コロナ禍での学生団体の活動の変化〜「授業外のプロジェクトを通じて、建築に関して多くを学ぶ」工学院大学 学生プロジェクト WA-K.pro〜
コロナ禍において、企業でもテレワークや在宅ワークが普及し、日本中でオンライン化が加速する一方で、大学のサークル活動や学生団体の活動などのオンライン化は上手く進まず、活動がストップしている団体も少なくありません。
本企画は、そんなコロナ禍においても、継続的に活動している学生団体に話を聞くことで、全国の他の団体の参考になればと思い、まずは建築系学生団体への取材を開始しました。
第4回目となる今回は、東京都の工学院大学で活動している、WA-K.pro(ワークプロ)代表の依本(よりもと) 晃希さん(工学院大学 建築学部1年 ※取材時)と、同じく代表の渡辺 椎菜さん(工学院大学 建築学部1年 ※取材時)にお話をお伺いしました。
WA-K.proとは?
工学院大学の学生プロジェクトの一つ。大学から施設・設備の提供や活動費の補助を受けながら、学校の授業では学べないことを経験するために、1・2年生主体になって学内外で活動中。学生が主体となり、建築、空間について考え、やりたいこと、興味のあることを実践しており、学内の建築物のデザインや他団体・企業とのコラボレーションなど、幅広い分野で活動中。部員数は約130名。
ー早速ですが、まずはじめに、WA-K.proさんが立ち上がった背景などについて教えてください。
依本(よりもと)さん:WA-K.proは「建築に関するさまざまな取り組みを通じて、建築に対する知識を深める」という目的のもと活動しています。
工学院大学の学生プロジェクト*1として、1年を通して、設計や施工管理、インテリアデザインなど、建築に関する様々なプロジェクトに取り組んでいます。
学生プロジェクトというのは、サークルとは違い、学生の学びに繋がる活動に対して大学から割り当てられた予算で活動します。
WA-K.proは、元は建築系学生の勉強会として発足したのですが、活動が6年目を迎えた際に、工学院大学の学生プロジェクトの申請を通過し、そこから「学生プロジェクト」として活動していて、勉強会の時期を含めると14期目の団体です。
ー具体的な活動内容を教えていただけますか?
依本さん:現在は、キャンパス内の既存の建物を木造で建て替えるK×Kプロジェクトや、1年生を対象にしたCADの講習会、「アルキテクチャー」という都内の建築物を見て回るイベントを定期的に開催しています。また、K×Kプロジェクトと同じく、キャンパス内の展示スペースのデザインなども手がけています。
「アルキテクチャー」は、グループに分かれて都内の建築物を見て回り、感想や気付きを他のグループと共有するワークショップです。
昨年度は新型コロナウィルスの影響もあり、完全オンラインで開催しましたが、今年度は対面での実施ができました。他にも、コロナ禍の影響で活動がストップしてしまっていたプロジェクトがありますが、徐々に対面での活動を再開しています。
渡辺さん:他にも、ここ数年は、建築事務所さんとのリゾートマンションの改修プロジェクトや、K×Kプロジェクトの一環の林業体験、八王子市にある『みんなの居場所「暖炉」』におけるベンチのデザインなどの建築面のサポート、総合資格学院さんとの大学生向けの講演会の企画、八王子の文化財を紹介する「TOKYO HACHIOJI FESTA」での『からくり装置』の制作、学外の企業さんとの、強化段ボールを利用したプロダクト開発などを行ってきました。
学校と深く関わっているのはもちろんですが、学外の企業や団体と深く関わる機会も多いです。
ー非常に多くのプロジェクトがあるのですね。学外の企業や団体とのプロジェクトは、どのようなキッカケで発足することが多いのでしょうか?
自分たちで学外の企業や団体にアプローチすることもあるのですが、企業や団体の方から大学に対して連絡があり、そこから、企画に最適な学生プロジェクトとして企業・団体に繋いでいただくことがあります。
他にも、建築系のイベントで知り合った企業さんから直接お話をいただくこともあります。学生プロジェクトということもあり、大学側のサポートも手厚いと感じています。
ーコロナ禍においての活動の変化は他にもありましたか?
依本さん:新型コロナウィルス感染症が話題になり始めた2020年は、僕たちはまだ入学していなかったので当時のことを知る先輩方にお聞きした話にはなりますが、やはり2020年度はほとんど活動ができなかったそうです。
僕たちが入学した2021年度は、例えば大学の授業は「偶数週は学籍番号が偶数の人は対面授業、奇数週は学籍番号が奇数の人が対面」などと、できる限り対面でも会えるように大学側がセッティングしてくれたので、ある程度は対面交流することができました。
そうした対面とZoomを組み合わせた授業などを体験できたので、自分たちの活動でもオンラインと対面を組み合わせた活動方法などを実現できたと思います。
ーオンラインツールの活用方法や、不便に感じる部分があれば教えてください。
依本さん:団体内の定期的なミーティングや、学外の団体・企業さんとの打ち合わせの中でも対面の必要がないものにはZoomを使っています。
また、対面での活動が可能な状態になってからも、やはり直接会うのは気が引けるというメンバーもいたので、そういったメンバーでもオンライン上でも活動に参加できるようにZoomを活用しています。
ただやはり、建築関係のプロジェクトは、実際にモノに触れたり、模型を作ったりするので、最終的には集まらないとできないことが多いと感じています。
渡辺さん:一方で、プロジェクトによっては担当の先生からフィードバックをもらうことになっているのですが、コロナ禍でZoomなどのオンライン会議ツールが一般的になってから、気軽に会議を開けて、意見を聞く機会が増えたのは良かった点だと思っています。
ー団体内での情報共有にはどんなツールを利用されていますか?
基本的にはLINEグループを活用しています。役職やプロジェクトごとにLINEグループを作成して、そこでさまざまなやりとりをしています。
Zoomを使ったオンライン会議を開くこともありますが、簡単な議題であればLINE通話を使って、音声だけで済ませることもあります。Zoomの他にも、大学の授業でも使われている Google meetを使うこともあります。
ーありがとうございます。団体を継続する上で気を付けていることはありますか?
依本さん:やはり、まだ完全には対面活動に戻っていないので「団体として今は何をやっているのか」という情報共有は、意識的に多めにしています。
何をしているのか分からない状態では、活動に参加しにくいと思うんですよね。
部員は130人程度いるのですが、LINEグループには入っているけど活動にはあまり参加できていないという人もいるので、できるだけ多くの人が参加できるような雰囲気づくりなど、改善案を色々と模索しているところです。
また、以前は団体として部員から部費を集めていたみたいなのですが、現在は部費を徴収していません。
もちろんプロジェクトによっては、模型の制作や交通費などでお金がかかることもあるのですが、学生プロジェクトとしての予算もある程度確保できているので、僕たちの代では部費を集める必要はないと考えています。
ー卒業生やOB/OGの皆さんと関わる機会はありますか?
渡辺さん:困ったことがあった際に、相談させていただいています。
過去には、WA-K.proのOB/OGや、先生・現役生が活動に関して話す集まりがあったのですが、今は開催できていません。今後はそういう集まりを大切にしていかないといけないなと思っています。
依本さん:ようやくコロナ禍も多少落ち着いてきたので、僕もそういったOB/OG会を再開できればと考えています。
ー現在のWA-K.proメンバーは、SNS経由での参加が多いのでしょうか?
依本さん:そうですね。SNSを見て参加したという人が多いと思います。
学内でも説明会は実施してるのですが、やはり説明会をするにしても、その団体の名前を知っていないと参加してくれません。僕自身も、TwitterでWA-K.proを知って参加した1人です。
渡辺さん:私もTwitterで名前を知って興味を持っていたんですが、新入生歓迎会の時に先輩から勧誘を受けてから実際に参加しました。
ーありがとうございます。なぜお二人が代表に立候補したのかもお聞かせいただけますか?
依本さん:自分が1年生の時に、とても楽しい1年を過ごさせていただいたので、下の学年が入ってきた時に、自分のように楽しく色んな活動ができるような基盤作りをしたいと思ったのがきっかけです。
渡辺さん:WA-K.proには、建築が好きな人がたくさん集まっていて、自分たちの好きなことをしながら色々な経験をすることができます。その中で、みんなのことを引っ張っていきながら、もっともっと団体を向上させていきたいという思いがあったので、代表に立候補しました。
ー最後に今後の展望をお聞かせください。
依本さん:やはりコロナ禍において、先輩方との交流や、毎年続けてきたプロジェクトが途中で止まってしまったので、対面で活動しやすくなってきた僕たちの代で、そういった活動をどんどん復活させていきたいなと考えています。
渡辺さん:私も基本的には依本さんと一緒で、それにプラスしてWA-K.proという名前をもっと広めていきたいです。
学生プロジェクトはサークルとは違うので、サークルとしては検索にヒットすることは少ないのが現状です。なので、ホームページなども作って、どんどん活動を知ってもらうっていうことを今年の目標にしたいと思っています。
ーありがとうございました!
協賛企業からのお知らせ
今回の取材プロジェクトをご支援いただいている、トランスコスモス株式会社からのご案内です。
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