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原状回復トラブル 不動産屋の役割とは

賃貸借契約での3大トラブルといえば、

・騒音問題
・家賃滞納問題
・退去時の原状回復費用問題

このうち「家賃滞納問題」は、
家賃保証会社の出現で解決しつつあります。

「騒音問題」については、なかなか難しいところで、
問題が発生してしまうと、
どちらかが退去するまで終わらないことが多い。

本日は、「原状回復費問題」について書きたいと思います。



賃貸借契約書って、
細かく書かれているようで、大事なところが抽象的だと思う。
文章が難しくてわかりにくいし。

そんなことを、弁護士さんに言ったことがあります。

「解釈のしかたに誤解を生まないような文体になっている」

「貸主と借主で内容を決めるオーダーメイド契約が理想だが、
 現状はなかなか難しい」

そんな回答を頂きました。

確かに、両者で決めたことを正確に文章にするのは難しい。
どんなにしっかり書面を取り交わしても、
言った言わないで揉める話は無くならない。

令和2年に民法が改正されてから、
契約書に「退去時の借主負担の項目と金額」が記載されている
契約書が多くなりました。

おかげで「借主の署名捺印された契約書」をもとに、
スムーズに退去清算が出来るようになって
かなりトラブルが軽減されたと思う。

だけど、どちらが負担するか分からない【グレーな部分】の
トラブル要因は残されたままになっています。

わたしの「キレイさ」の感覚と
あなたの「キレイさ」の感覚は違う。

この「認識の違い」がトラブルに繋がっていくのだと思います。


キレイに使ってるもん


退去時のトラブルは防ぐことができるのか?


私が不動産会社で働き始めたばかりの頃、
退去立会のお部屋の中で、
「認識の違い」を痛感した出来事がありました。


室内はタバコのにおいが充満して壁紙は黄ばんでいました。
キッチンやバルコニーに吸い殻の入った灰皿が転がっている。

キッチンシンクにはずっとモノを置いていたようで、
ところどころサビがありました。
汚れがひどく、使い方に問題があったことは明白でした。

入居者は大学生さん。
立会には本人とそのご両親も来ていました。

「クリーニングで落ちなければ、壁紙の張替えは借主負担になる」
と伝えたところ

「なんで?普通に使っていただけだけど??」
お子さんだけでなくご両親も首をかしげ、納得できない様子。



えええ~?
どうしよう!!クロスの張替えを納得してもらえない??

私は焦りました。

後日この部屋の状態を大家さんが見たら・・・
経年劣化分を考慮しても全額負担は納得しないだろう。

私がとった行動は・・・
【同じ建物で退去したばかりの部屋と見て比べてもらう】ことでした。

「この部屋の状態なら、クリーニングで落とせます。
 あなたの使っていたお部屋の壁紙は、ここと比べてどうですか?」

現地で確認してもらいました。
目で見て比較できたら、きっとわかってもらえるはず。

ところが借主さんの言葉は
「契約の時にそんな話は聞いていなかった」でした。

その後、話し合いの決着はつかず
最後は、借主さんが消費者センターに訴え、
大家さんに連絡が行く事態へ・・・。


大家さんから
「敷金返して、次の募集に向かいましょう」
という連絡をもらいました。


自分のふがいなさ。
なんのために契約書を取り交わすのか。
ごねたもん勝ちではないか。

ぐるぐるもやもや。
落ち込んで、考えました。

今思い返せば、
私が大家さんの肩を持ちすぎていたのかな。
【悪徳不動産屋】だと借主さんに思われていたのかも知れませんね。

仲介する立場であるのに、大家さん寄りの対応をしていた結果が
このような事態を招いてしまったのかも・・・。


反省


この経験から、たくさんのことを学びました。


・借主がどんな使い方をするのかは
 退去したお部屋を見るまで分からない。
 (貸す時にどんなにがんばっても、分からないんです)


・大家が望む通りのお部屋の修復を
 借主が納得するとは限らない。

・どうしようもならなくなった場合の折り合いの付け方を
 契約する前にちゃんと決めておく。

これからは、大家さんとも、借主さんとも、
そういう話をきちんとしていこう。

お部屋をご案内のときに、
重要事項説明のとき。

借主さんとコミュニケーションを取れる時間は限られていますが
なるべく理解してもらえるように具体的な話をする。


大家さんとは、入居募集のお話を頂いたとき。
ご案内して入居が決まった時にもう一度。
トラブルの事例を踏まえながら話をする。


不動産屋の役割とは、
貸主・借主両方との「信頼関係」を作ること。
そう心掛けていたいものです。


長文なうえに、まとまらない文章になってしまいました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!






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