見出し画像

コロナ禍での学生団体の活動の変化〜「大学外とのプロジェクトを通して学生の成長に寄与していく」宇都宮大学建築デザイン学生団体UUAD〜

コロナ禍において、企業でもテレワークや在宅ワークが普及し、日本中でオンライン化が加速する一方で、大学のサークル活動や学生団体の活動などのオンライン化は上手く進まず、活動がストップしている団体も少なくありません。

本企画は、そんなコロナ禍においても、継続的に活動している学生団体に話を聞くことで、全国の他の団体の参考になればと思い、まずは建築系学生団体への取材を開始しました。

第2回目となる今回は、栃木で活動を展開されている、宇都宮大学建築デザイン学生団体UUAD代表の寺澤さん(宇都宮大学大学院1年)にお話をお伺いしました。

第1回目の記事はこちら
コロナ禍での学生団体の活動の変化 〜「実践的な学びと地域の課題解決」を目指す広島建築系学生団体scale〜

画像5

(左:インタビュー FUKUOKA2020パーソナリティ大嶋さん、右:UUAD代表 寺澤さん)


宇都宮大学建築デザイン学生団体UUADとは?

2020年春に宇都宮大学地域デザイン科学部建築都市デザイン学科の学生有志によって設立され、現在メンバーは72名。大学外(自治体や企業)とのプロジェクトを通して学生の成長に寄与していくことを目的に、空き家の改修や勉強会・講演会などのイベント企画を手がける。

- 早速ですが、まずはじめに、UUADさんの立ち上げ背景を教えてもらってもよろしいでしょうか。

地方大学の特徴かもしれませんが、大学で学んだことが学外に生かされずに、学内に閉じこもっているという現状がありました。そこで、学生が地域の企業やNPO、自治体などとコラボレーションしながら、実践的な学びの中で主体性やリーダーシップを育めればと思い、この団体を立ち上げました。

- 現在の活動について教えてください

イベント企画や空き家改修、他団体のブランディングなどを手掛けています。イベント企画では、コロナ禍において、学生の活動が全てオンラインになったことを逆手にとって、これまであまり連携が図れていなかった北関東にある大学、特に宇都宮大学・前橋工科大学・茨城大学などにお声がけして、毎週設計の勉強会を開催していました。

最近では、学生がより実践的に学ぼうという意識が高くなって来たので、社会で活躍されている方をお呼びした講演会などを企画・実行しています。空き家改修については、学生街の学生アパートや学生食堂、別の市にある空き店舗の改修を進めています。

画像1

(改修を手がけた駄菓子カフェ -UUADさん提供-)

また、基本的には栃木、北関東での活動がメインですが、一度、福島県内のキッチンカーのデザインを手掛けさせていただきました。ただ現状は、北関東のネットワークを広げていこうという目標で動いています。

画像2

(デザインを手がけたキッチンカー -UUADさん提供-)

- 何名ぐらいで活動されていますか?

団体メンバーは72名います。宇都宮大学の学生だけで組織されていますが、その中でも建築学部や工学部、国際学部など、分野をまたいで所属しています。大学の先生は運営には関与しておらず、完全に学生のみで運営しています。

- 現在の活動に関して、新型コロナウィルスの影響はありましたか?

オンラインイベントが増えてメンバーがイベントに参加しやすくなったので、登壇者とUUADメンバーが繋がりやすくなったというメリットはあります。これまでのリアルイベントでは、登壇者との交流はなかなか難しい面がありました。

ただ、宇都宮大学においては、学生団体に対して活動制限がかけられることもあったので、活動計画が想定どおりに進まないことはありました。その点は、責任者としてプロジェクトの管理をしている私が、施主さんとのスケジュール調整をしました。

- 学生が主体となって活動する場合、プロジェクトの進行などが難しいという話がよくありますが、その点はどのように解決しているのでしょうか?

プロジェクトを一緒に進める団体・企業さんには、事前に良い意味でも悪い意味でも学生団体であることを理解してもらうようにしています。大学の授業の状況などによっては、スケジュールに変更がある可能性もあるので、そういった学生特有の理由をご理解いただいた企業さんなどとご一緒させていただいています。そういった企業さんのおかげで、学生メンバーも良い意味で羽を伸ばして活動に参加できています。

- メンバー同士も直接会うことが難しい現状が続いていると思いますが、会議やメンバーのマネジメントなどで気を付けていることはありますか?

基本的なミーティングはZoomを活用しています。感染対策という意味でも、全員リアル参加の打ち合わせは開催していません。

特に向上意識の強いメンバーや、今後地域でどんどん活躍していきたいというメンバーに関しては、私が1対1でヒアリングする機会を設けています。そこでメンバーのニーズを掴みながら、様々なプロジェクトを展開して行っています。

何か企画が立ち上げる際は、全メンバーが参加しているLINEグループに「こういうプロジェクトがありますが興味がある方はいますか?」のように投げかけて、反応があった人をプロジェクトメンバーとしてアサインしています。メンバーの募集から様々な打ち合わせまでテキストベースで円滑に進めることができています。

- オンラインと対面をうまく組み合わせながら運営されているんですね。

そうですね。一般的な団体のような定例のミーティングなどを設けていないので、元々オンラインに適した特性の団体なのかなと思います。

- UUADさんは、一般的な学生団体に比べてメディア掲載が多いように思えますが、何か工夫されてるのでしょうか?

宇都宮大学がある栃木県の場合は、ローカルメディアの影響が強く、特に下野新聞さんは学生活動があると積極的に取材に来てくれます。取材に来ていただいた時には、団体メンバーが楽しく活動している様子を見ていただくようにしています。また、専門的な用語を使わずに分かりやすい説明をしていますね

【UUADさんのメディア掲載などの実績】
・もったいないAWARD2021 特別賞
・下野新聞(コラム掲載)
とちぎテレビ「ナイトニュース9」
・日本建築家協会(Jia)関東甲信越支部の会報「Bulletin」(コラム掲載)
・毎日新聞栃木県版(インタビュー)

- ありがとうございます。他にもUUADさんは企業や団体からの協賛や、その活用方法に特徴がありますよね。詳しく教えていただいてもよろしいでしょうか。

はい。まず、活動資金について、大学の同窓会から年間10万円をいただいています。他にも県内の金融機関などが協力している「峰が丘地域貢献ファンド*1」や栃木県の「大学地域連携活動支援事業*2」などを活用して、プロジェクトに関わる活動資金をまかなっています。

また企業協賛に関しては、お金の支援はいただいておらず、工具やヘルメットなどの”モノ”を協賛いただいています。協賛いただいた工具などにロゴシールを貼ることで、学生の活動写真の中にロゴが映り込むことで企業のアピールになるので、そういったお金以外の協賛の方法を提案をさせていただいています。

我々のプロジェクトで必要なものと、協賛いただけそうな企業さんのお困りごとを考慮して、「このような協賛の形はどうですか?」という様な提案をよくします。

*1・・・峰が丘地域貢献ファンド
宇都宮大学の地域連携のモットー「地域に学び、地域に返す、地域と大学の支え合い」を念頭に、宇都宮大学の学生を対象に、(1)地域型人材育成を目指すとともに、(2)地域型人材育成のための修学支援環境整備などに資するもの。
*2・・・栃木県 令和3(2021)年度大学地域連携活動支援事業
栃木県が、県内の大学等で学ぶ学生グループが、若者の新しい発想や活力を生かして、地域が抱えている課題の解決に向けて取り組む活動を支援する事業。

画像3

(企業協賛のヘルメット -UUADさん提供-)

- そうだったのですね。それでは最後に、今後の展望をお聞かせください!

実はメンバーには、いつでも独立していいよという話をしています。元々、「北関東という土地に地域で活発的に活動する学生団体が少ない」という現状を変えるために立ち上げた団体なので、メンバー自身が新しく団体を始めることで、そういった地域活動をする団体が増えることは大歓迎です。

また、団体を立ち上げる前、「地域活動に関心があるけどアクションはしていない人」にどう参加してもらうかということを考えていたので、UUADは団体に加入するために会費や書類などの制限は設けておらず、ハードルを低くしています。

UUADがあることで、そういった層にアプローチできるという意味で団体を継続した方がいいとは思うのですが、それを学生団体として継続させた方がいいのか、大学が主体で運営した方がいいのかは少し悩みどころです。ただいずれにせよ、学生の活動が学内だけにとどまらず、地域での活動につながるように、そしてそういった活動をする団体が地域に増えるよう、頑張っていきたいと思います。

- ありがとうございました!

取材後記(インタビュアー:大嶋)
設立から1年半ほどにもかかわらず、メンバーは72名も所属していて、さらに地元メディアへの露出なども多く、成長スピードが非常に早いと感じました。代表の寺澤さんのFacebookの活用や、企業・自治体などとの関係の作り方、協賛企業への提案などは、他の学生団体の参考になるのではと思います。
さらに自分の団体のことだけでなく、地域全体で、どうすれば地域活動に活発な学生(団体)が増えるか?という視点で物事を考えられている姿勢も特徴的でした。地方大学の学生団体にとっては参考になることばかりなので、今後の活動にも注目しています!

協賛企業からのお知らせ

今回の取材プロジェクトをご支援いただいている、トランスコスモス株式会社からのご案内です。

画像4

トランスコスモス株式会社は1984年に建設・住宅業界向けCAD運用サービスを提供してから今日に至るまで38年間の歴史を持つ一級建築士事務所です。ハウスメーカーやゼネコン等、建設業界の全てのお客様企業に対し、「業務の標準化・効率化及びDigitalの推進」を行っています。当社では現在、2023年4月入社の新卒採用として「建設設計エンジニア・土木設計エンジニア・DXエンジニア」の3職種を募集しております。最先端の技術を用いた次世代の設計に興味がある方は以下のURLよりエントリーください。
https://job.axol.jp/pm/s/trans-cosmos_23/entry_5419480616/
一級建築士事務所の詳細を知りたい方はこちら
https://www.trans-cosmos.co.jp/saiyou/chuuto/bis/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?