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淹れ方・味の考え方

ようやくですね。
日本茶の淹れ方を考えていきましょう。
これまで話してきたように、日本の緑茶はさまざまな工程を踏んで家庭ないしお店までたどり着きます。その最後の部分、お茶を淹れるところでうまくいかなければもったいないですよね。

・緑茶は蒸されて揉まれている
畑で収穫された時の茶葉は楕円形を成している一枚の葉です。これが蒸されて揉まれています。生の状態のフレッシュな香りを残し、製造不良による苦味なく仕上げられたものが良茶と考えられます。揉まれた茶葉は紡錘状に伸び、撚られた状態で乾燥しています。お茶は乾物ですので、撚られた葉を元の生の葉に戻していくことを考えるのが第一歩です。

・旨味から始まる
緑茶の味わいは大雑把に分けて、【旨味】と【苦味】の二種類です。旨味はアミノ酸が主成分で、出汁のような味わいと言えます。苦味はカフェインやカテキンが主成分です。まだ葉が開かないうちは旨味が主に出やすく、葉の撚れが解け開いていくと苦味が出やすくなります。

・大事なのはバランス
旨味も苦味もどちらかが優れていてどちらかが悪いと言うものではなく、バランスが大事です。甘みがあってトロッとした舌触りのお茶が楽しみたければ旨味を重視するため少し低温で淹れてみる。苦味があってキリッとした舌触りのお茶が楽しみたければ高温でさっと淹れてみる。旨味と苦味の最適なバランスは人や体調、合わせるものやシーンによって違うものです。これが正解、と言う淹れ方がないことも理解しましょう。

・香りの発揚の仕方
香りも味と同じように、撚られている状態と開いている状態で異なります。撚られている時は火香や製造の時についた香り、重みのある香りが強く出てきます。葉が開くと内側に封じ込められていたフレッシュな畑にあった時の香りが出てきます。どちらにせよ高温であった方が香りは発揚しやすく感じやすいものです。味の抽出と重ねて考えていく必要があります。

湯を使い、味・香りをどのくらい抽出・発揚させるのか、非常にシンプルでブレの大きい作業になります。お茶を淹れるのに再現性がないと言われるのは、はっきりとした特徴がないが故です。珈琲や紅茶、ウィスキーやワインのように、これが特徴、と言うものがはっきりと言えないのです。

次回は具体的に、どう淹れるのか、考えていきましょう。

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