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High Jumpの読書記録~コンビニ人間~(ネタバレあり)

High Jumpの読書記録のコーナー!

今回読了した本はこちら!

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村田沙耶香先生の「コンビニ人間」です!

なぜ読んでみたかというと、毎度恒例であるYoutubeチャンネル「ほんタメ」のMCである、あかりんが「純文学入門3選」という動画の中で紹介していて、純文学というジャンルを「なんか難しそう」と食わず嫌いしてきた自分もこの機会に純文学デビューをしてみようと思ったからです。
紹介動画を下に貼っておくので興味のある人は是非見てみてください。

みなさんは「純文学」ってどのようなものだと思っていますか?
自分は、なんか難しい言葉を使っていて自分には読解できない類のものだろうと思っていましたが、あかりんは動画の中で、純文学をこのように定義していました。
「純文学とは"私"の物語である」
どのようなことかというと、物語の中で主人公が、自分自身の内省をしまくって、自分の周りの世界に対して対話を試みようとする。しかし、主人公が不器用な人であることが多いため、周りとの対話の仕方がおかしくなってしまい、読者にカタルシスをもたらす、そんな作品のことを純文学という、と語っていました。
あくまであかりん個人の解釈ですが、これを聴いて、自分は少し読んでみようかなと思ったのも事実です。

さて、自分はそんなこんなで純文学デビューを果たせたわけです。

作品のあらすじを本の帯から引用すると

36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、
毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが......。
「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作

あらすじを読んだだけでも主人公のヤバさが伝わると思いますが、読んでみると想像以上にやばく、衝撃でした。そんな中にも、主人公の感情と、日常自分が持っていた感情が重なるところが多々あり、自分もこんなやばい人の予備軍なんじゃないか、と思うと少しぞわっとしました(笑)
思っていたよりも文体は読みやすく、文量は比較的ライトで、作中で考えさせられるところも多くあり、純文学を素直に楽しめて、好きになりました。
あかりん、ありがとう(笑)

以下印象に残ったところを1つピックアップして紹介しようと思います。
18年もコンビニでアルバイトをしていると、周りの人間から見下されるようなことを言われることも多くある恵子。普通なら落ち込んだり、怒ったりすると思うのだが、そんなときの恵子の考えを表した1文が印象に残ったので紹介します。(以下本文より抜粋)

コンビニで働いていると、そこで働いているということを見下されることが、よくある。興味深いので私は見下している人の顔を見るのが、わりと好きだった。あ、人間だという感じがするのだ。

この文を読んだときに、自分も似たような感情を持っているなあと感じました。
昨年まで自分は喫煙者だったのですが、周りは当然のように非喫煙者が多いので、必然的に日常で肩身が狭くなります。それは全然良いのですが、非喫煙者は基本的に喫煙者を見下したような言葉をかけてきます。
例えば、
「タバコって高くない?よく吸えるね」とか
「そろそろやめようとか、思わないの?」とか(笑)
タバコという人体に害しかないものに対して、高いお金を払って吸っている人間は、自分たちなんかよりも意志の弱い、クズな人間だ。といわんばかりに露骨にバカにしてきます。もちろんほんとに健康を心配して言ってくれる人も中にはいますが、そんな人はごく、ごく一握りです。たいていの人間は「やめたら?」と言いつつも、所詮は他人なので健康を全く心配しておらず、そんな喫煙者よりも自分はよくできた人間だ、と優越感に浸っているのです。喫煙者をバカにしている時の、非喫煙者の顔はほんとに楽しそうなので自分もよく見ます(笑)
そんな人を見下す態度を露骨にとれる人間性のが喫煙者よりも下なんじゃないか?と疑問に思うことがよくあり、それがここの1文と重なりました。
自分は現在非喫煙者ですが、喫煙者に対しては温かい態度をとろうと思います(笑)

初めての純文学でしたが、自分の感情を言語化してくれていたり、知らない感情がでてきたりと、純文学の神髄である、主人公が自分自身を内省する姿を存分に楽しめた気がします。著者である村田沙耶香先生の他の作品も読んでみようかなと思います。今気になってるのは「殺人出産」かなあ。
「コンビニ人間」、純文学を毛嫌いしていた人にも取っ掛かりとして非常におすすめします!まだ読んでいない人は是非一度読んでみてください!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ではまた次回、バイバーイ


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