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CDが売れない時代の音楽継承は、プレイリストじゃないかな

井上陽水の音楽が好きだ。
もちろん様々な機会で、彼の歌を聴くことがあったけれど、最初の出会いは親のカセットテープだったと思う。

僕は小学校6年生から、「音楽の独り立ち」をした。
自分のMDプレイヤーを買ってもらったのだ。

「自分の好きな時に、好きな音楽を聞ける」という、独り立ちにワクワクしたのを覚えている。

音楽の独り立ちで広がる世界

それまで、音楽といえば親の運転する車で、当時のヒット曲が雑多に入ったカセットテープで聴くものだった。
CDレンタルショップへ行き、流行っている曲を借りてダビングする方式だ。

しかし、MDに何を入れるかも自分で選べるのは、とても嬉しかった。自分の好きなアーティストのCDを借たり、友達から貸してもらった。(兄や姉がいる友達はたくさんCDを持っていたような)

色々聴き漁っていくなかで、親の持っているカセットテープが気になり始めた。

親のカセットテープは、タイムマシン

親に聞いてみると、さっそく押し入れから、沢山のカセットテープをくれた。

ケースについている手書きのアーティスト名・曲名カードを、頼りに片っ端から聴いてみた。

サザン、米米クラブ、杉山清貴、安全地帯、井上陽水…
(当時はかなり古いと思ったけど、改めて思うとそうでもなかったな)

こうして、僕が生まれる前に親が聞いていたアーティストやヒット曲達を知っていった。
MDにダビングし直したりもして、テープが擦り切れて音が悪いのも、また味があって良かった。

音楽で覗く親の青春

「えーこんな古いの聴きてるのー」と、嬉しそうだった。
この曲は、母親が好きだった曲。結婚式で流した思い出の曲。自分がお腹の中にいた時の曲…

親も自分の当時を振り返りながら、嬉しそうに説明してくれたっけ。
親の若い頃の話を聞くのは面白かった。音楽を通じて親のことを知っていくのは、子供ながらに素敵なことだなと思っていた。

あの頃聴いていた音楽は、プレイリストに残る

もしいつか親になったら聴かせたい音楽が、山ほどあるなと思った。

カセットテープやCDがあったからこそ、子供が見つけて、聴くことができた音楽。

これがデータやサブスクの時代になると、モノとして自分の子供に伝わっていくことがなくなってしまうのでは?と思った。

僕はApple Musicユーザーだが、自分が作ったプレイリストこそが、それに代わるモノになるのではないかと思う。

子供に自分のプレイリストを渡す。それがデータでも紙に書かれたものでもいいのかもしれない。

そして、子供がその曲を聴く。
プレイリストのテーマと音楽のチョイスから親のことを知る。

そんな日が来るのも、面白い。ミックステープの時代と変わってはいないのだろう。

問題は、「おつかれby myself」(仕事帰りに聞く静かなプレイリスト)みたいな、恥ずかしいプレイリストばかりということだ。

このプレイリストを聴いていた頃の話を、自分の子供としたいな。昔を懐かしむジジくさい話になったとしても。

あの時の親の気持ちが少しわかった気がした。

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