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これで皮下点滴がもうこわくない

在宅医療ならではの皮下点滴

病棟ではあまり見ない皮下点滴。
病棟から在宅医療へ足を踏み入れた途端に
皮下点滴お願いします、と言われ
「えっ!見たこともやったこともない」と、とまどった
看護師さんは少なくないでしょう。

わたし自身がそう感じたことでもあります。

病棟ではおこなわないのに
なぜ在宅医療では皮下点滴が選択されるのでしょうか?
それには在宅医療の特徴が関係しています。

在宅医療の特徴

在宅医療で最も特徴的なことは
「医師も看護師も常に目が届く範囲にいるわけではない」ということ。
点滴を投与している間、そばでつきっきりは現実的に不可能です。

さらに、それぞれの家で環境が大きく異なること。
患者さん本人の状態、ご家族、家の中の衛生環境などです。

この特徴から、在宅医療での医療処置は
「安全面」への配慮が必要になります。

在宅医療で皮下点滴を選択する理由

  • 事故/自己抜針や点滴漏れのリスク

  • 血管内の感染リスク

  • 在宅医療の対象者は末梢静脈ルートの確保が難しい方が多い

・事故/自己抜針や点滴漏れのリスク

静脈から点滴を投与し始め、その場を離れ次のお宅へ訪問に行く。
投与終了予定時刻に再度訪問して抜針またはロックする。

では、不在の間に事故/自己抜針してしまったら?
…出血してしまいます。
誰もいない、気づかなかったら、止血すらままなりません。

血管外に漏れたら?
痛みや皮膚障害を起こすかもしれません。

一方、皮下点滴なら
万が一抜けてしまっても、出血の危険はありません。
血管内への投与ではないので、漏れるという心配も不要です。
事故があった場合に
出血や血管外漏出といったリスクが低いということが
在宅医療では重要な要素です。

・血管内の感染リスク

衛生面においても、
病院と比べれば清潔とは言い難いことが多いです。
そんな中、末梢静脈ルートを確保するのは感染リスクが高いです。
血管内の感染は全身性に拡大するかもしれません。
皮下投与ならば、局所感染にとどまります。

・在宅医療の対象者は末梢静脈ルートの確保が難しい方が多い

そもそも高齢な患者さんが多く、
かつ、難病であったり、終末期であったりと
末梢静脈ルートの確保が難しい患者さんがほとんどです。

在宅医療の大きな目的のひとつが、苦痛緩和であると考えていますが
苦痛緩和のために薬剤投与したいときに、
末梢静脈ルートを確保しようと何度も何度も穿刺するのってどうでしょう…

決して患者さんにとっては望ましいことではありません。

皮下点滴の場合は、
血管内に針をいれなければならない、ということがなく
基本的に穿刺で失敗はありません。
(部位によって痛みが強かったり、滴下不良などで刺しなおすことはありますが)

これは患者さんにとっても
見守る家族にとっても
穿刺する看護師にとっても
大きなメリットです。

これだけ在宅医療において皮下点滴のメリットがあっても…

これだけ在宅医療においてはメリットがあり
選択されている皮下点滴ですが
冒頭に述べたように「見たこともやったこともない」という不安から
難しい末梢静脈ルート確保を優先したり
「これで本当にあっているのか」と自信が持てずにいたりする
看護師さんが多くいらっしゃいます。

そんな看護師さん達が自信をもって
皮下点滴ができるようになるといいなと思います。


皮下点滴の方法については
Instagramの投稿を参照ください。

資料として使用されたい方向けに
A4サイズ1枚にまとめたものも作成しました。

よろしければお使いください。

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