全ての子どもたちが健康診断を受けることができる仕組みづくりの経過報告
「全ての子どもたちに健康診断を」受けてもらいたいという想いから始めた、吹田市教育委員会や養護教諭の皆さんとの協議。
長期欠席している子どもたち(それ以外の未受診の子も)全員が、学校以外で無償で健康診断を受けることができる仕組みを作ることを目標に昨年から動き、先日は市教委の皆さんとの協議をしました。
不登校と健康の関係
きっかけは、「ここ」の生徒たち。
学校に長期間行けずやっと辿り着いた「ここ」。
家族の前でも笑えなかった子が「ここ」にも慣れ人を信用することができるようになり、マスクを外して久しぶりに取り戻した笑顔。それを見ると虫歯だらけだったことがありました。
また、医療機関と連携し子どもの成長を辿っていると、学校に行っていなかった時期だけ身長体重の測定ができておらず成長曲線が描けず今後の適切な見立てが立てづらいということも。
もし、この子たちが学校外で指定日以外でも校医の医療機関やかかりつけ医のクリニックなどで健康診断を受診することができていたら。
今年に入り、ある子どもとの出逢いが再びこの想いを加速させました。
その子は、学校に行くことがとてもしんどくてそれでも何とかして登校をしていた小学生。
無理がたたりついには心身症状として頭痛や腹痛を訴えていたにも関わらず、周りの大人たちはそんなことは気にも留めず嘘つき呼ばわりし、こぞって学校に行くことを強要していました。
そんな時、「ここ」の存在を知り電話で助けを求めてくれました。
電話越しにもどれだけ彼女が追い込まれているかは容易に想像できました。
複雑な理由が絡み合いすぐにコンタクトをとることができなかったものの、お母さんの理解がありようやく「ここ」に見学に来れる日が決まった矢先、容体が悪化。
今でも入院生活を余儀なくされているこの子に、もっと早く出逢うことができていれば。
学校に行っていなくても健康診断を受けることができる仕組みがあれば、もしかしたら早期に解決できることがあったかもしれない。
そんな思いを拭いさることは今の僕にはできません。
全ての子どもたちの健康は社会が保障すべき
昨年の9月頃から、いつもお世話になっている吹田市議の五十川有香さんと今年からフリースクールの中にも入っていただいている教育コーディネーターの武田緑さんにご協力いただき、吹田市の現状から全国での実施状況まで細かく把握しそれを元に教育委員会とも協議を重ねてきました。
教育委員会としても、適応指導教室に在籍していない児童生徒以外は学校外で健康診断を受けるための通知ができていないとのこと。
現状、吹田市では学校外で健康診断を無償で受けることができるのは適応指導教室在籍者のみ。それも保健センターに集団で検診に行く日が年に一度だけで、それを逃したりそれ以降に適応指導教室に在籍した子は翌年度まで待つことになることがわかりました。
それではあまりにも受診することができる子の前提条件が狭すぎるのではないか。
改善していかなければいけないという考えは教育委員会も僕たちも同じ。
ならば一日でも早くこの仕組みを制度化し、全ての子どもたちが健康診断を無償で受けることができるように動いていかなければいけないと僕は考えています。
ゆくゆくは家から外に出れない子が健康診断を受けるためのハードルももっと下げていきたい。
不登校の子が持つ健康上のリスク(身体的、精神的ともに)は、学校に通うことができる子と比べても高いという研究結果も出ています。
ならばこの仕組みは何が何でも制度化したい、そんな思いです。
高校を中退した子も同じ。
全ての子どもたちの健康は社会が保障すべきです。
陳情書と不登校児童生徒の現実
今年2月に、「吹田市在住の不登校児童の健康診断を受ける権利の保障を求める陳情書」を市に提出しました。
養護教諭の皆さんをはじめ、学校給食室の皆さんのご協力のもと、不登校児童生徒数と健康診断未受診者の数がほぼ一致することがわかりました。
つまり、「健康診断を受けることができているのは学校に行っている子がほとんどで、学校に行くことができない不登校の子たちが健康診断を受ける手段はものすごく限られていてほぼ無理ゲー」だということ。
これを何とかしたいとこれまで動いた結果、今年度は内科のみですが予算がおり校医の診療所で健康診断が可能になりました。
しかし、コロナの関係で結局診断ができないことになり実現ができていません。
2日前の協議では、すでに内科に加え歯科でも検診ができるよう令和3年度の予算に盛り込むことを検討してくださっていること、これから具体的な方法の協議に入ることを確認。
方法については、僕を学校保健部の研究会に招いて下さった養護教諭の先生と昨年度から話しを進めてきました。
結核検診や生活習慣病の検診に使う3枚綴りの複写のものが総合的に一番使いやすいとのこと。
それがあれば、様々な事情からアクセスしにくいご家庭にも現場の先生方の判断の元、適切に活用できる。
養護教諭の皆さんの負担にならず、健診を受けたかの情報が伝わり、且つ子どもや保護者のためのツールとしても使うことができ、保護者へのプレッシャーや負担にもならない方法として最適だと判断しています。
この仕組みが成功すれば全国にも広げることができ、前述したような悲しい経験をする子どもや保護者が減るはず。
一歩一歩前に進んでいます。
うまくいけば来年度からの執行が可能です。
この記事を見てくださった皆さん、ぜひ情報の拡散をお願いします。
全ての子どもたちが健康診断を受けることができる仕組みづくりにご協力お願いします。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
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