったのがこの記事です。
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はじめに
この記事では、僕がマネジメントとか組織開発を考える時に役立った概念や理論や行動科学のワードをざっくりと紹介していきます。
■この記事でわかること
マネジメントや組織開発に関係する行動科学とか心理学用語とかの存在を知ることができる。
■この記事の注意点
・紹介とは言うものの、基本的に概要程度の浅いことしか書いてない
・先人がとても分かりやすくまとめてくれたWebサイトや本があるので、気になるワードは検索するのを推奨
・残りはほとんど僕の感想である
・あと、基本的に文字だらけ
■紹介するワード一覧
1. 心理的安全性
2. 二要因理論
3. DDO
4. タックマンモデル
5. 期待理論
6. トランザクティブ・メモリー
7. 成功循環モデル
8. オートクライン
9. アクノレッジメント
10. ピグマリオン効果
11. 重要思考
12. ワーキングメモリ
前篇では1~6まで紹介します。
この時点で、『全部知ってるよ!』とか『こんなの常識だぜ』って方は、そっ閉じでいいと思います。
もしくは僕と飲みに行きましょう!ぜひ語り合いたい。
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はい、ではさっそく紹介していきたいと思います。
1.心理的安全性
『で、出たー(笑』って声が聞こえてきますね。
まぁでも昨今のチームについて語る上で、これは外せないです!
【概要】
言わずと知れた、Google社の「Project Aristotle」というプロジェクトの研究結果で、チームの成功に重要な要素として他者の反応に影響を受けず、自然体でいられる環境や雰囲気が大事という内容です。
ここ数年で、日本にも急速にこの考え方や重要性が広まりましたね。
【感想】
内容自体はすごく大事だと思います。個人的に共感度も半端じゃない。
コレを知ってからしばらくは、事あるたびに『やっぱり心理的安全性がさー』と言ってました(笑
当時のチームメンバーは『(また言ってるよ...)』と思っていたに違いない。
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特に語ることなく『まぁ大事だよね』という話しで終わって良い気もしますが...
強いて言うなら、あまりにも爆発的に広まった弊害なのか、各々が独自な解釈をしたり、自分にとって都合のいい使い方をするようになってないかなーなんて思ったりしてます。
例えば、「あくまでも5つの鍵(下図)の一つである」とか、「成功するチームに重要な要素だけど、コレがないと成功しないわけではない」という部分が抜けてたり。
出典https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/
あとは『とにかく言いたいことを言えばいいんだよね!』という使われ方も目にしたことがあります。
言いたいことは分かるんだけど、遠慮はなくても配慮がなくなっちゃいけないんじゃないかな、と思うケースがちらほら。
言葉だけが一人歩きして、都合の良い解釈が一般化してしまった。という流れになんとなく、「アジャイル開発」という手法が広まった時と似た匂いを感じる。
2.二要因理論
臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグ氏の理論。
【概要】
人の「満足と感じる要因」と「不満足を感じる要因」はそれぞれ別のものですよ、という考え方。
つまり、職場における「不満足」をがんばって取り除いても、必ずしも連動して「満足」度が上がるわけではありませんってこと。
出典 https://kailabo.com/leaving-jobs/6306
【感想】
職場環境を改善する施策を考える時にとても参考になりました。
常々『ポジティブとネガティブって、別に対極な感情じゃないよなー』なんて考えていたりもしたので、とても腹落ち出来ました。
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動機づけ要因は長期的、衛生要因は短期的な影響と言われているので、自分の組織やチームにはどっちの要素が足りていないのかも含めて施策を設計するとよいかもですね。
あと似た概念で「マズローの欲求段階説」ってのがあります。こっちの方が知ってる人多いはず。
『マズローの言うことは分かるけど、イマイチ使いにくいよ!』って人達は、より実践的な概念として活用出来るかも。
3.DDO
Deliberately Developmental Organizationの略でDDO。日本語にすると『発達指向型組織』。
ロバート・キーガン教授らが提唱する一種の企業形態ですね。
【概要】
結構難しい概念だなと思ってはいるんですが、誤解を恐れずざっくり書くと...
『弱さを見せてそれを克服することで大人も知性が発達(成長)するよ』という概念。
この発達指向型組織を支えているのがエッジ、ホーム、グルーヴという考え方で、それぞれが相互に影響を与えることで人と組織の進化を可能としています。
出典 http://www.authentic-a.com/solution/solution600/
【感想】
おもしろいなと思ったのは、『弱さを見せ合う』というコトを前提に、それを成長の資産と捉えているとこですね。
心理的安全性とかで『弱さも見せ合えるようになろうね』という考え方は広まったと思いますが、更にそこから『見せ合った弱みを互いにぶっ叩いて一緒に成長しようぜヒャッハー』と言っているようにも見えるなと。
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弱さを見せられるコトで安心・安全を得られるだけでなく、それを知性の発達に昇華できるなら、そりゃ強い組織になりそうですね。
ただ正直、この組織を作るってかなーり難易度高そうだなーと思わざるをえない。
4.タックマンモデル
心理学者のブルース・タックマンが示したフレームワーク。
【概要】
チームってのは成長段階があって、形成期 → 混乱期 → 統一期 → 機能期 → (散会期)という4つの時期があるよ、と。
で、それぞれの時期の特徴は以下の通り。
形成期:チームが出来た段階。大きな衝突は少ない。
混乱期:段々お互いの事が分かってきて、意見の食い違いや衝突により文字通り混乱が発生する段階。
統一期:衝突の原因とか意見の相違を元に規範やガイドラインが生まれ、徐々に意思統一されていく段階。
機能期:意思統一がなされ、共通の目標に向かって生産性高く活動できる状態。
出典 https://www.kikakulabo.com/topic-soshiki-tm/
【感想】
僕自身PMとして働いていた時、案件ごとに色々な人が離合集散していたので結構実感しています。
チームが出来た時ってまだお互いよく知らないし様子見をしているので、そんなに衝突って起こらない。
それで油断してると、なぁなぁでやってた事でいつの間にか問題だらけ、なんてことがよくありました(白目
仕事の進め方とかならまだしも、「仕事中に雑談ってどうなの?」とか「話しかけにくいからイヤホンするなよ」とか「あいつお昼時間長くね?」とか、結構ささいなコトから荒れていくケースも多い。
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このモデルの肝って混乱期の存在が前提になってるとこだと思うんですよね。
いくら過去の経験を元に荒れやすい要素に対して予め対策しても、人が変われば起こる問題も変わるわけで、少なからず問題は発生するもんだと。大小はあれど。
その上で、チーム全体が統一期や機能期に目を向けて、問題を自分事として向き合っていければ、チームの崩壊を避けたり、より生産性高く働くチームになれる可能性がありますよね。
5.期待理論
ヴィクター・ヴルームのモチベーション理論
【概要】
モチベーションは「努力したことで得られる結果への期待値」と「その行為で得られる報酬の魅力」によって左右されるよ。という理論。
数式として簡略化すると「モチベーション = 期待 × 誘意性」こうなる。
【感想】
モチベーションを構成する要素を分かりやすく端的に数式化してくれたヤッター。
得られる結果や報酬のコントロールが出来ないと、必ずしも上がるわけではないけどー。
「説明不十分になってないかな?」という見直しに役立てるとよさげ。後編で書く予定のピグマリオン効果も同じくモチベーション理論の一種なので、比較してみてみると面白いかもしれない。
6.トランザクティブメモリー
社会心理学者のダニエル・ウェグナー氏が提唱した、組織学習に関する概念。
【概要】
全員が同じことを知っている状態よりも、「誰が何を知っているか」を知っている状態を目指す考え方。
言い方を変えると、みんなが『◯◯についてはAさんが一番詳しい』というコトを知っている状態ですね。
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比較的小規模な組織やチームであれば、みんなが同じ情報を持っている方が効率的と言われていますが、規模が大きくなると共有コストが馬鹿になりません。
『うちの会社はMTGが多すぎる!』なんてボヤく原因の一つになっている組織もありそうな。
それであれば、知識や情報そのものを共有するのではなく、必要に応じて一番最適な人に聞ける状態にしてしまおうって考えです。
アメリカのIBMにはこの「トランザクティブメモリー専門職」なる職種があり、情報の集約と流通を担っているそうです。
【感想】
自分がこの考えを取り入れた時は朝礼ってすぐに形骸化しちゃうね問題に取り組んでいた時でした。
一般的なタスク共有を朝礼で行っていたんですが、どうしても「ただ聞いているだけ」の状態に『これって意味があるのか』という疑問がチーム内で議論されてました。
その疑問を埋めてくれたのがこのトランザクティブメモリーで、
Q.何のために朝礼でタスクを共有してるんだっけ?
A.「誰が何をしているか、何を知っているかを知る」為でいいんじゃね?
となりました。めでたしめでたし。
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終わりに**
ということで、前編でした。
前編は比較的、理論とか行動科学が多めでしたね。
後編はもう少し用語的なのが多くなりそう。
で、軽い気持ちで書き始めたんですが、思ったよりしんどい(笑
改めて調べ直したり、自分の頭を整理するいいキッカケではあったんですが、間違ったコトはもちろん、イチ意見を一般論や通説のように書いてもよくないなーなんて思いながら、結構注意深く書く羽目になりました。
(それでも明らかに違うこと書いてたら、優しくご指摘くださいませ)
最初に書いた通り、言葉の存在を知ってもらって、あとは調べていい感じに活用してください!
それではまた後編で。