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転職活動で景色がセピア色にかわった瞬間

私は、自分の人生の中でまわりの景色がセピア色にかわった瞬間が一度だけありました。
最初の転職活動をしていたときでした。
営業の仕事から総務の仕事へ転換しようと転職活動をはじめました。
営業の仕事をやめてから、総務の仕事を探していましたが、転職の事情はよく知りませんでした。

転職には、仕事に対する意欲と動機が大切だ、とだけ考えていた私は、ある日、某大手転職支援企業を訪ねました。
その企業のキャリアアドバイザーは「あなたは、10年以上営業をやってきたのでしょう。しかも年齢は35歳ですよね。総務や人事の仕事の経験があれば、転職も可能でしょうが、あなたの年齢では営業職しか転職はできませんよ」と言われ、なにやら取り出してきた転職可能な企業情報は、私が在籍していた企業の代理店でした。

私は、がくぜんとして、その企業を後にしました。
ビルの外に出た瞬間でしょうか。
まわりの景色がセピア色に見えました。
夕暮れ時でしたが、一生忘れない光景。
孤独をかみしめた瞬間。。。
今でも脳裏に、はっきりと焼き付いています。

私は、今でも同じなのですが、あまり積極的に情報に接することがありませんから、世の中の流れというものに疎いところがあります。
学生時代、私は就職活動のやり方もほとんど知りませんでした。
そのせいでしょうか、新聞の求人広告をみて就職活動をしていました。

社会人になっても自分の想いと動機を優先して仕事をしてきたのでした。
当然、転職も、経験なしの想いと動機だけの勝負です。
営業職を退職した後、送付したすべての履歴書がすぐに返却されてきました。
当然です。
総務の仕事経験がないのですから。。。

そんなときだったでしょうか。
妻が「こんなのあったよ」と、私のところへソニー子会社が募集していた新聞の求人広告の切り抜きをもってきてくれました。
私は、履歴書を出すことに慣れていましたから、さっそくソニー子会社へ郵便で履歴書を送りました。

今回の転職活動ではじめて筆記試験の案内通知が自宅に届きました。
筆記試験と聞いただけで、私は不合格をイメージしましたが、次の面接試験の案内が、またくるではないですか。
まぁ、ここまでだな、と観念していましたが、自分の道を切り開いていかなくてはならない私には、不合格覚悟でもいくほかありません。

なんと合格でした。
入社後、面接時に人事部長だと思っていた人は社長でした。
私が、どうして私を採用してくれたのですか、と聞くと、この社長は「ソニーは、やりたい人間に、やりたい仕事をしてもらって大きくなったからだ」と話してくれました。
なるほど。。。

私は、管理部門の仕事をする人間は、営業などの現場を知っていることが必要だ、と面接のときに力説しました。
このとき、この社長は、そんなにやりたいのか、と言うので、どうしてもやりたいです、と私はしっかりと確信をこめて発言しました。
私の想いと動機だけで、この社長は採用してくれました。
もっとも、内情は複数の面接官の合議制で採否の決定をおこなったていたようですから、年齢、経験がないことなど、私の採用に関して揉めたようです。
それでもなんとか合格することができました。
ただただ、私にとって運がよかっただけです。
しかし、私の人生にとってこの出会いがなければ、おそらくですが、総務や人事、そして経理の仕事ができるというチャンスはなかったでしょう。
私の人生を変えてもらい、しかもその後の人生を豊かにしていくことができた決定的な出会いとなりました。
まさに運命的な出会いというほかありませんでした。

あのセピア色の景色をみて1年のときが過ぎていたでしょうか。。。



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