「『福岡』ソフトバンクホークスを『世界へ』繋げる窓口」-福岡ソフトバンクホークス株式会社 インバウンド推進室室長 淵郁子さん-【ミライロ仕事図鑑】
ミライロ仕事図鑑は、福岡商工会議所とNPO法人学生ネットワークWANのコラボ企画です。今回のインタビューは、福岡商工会議所NEWS12月号(PDF)に掲載されています。
「めざせ 世界一!」の球団スローガンのもと、真のエンターテインメントサプライヤーとして、プロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」を活用したビジネスを推進し、プロ野球文化の継承とスポーツの復興への取り組みを行う福岡ソフトバンクホークス株式会社。
今回は、そんな福岡ソフトバンクホークス株式会社において、海外への事業展開の窓口を担っている、インバウンド推進室室長の淵郁子さんにお話を伺いました。
新規事業推進本部インバウンド推進室について教えてください。
インバウンド推進室は、2018年6月の組織変更に伴い、新規事業推進本部の配下組織として設置されました。
新規事業推進本部は、新規事業推進室、eスポーツ課、インバウンド推進室があり、今年の7月に開業した「BOSS E・ZOFUKUOKA (以下E・ZOFUKUOKA)」のコンテンツ作りや、野球以外のビジネス展開などに取り組んでいます。
その中でも、私が室長を務める「インバウンド推進室」は、 海外でソフトバンクホークスやE・ZO FUKUOKA というブランドをどのように広めるかという目標のもと、 PayPayドームでの野球観戦、 ドームツアー、E・ZO FUKUOKA などの集客と、それに伴う販促・PR、海外でのソフトバンクホークスを通じたビジネスを手掛けています。
インバウンド推進室が設置されたのには、 どのような背景があったのでしょうか。
ソフトバンクホークスには元々、「めざせ 世界一!」というキャッチフレーズがあったので、 ブランドとして「世界一の球団になろうよ」が社内の合言葉になっていました。
「世界」となると、海外の方々にどのようにして「ソフトバンクホークス」を伝えるかが大切なので、海外に重きを置いた部署として「インバウンド推進室」が設置されました。
具体的には、どのような事業を展開していらっしゃるのでしょうか。
昨年は、訪日外国人専用シート 「Hello Seats」 の設置やドームツアーの企画、海外の子供向けに、福岡でのソフトバンクホークスの試合の観戦や野球教室、地元のリトルリーグの子供たちとの交流の場をパッケージとして提供しました。
ドームツアーは海外の方が喜ぶように、他部署と連携して、PayPay ドームの屋根に登るアドベンチャーツアーを実施しました。
ツアーで被るヘルメットは、 歌舞伎やスイカの柄、漢字を使用したデザインにするといった工夫を凝らし、多くの外国人観光客の方に喜んでいただくことができました。
また今年の1月には、移動式の「王貞治ミュージアム」を台湾の2都市で開催しました。
新型コロナウイルスの影響で国内のインバウンドは見込めない現状だと思うのですが、このコロナ禍で新しく始められた取り組みについて教えてください。
新しい取り組みとしては、大きく二つあります。
一つは、デジタルコンテンツのマネタイズです。
例えば、 海外で野球教室を開催している指導者向けに、ソフトバンクホークスのロゴ利用と、OB選手によるオンライン上のレクチャーをコンテンツ化しました。
もう一つは、YouTube チャンネルでの 「ホークス公式多言語チャンネル」の開始です。
ホークスの試合のダイジェストを、日本語の他に繁体中文、韓国語、英語のナレーションをつけて配信しています。
その中でも、今年の1月に「王貞治ミュージアム」を台湾で開催したように、私たちは現在、台湾を重要視しています。
台湾には野球文化がありますし、日本が大好きという人も多く、また福岡に近い点も理由の一つです。
だからこそ台湾だけは、試合のダイジェストのナレーションを、台南Joshさんという台湾人の野球YouTuber に担当してもらっています。
台南Josh さんがナレーションを担当する配信を始めて、初日で再生回数8000回を記録しました。
台湾の人には日本のソフトバンクホークスに関心を持っていただいていることを実感しています。
淵さんご自身や貴社が仕事を行う上で、 大切にしていらっしゃることはありますか。
私自身が大切にしていることは、 誰に対してもフラットな態度でいることです。
例えば、1枚の野球観戦チケットを買ってくれる方から、何億ものお金を出してくれるスポンサーまで、仕事をする上で様々な人との出会いがありますが、 ホークスに興味がある人であることに変わりはありません。
誰に対しても、どのような企業に対してでも、真剣に話を聞くということを常に意識しています。新規事業推進本部に関しては、代理店任せじゃなく 「自分たちの目や耳で体感したことをやってみよう」という体制作りを意識しており、週に1度は部署の垣根を越えた情報共有を行っています。
私はインバウンド推進室室長と同時に、福岡ソフトバンクホークス株式会社の社員でもあるので、インバウンド以外の事例や情報も、 いろんな部署に伝えるようにしています。
また、私たちの取り組みは、他部署の協力がないと進まないので、社内の関係性は大事にしています。
インバウンド推進室のメンバーは毎日のようにコミュニケーションを取っているので共通のビジョンを持つことができていますが、それを他の部署に伝えて、協力を得て初めて、企画を形にすることができます。
当然、他の部署はインバウンドだけをやっているわけではないので、具体的なプランを立て、お互いのメリットを作って提案する流れは、社外への営業と同じだと思います。
最後に、淵さんこご自身やインバウンド推進室の今後の展望について教えてください。
私自身としては、人が楽しい嬉しい・悔しいと思うような「感情のあるビジネス」が面白いと思っています。
やはり自社だけが良ければいいという話ではなく、多くのスポンサーがホークスを通して何かしらの利益を得ることができる方法を常に考えています。
そのためには、ホークスのブランド価値をどうやって上げていくかが大切です。
企業・団体のブランド=個人のブランドだと思っているので、私の価値が上がれば、会社の価値も上がります。会社と共に、私自身も成長し続けたいと思います。
インバウンド推進室としては、中国や東南アジアのように、野球が自国の文化にない人達にも野球の楽しさや面白さを伝えていくこと、そして、海外の企業にホークスのブランドを認めてもらうことを目標にしています。
今後は、E・ZOFUKUOKAで展開しているチームラボフォレスト福岡やHKT48、MLBCafé FUKUOKAのように、野球とリンクしていないコンテンツを切り口に、 野球に繋げていくということに挑戦してみたいと考えています。
ホークスらしく、 私たちらしく、今後も 「福岡ソフトバンクホークス」 を世界に伝えていきたいです。
世界という大きな舞台への繋がりの窓口を担っている淵さん。
大きな舞台への挑戦の中でも小さな繋がりや気づきを大切にされている方なのだろうとの印象を受けました。
淵さん、貴重なお話をありがとうございました!
取材日:10月16日
今月の取材先 福岡ソフトバンクホークス
〈住所〉福岡市中央区地行浜 2-2-2
〈電話〉092-847-1953
〈概要〉日本球界を変える革新的なビジネスを生み出し、共に世界一となる ことを目標に、プロ野球球団の保有、野球競技の運営、野球等スポーツ施設等の経営・管理、各種メディアを利用した映像・音声・データ等のコンテンツ配信サービス等を行っている。
■NPO法人学生ネットワークWAN とは?
設立17年目を迎える学生主体のNPO。「学生だから~できない」「地方だから~できない」を変えるべく全国 19 地域の情報発信支援や、地域の関係人口をつくるコンテンツ企画運営をしている。
■FMラジオ番組「FUKUOKA2020」とは?
地域の情報・次世代ビジネス・地方創生などの最新情報について、大学生を中心とした若手メンバーとゲストで発信するラジオ番組。ラジオというメディアの新しい可能性を、ソーシャルメディアやスマートフォンファーストでビジネスを考えている世代が探っていきます。
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