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問屋のお仕事

お茶業界は大きく3つの業態に分かれます。

①農家 ②問屋 ③小売店
かなりおおざっぱですが、以前の記事に書いております。(また詳しく書くときがあるかも)

今回は問屋に就職した上での経験を踏まえて、問屋の仕事内容に触れていきたいと思います。
※個人の見解を含みます。また、地域や会社・人によって一般化されない部分があることもご承知ください

問屋さんの強みとしては大きな貯蔵庫を持っていることです。
大きな貯蔵庫があるということは、たくさんのお茶を仕入れることが出来るということ。つまり資本が大きいと言うことです。

荒茶は乾燥度合いがまだ低いので、より低温での保管が必要です。荒茶の水分含有量は5%未満。仕上げ茶の水分含有量は3%未満です。
茶の水分も少ない方が変質が少なくなり、3%未満を基準に仕上げられます。
荒茶の方がより低温で管理したいですね。

お茶の変質は基本的に酸化によって起こります。酸素・湿度・温度・水分量・光の条件によって酸化の速度や影響が変わります。低温であればあるほど茶の変質は緩やかになるので、茶の貯蔵庫はマイナス20℃程度の冷凍庫か5℃未満の冷蔵庫。密閉容器で管理されていない場合は湿度も重要で55~65%に保つことが大事です。

荒茶は特に冷凍庫で保存される事が多いです。茶の変質を抑える為に、冷凍保存され、鮮度が保てる分だけ解凍し、その都度仕上げていきます。冷凍庫からも、すぐ出してはいけません。冷蔵庫のような予備室に移し一日。冷暗所でまた一日。それから常温の工場へ移し、じんわりと茶温を上げていきます。
お茶の葉は乾燥しているため、熱伝導が悪く、冷凍されるのも解凍されるのも時間がかかります。四角い段ボールや大海と呼ばれるクラフトの袋に包まれているお茶は、真ん中の部分からなかなか冷気が抜けません。なので、慎重にゆっくり温度を下げていきます。おうちで冷凍庫に入れてしまっているお茶も使うときも同じで、一晩常温に戻してから開封する方が良いでしょう。

お茶は、品質や特徴・ランクごとにブレンドされていきます。そのブレンドを考えるのが茶商と呼ばれる問屋さん。さまざまなバランスを考えて一年分のお茶をブレンドしなければいけないので、大変な技量が必要です。このブレンドに合わせて、冷凍庫に入れておいた茶葉を解凍するんです。

解凍されたお茶は、精撰加工の工場へ並べられます。これが仕上の工場です。ブレンドし、選別し、火入れをします。ここで大変な力仕事になるわけです。お茶で力仕事? ちょっと想像つかないかも知れません。でも、工場では数百kg〜数tのお茶を一日で仕上げていくのです。それを投入したり取り出したり運んだりするのは、基本人力なんです。もちろん工場によって違うと思いますけど、私は毎日t単位のお茶を右から左へ、上から下へ、下から上へ運んでいました。

ムキムキと胸筋と上腕筋と背筋が鍛えられていったのはまた余談で。

次回は仕上げ工場の次の工程へ行きましょう。


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