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大事な袋詰め

これまで数度に渡り、問屋の仕事をご紹介してきました。

あまり注目されることがないので見落とされがちですが、大事な大事な袋詰め。これも問屋の仕事です。問屋だけでなく小売店、専門の袋詰め業者などもありますが、品質を一番に保って出荷するまで管理するという点でみると問屋にとって欠かせないお仕事です。

精撰加工・火入れ・合組(ブレンド)まで終えたお茶は20~40kg程度の大きなサイズで管理されるのが主流です。現代では窒素ガスを充填した密閉アルミ袋に入れた上、段ボールで冷蔵保存することが多いです。茶葉の変質を少しでも抑える為です。では、茶が変質する要因とは何でしょうか。

①酸素
②水分
③熱
④光線(紫外線)

①酸化による影響
主に色味と味わいに影響を与えます。茶に含まれるカテキンは本来は無色ですが、酸化すると褐変(赤く変色)します。酸化の進んだお茶を淹れると、少し赤濁りしている印象になります。また、アスコルビン酸(ビタミンC)も酸化により減少してしまいます。酸化により15%以上減少してしまうと味が劣化したと感じてしまうという研究結果もあります。※1
香気に関係する成分として、不飽和脂肪酸であるリノレン酸、リノール酸が含まれているが、こちらも酸化により変質が起きます。変質した脂質は茶の品質には悪影響を及ぼします。

②水分による影響
茶葉は乾物である為、大気中の水分を吸湿しやすいです。水分量が多くなると、酸化の進みも早くなります。また、水分量が多い方がアスコルビン酸の減少が早いので、酸化を助長すると考えられます。

③熱による影響
緑茶の緑色の成分クロロフィルは熱の影響を受けやすく、フェオフィチンへと変質してしまいます。フェオフィチンは褐色みがあるため、緑が減り赤く濁ったような見た目になります。

④光線(紫外線)による影響
クロロフィルは光にも影響を受けやすいので、光にさらされていると褐変していきます。

お茶の袋は意外にもかなり丈夫な物で、何層にもコーティングがされています。光や湿気、酸素を通さないように、分厚く作られています。袋の口を熱で溶かして封をしますが、この時袋の中に酸素が残らないように真空状態にしたり窒素ガスで充填したり、脱酸素剤などを使用します。外気に触れないようにした上で、低温で保存する事によって、いつでも美味しいお茶が飲めるようになるわけです。

問屋によって仕上げられたお茶は速やかに袋詰めされ、なるべく外気に触れないまま密閉、流通して各家庭へ届けられるのです。ですので、お茶の袋を開けてしまったら、早い内に飲みきってしまう方が、風味を十分に楽しめます。使い切れる分だけ小分けにして、密閉されたジップロックなどに入れて冷蔵庫で保存すると、少し延命処置にはなります。

保存状態によって、かなり品質が変わりますので、きちんと保存して、美味しく楽しんでください。

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