鏡の中の自分へ。

今でこそ化粧品が大好きですが、
きっかけは化粧品ではなく、美容部員という仕事に出会えた事でした。
そのきっかけが、わたしの人生を大きく変えてくれたと思っています。

私が美容部員を目指したきっかけに、母のコンプレックスの話があります。

鏡の中の自分に向かって、否定的な事しか言わない母。
写真に写りたがらない母。
母は肌があまり強くなく、化粧品に対して否定的なイメージしかない人でした。
幼馴染のお母さんはいつもあんなに綺麗にしているのに。
お母さんはどうしていつもそうなの?と、小さな頃から思ってました。

女性には、30代後半から出てくる肝斑という大きなシミのようなものがあるのをご存知ですか?
私が大学生の頃、
敏感肌で、緊張しいで、すぐ顔が赤くなる母の肌に、
さらに追い討ちをかけるような、大きな暗い影が現れました。

肝斑ができてから、母は今まで以上に、鏡の中の自分に否定的な言葉をかけるようになりました。
それはそれは、見ている家族も心配するくらいの。

父親は「自分一人で稼ぐ力があれば、お母さんに仕事をさせずに済んで、
ストレスを抱えさせずにすむのに‥そしたらあの大きなシミもできなかったんじゃないか‥」と我が家には負の連鎖が。
母なりに、自分に合う化粧品を探していたんだと思います。
でも結果は出ず、見ている私も悲しくなる日々でした。

運命の日は、よくある日常に現れました。
大学生だった私は、周りの友達よりもちょっとだけ化粧品が好きで
母との買い物の帰りに、「ちょっと付き合って」と言って、一緒に近所のデパートの化粧品フロアに立ち寄りました。
自分が買いたかったスキンケアを購入しに。
その時に担当してくれたお姉さんが、「よろしければ、お母様もお直しされませんか?」と声をかけてくださり、
恥ずかしそうに、母もメイクを直してもらっていました。
「こんな明るいところで自分の顔見るなんて‥やあね」といいながらも、
ニコニコと明るい顔つきになっていたのでした。

お化粧ってすごいパワーだなと思った瞬間です。

自分のスキンケアを購入し、帰り際に、
「よろしければお母様もこの美容液のサンプル使ってみてください。
リフトアップ効果が高くて、お顔がとても上がりますよ」と。

単価1万以上であろうブランドに、3000円のお試しサイズを買っただけの大学生の連れに、
担当のお姉さんは丁寧に対応してくださり、なんて丁寧な接客なんだと心底驚きました。

家に帰り、母はお風呂上がりに早速その美容液を使い、
「見て見て!本当に上がったよ!すごいねえ♡」と、
最近見た中で一番のテンションで報告してくれました。

あんなにはしゃぐ母を見るのは何年振りだろうか‥。
家族みんなが、嬉しくなりました。

自分が化粧品メーカーに入って、たくさん勉強して、
母にスキンケアを買ってあげたら、親孝行になるんじゃないか‥と考え、
気づいたらそのブランドが第一志望になり、無事内定をもらえて、
新卒で入社する事になったのでした。

今でも新卒入社のそのブランドを、母はとても大切に思ってくれていて、私はとても嬉しいです^^
5、6年も経ち、知識は年々増すばかり。

このファンデーションがいいんじゃない?
使い心地はどう?
なんて会話をしながら、どんどんメイクを楽しむ母を見て、
私はとても心が満たされたのでした。

私がそうだったように、
小さなおもてなしで、人の人生を変えてしまう魔法の力があるのが、化粧品であり、販売員です。

ネットでなんでも買えてしまう時代ですが、
想いは必ず届くと信じて。
それを求める人への期待を越えていきたい。

そんな事を思いながら、日々仕事に励んでいます。

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