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2021年度 地域生活サポートホーム事業(無料低額宿泊所) 統計

 はじめまして。2006年からさいたま市岩槻区に拠点を置き、ホームレス状態にある方等への支援活動を行っている、独立型社会福祉士事務所 NPO法人ほっとポットの副代表で、社会福祉士の𠮷髙 湧と申します。 
 この度、私が事業責任者を勤める地域生活サポートホーム事業(無料低額宿泊所)の利用者統計を共有させていただきます。統計は毎年作成していますが、SNS上で公開するのは今回が初めてです。
 無料低額宿泊所の現状、地域生活サポートホームの特徴など、なるべくかみ砕いた表現を用いてまとめたつもりです。長くなりますが、ぜひご覧ください。

『地域生活サポ-トホ-ム』とは

 ほっとポットの運営する「地域生活サポ-トホ-ム事業」(以下、サポ-トホ-ム)は、住居喪失状態にある方を対象に、アパ-ト等の安定した住居の確保を目的とした一時的な居所の提供を行う事業である。また、居住場所の提供に併せて社会福祉士等の資格を有する職員が、巡回訪問等の方法で状況把握並びに、福祉制度・福祉サービスの情報提供、連絡調整支援、個別支援計画をもとに1人1人の目標や課題に合わせた生活サービスを提供し、適切な住環境を確保するための支援を行っている。 
 2021年3月31日時点でのサポ-トホ-ム施設数は、埼玉県さいたま市内において14ヶ所(岩槻区7ヶ所、見沼区5ヶ所、緑区2ヶ所)、居室数は61居室であった。施設は全てさいたま市被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業の業務の適正化等に関する条例に基づく「被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業」として運営している。 
 さいたま市被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業の業務の適正化等に関する条例とは、2019年度に改正された社会福祉法の規定「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準(以下、基準省令)」に基づき、さいたま市により新たに定められた条例である。一部規定を除き2020年4月1日より施行されており、社会福祉法第2条第3項第8号に規定する、生計困難者のために無料又は低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業(以下、無料低額宿泊所)、並びに入居定員が2人以上4人以下の住宅又は宿泊所その他の居住の用に供する施設において無料低額宿泊所と同様のサービスを提供する事業(以下、条例届出施設)を「被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業」として定義している。 
 施設運営における最低基準の創設とともに、運営事業者に対する規制と施設利用者の処遇の改善及び自立の支援を図ることを目的として制定された。    
 「第2種社会福祉事業(無料低額宿泊所)一覧」によれば、2022年4月1日時点でさいたま市所管施設数42ヶ所(サテライト含む)、定員数767居室、埼玉県所管施設数39ヶ所、定員数1,786居室であり、埼玉県内に無料低額宿泊所は81ヶ所(サテライト含む)、入居定員数2,553居室となっている(入居定員が2人以上4人以下の住宅又は宿泊所その他の居住の用に供する施設において無料低額宿泊所と同様のサービスを提供する事業の施設数、定員数については公開されていない)。

 下記は、2021年度のサポ-トホ-ム入居者統計・考察である。全ての統計は2022年3月31日時点での実績に基づき作成している。

1.利用者数

 2021年度、サポートホームの総利用者数は、定員数の61居室を大きく上回り102人であった。102人の内訳としては、前年度継続利用者数39人、新規利用者数63人で、サポートホームから1年未満での退去が実現できず、1年を超えて継続利用を希望する利用者が38%、2021年度新たに入居に至った利用者が62%という結果であった。

 無料低額宿泊事業の対象にあたる生計困難者の範囲は「生活保護法第6条第2項に規定する要保護者¹及びこれに準ずる低収入であるために生計が困難である者²」とされている。一見、対象となる当事者の範囲が非常に広域で、対象者像が想像しづらくなるが、無料低額宿泊事業を利用する当事者は共通してホームレス状態にあり、無料低額宿泊事業以外の行き先が無い状態にある。
 一方、ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)によれば、ホームレス状態にある方の数は年々減少傾向にあるようだが、サポートホーム事業の利用者数については特別変動が見られない。これは、2002年に制定されたホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が定義する「ホームレス³」と、昨今のホームレス状態にある方の状況・状態との間に大きな乖離が生じていることが原因と考える。
 定義に含まれていない、友人宅、インターネットカフェやカプセルホテル、24時間営業のファストフード店、社員寮等を主な定住場所とする不安定な居住状態にある方を適切に把握し、支援の枠組みに含む方法の確立と、無料低額宿泊所しか選択肢がない現状を改善するため、生活保護法における宿所提供施設や、生活困窮者自立支援制度における一時生活支援事業の必須事業化等、公的扶助の充実・拡充の必要性が高い。

2.退去者数

 2021年度利用者総数102人の内、退去者数は50人であった。
 基準省令が公布され、2020年4月1日より施行となって以降、退去者数が極端に増加しており、特にアパート転居者数の増加が著しい(増加に転じた要因については、4.収入状況において記述)。

 関東地方に密集する無料低額宿泊所は、大きく分けて定員数2~30人程度の小・中規模施設と、30~200人程度の大規模施設に分けられる。また、職員の巡回型・常駐型、金銭管理や食事提供などのサービス提供有り無しなど、多種多様な運営形態となっている。 
 多種多様な無料低額宿泊所は、それぞれ必要とする当事者のニーズを満たしサービス提供を行っているが、サポートホームは小規模巡回型で金銭管理や食事提供を行わない運営形態をとっている。 
 小規模巡回型の特徴は、管理性が低く、自由度の高い点にある。サポートホーム入居者の大半が移動先として「アパート等での一人暮らし」を希望していることもあり、より一人暮らしを想定できる住環境の提供を心掛けている。それは、金銭管理や食事提供を行わない点にも通じており、利用者の住居喪失の原因を、敢えてサービス提供しないことで把握し、2度と住居を喪失することの無いよう、家計管理を含む生活習慣の改善に関する支援を行っている。 
 下記は、無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果(以下、無低調査という)⁴とサポートホーム2021年度統計の退去者に関する比較である。サポートホーム退去者は、無低調査と比較して居宅移行の割合が非常に高いことがわかる。これは、職員常駐、金銭管理や食事提供などのサービス提供を行う他の無料低額宿泊所に比べ、前述した小規模巡回型で金銭管理や食事提供を行わない、より居宅生活に近い環境で生活を送ることのできるサポートホームの特徴が起因していると考える。

※パーセンテージについては、各項目ごとに四捨五入しているため、合計が100%と一致しない項目も見られる。(以下同様)

 また、無低調査においては失踪率が22.9%となっている一方で、サポートホームは8%という結果であった。無低調査と比較すると、失踪率は非常に低い数値ではあるものの、失踪者が4人(前年度比-3)おり、2021年度も失踪率を0%とすることができなかった。
 失踪は当事者からの言葉なき意思表示である。住居を喪失し、他の選択肢無く無料低額宿泊所に入居した当事者へ、安心できる環境を事業者が提供することができていない証拠であり、当事者のニーズを把握できていない結果でもある。
 社会福祉法に基づく無料低額宿泊所が、その基本的理念である「個人の尊厳の保持」をどのように具体化し、福祉サービスの改善を図るのか、サポートホームを運営するほっとポットも例外ではなく、「当事者から選ばれる施設」「当事者の安心・安全が守られる施設」となるためのさらなる専門性の向上、研鑽を重ねる必要がある。

 上記は、さいたま市保健福祉局福祉部生活福祉課より情報提供⁵を受けた、2021年4月から2022年3月末における、被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業からの転居者数を示した円グラフである。
 冒頭で触れた通り、さいたま市内には公開されているだけでも1,786居室もの無料低額宿泊所があるが、さいたま市からの情報提供によれば、2021年度さいたま市内の無料低額宿泊所からのアパート等転居者数は88人、条例届出施設からのアパート転居者数は37人、合計125人という結果であった。
 つまり、さいたま市の把握する被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業からの転居者数の数値と、サポートホームからの転居者数の数値とを合わせると、さいたま市内の被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業からの転居者数のうち24%がサポートホームからの転居者であるという結果となる。

3.入居期間

 無料低額宿泊所の終の棲家化、入居期間の長期化問題はしばしば議論を呼んでおり、「無料低額宿泊所は利用者の貧困状態を固定化する貧困ビジネスなのでは?」と批判を受ける要因の一つとなっている。
 厚生労働省は2019年9月10日の通知⁶において「無料低額宿泊所については、直ちに単身での居宅生活が困難な者に対し、居宅生活が可能な状況になるまでの間の一時的な居住の場を提供するほか、他の社会福祉施設の入所対象にならない者に対し、居宅と社会福祉施設との中間的な居住の場を提供する役割を担うものである」と無料低額宿泊所の基本方針について整理している。
 ここでいう「一時的とはどの程度の期間なのか」を示す具体的期間は、入居者状況の多様さを理由に規定されていないが、厚生労働省は同通知において「無料低額宿泊所は基本的に一時的な居住の場であることに鑑み~(中略)~入居期間が長期にわたることを防止する観点から、契約期間を1年以内に限定する」と規定しており、「一時的」を示す考え方として「1年以内」と解釈できるものと考える。
 上記を踏まえ、2021年度のサポートホーム利用者総数102人の平均入所期間は22.18ヶ月(約1年10カ月)であった。1年未満に退去が実現した利用者は52%と半数を占めている一方で、入居期間が3年以上の利用者や、10年を超える利用者も少なくない。

 無低調査に比べ入居期間1年未満の利用者比率はサポートホームが高く、入居期間3年以上の利用者比率は低いことが見てわかる。このような「差」は、2.退去者数において前述した、小規模で巡回型且つ、金銭管理や食事提供などの過剰なサービス提供を行わない、より居宅生活に近い環境で生活を送ることのできるサポートホームの特徴に加え、社会福祉士⁷や精神保健福祉士の資格を有する職員による、専門性の高い支援提供が起因していると考える。

 しかし、1年未満の利用者比率が高い一方で、サポートホームには入居期間10年を超える利用者がいることも事実であり、本来の「一時的な居住の場」としての役割を満たしているとは言い難い現状がある。これは、住居喪失に至った本人の顕在的・潜在的生活課題、本人を取り巻く社会問題について、私達が正確に把握し、その問題・課題を解消することができていないためである。
 家計管理を含む生活習慣の改善、健康状態の回復、債務整理などといった生活課題の大半は、長くても2年以内には解消し、アパート等への転居が実現する方が多い一方で、長期化傾向にある利用者の多くは、「適度に見守りがある方が安心できる」とそもそも1人暮らしを希望していない。
 「安心できる」「落ち着く」という声に隠された「居宅生活への不安」「孤独・孤立の問題」をどのように解消することができるのか。サポートホームだけでなく社会の課題として考え、解決方法について模索し続ける必要がある。

4.収入状況

 無低調査の結果、施設入居者16,397人のうち、約92%が生活保護受給世帯であり、無料低額宿泊所の利用者のほとんどが生活保護制度を利用していることが明らかとなった。

 これは、サポートホームにおいても同様であり、利用者102人のうち95%が生活保護受給世帯という結果であった。
 ここで触れたいのは、サポートホーム利用者のアパート転居時に生じる敷金、礼金、仲介手数料、その他保険や鍵の交換費用等といった、初期費用の捻出に関する問題である。
 初期費用の金額については物件によって様々であるが、少なくとも数万円から数十万円もの費用を捻出する必要がある。家計を切り詰め、貯蓄に励み、アパート転居を目指すことは一つの選択肢であるが、95%の利用者が受給する生活保護制度において保障される「最低生活」とはあくまでも、健康で文化的な生活水準を維持することができるだけの水準であることから、どんなに家計を切り詰めたとしても、貯蓄可能な金額は雀の涙程度という実態がある。その為、生活保護制度では「無料低額宿泊所等の利用者が居宅生活ができると認められ、居宅生活に移行する場合⁸」、敷金等の支給が可能とされており、サポートホーム利用者の大半は、この一時扶助の支給を受けてアパート転居を実現している。
 しかしこれは、「居宅生活ができると認められる者⁹」と福祉事務所の担当ケースワーカーに判断・評価されなければ、サポートホーム利用者のアパート転居が実現困難であるという実態を表している。誇張していえば、利用者は転居を実現できるかどうかの生殺与奪の権を、ケースワーカーに握られているということである。
 一方、ケースワーカーが行う家庭訪問は「少なくとも1年に2回以上訪問すること」という基準に基づき実施されており、ケースワーカーが利用者の生活状況を直接把握できる機会は非常に少ないという実態もある。
 無料低額宿泊所の利用期間長期化の問題について、「貧困ビジネスが囲い込んでいるため」という意見を多く耳にするが、アパート転居を望む利用者の希望を実現するそもそもの仕組みや機能が脆弱であるという、より複雑な問題により入居期間の長期化が生じている。

 状況が変わったのは、2020年度からである。2.退去者数の「過去6年間の退去者数とアパート転居者数グラフ」において前述した通り、2020年度から退去者数、アパート転居者数が増加している。
 この変化について、考察した結果、残念ながら「サポートホームにおいて提供するサービスの質が向上したため」という結論には至らず、基準省令の制定によるところが大きいという結論に至った。
 中でも、入居期間が長期にわたることを防止する観点から、基準省令第14条第3項において「無料低額宿泊所は、契約期間の満了前に、あらかじめ入居者の意向について確認するとともに、福祉事務所等都道府県又は市町村の関係機関と、当該入居者が継続して無料低額宿泊所を利用する必要性について協議しなければならない」と規定され、事業者が社会福祉法に基づき、本人含む関係機関、特に福祉事務所のケ-スワ-カ-と本人の意向の実現可能性について協議することが「義務規定」となったこと、省令施行によって福祉事務所の運用、意識が是正されたことが大きな要因であると考える。

5.年齢層

 2021年度全利用者102人の平均年齢は55.59歳であった。
 利用者年齢層は60代が最も多く、その次に50代、40代、70代となっているが、その差は僅差であり、貧困が限られた年齢層に起きるものではなく、全世代に起きていることを示唆している。

 上記グラフを比較しても、特別年齢層に大きな違いは見受けられないが、取り立てて比較するとすれば、図8、図9に比べ図10の退去者年齢層では60代、70代の割合が高くなっている。
 身体機能、認知機能の低下を背景に、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等といった他の社会福祉施設を希望する利用者も多く、居宅移行に限定せず、本人の選択肢を増やす一時的且つ中間的な居住の場としての役割を果たしている。
 また、入居中に65歳(非稼働年齢層)を迎え、就労指導(生活保護受給者への指導)の対象でなくなってから初めて、希望していたアパート転居が実現している利用者も多くいる。生活保護法における「居宅生活ができると認められる者」という要件に「就労しているかどうか」は含まれていないものの、福祉事務所のケースワーカーによる「被保護者評価」のうち「就労」「経済的自立」が重要視される実態があり、その結果、入居期間が中長期化する事例も多い。

6.健康状態(疾病、障がい)

 2020年度の被保護者調査における生活保護開始の主な理由を見ると、「貯金等の減少・喪失」が 40.9%と最も多く、次いで「働きによる収入の減少・喪失」が22.3%、「傷病による」が19.2%であり、身体機能、健康状態の悪化を背景に生活保護を申請する方が多くいるという結果であった。
 サポ-トホ-ム利用者についても、66%が何等かの医療機関へ定期通院しており、健康状態の回復、生活習慣病の改善等の必要性から入居期間が中長期化することもある。
 一方、16%が未受診・治療中断状態であり、体調不良を訴える利用者へ職員が受診の促しを行うも、昔から続く「持病」という認識に留まり、自己判断によって受診に至らないことがある。
 また、「老い先短い自分にはもったいないからいい」「生活保護を受給している身分で病院なんて行けない」と生活保護制度に関連する社会的なスティグマが要因となり、重症化するまで受診に至れない事例も非常に多い。

 上記は2021年度利用者102人のうち、障害者手帳の所持者数と、障害者手帳の取得時期について示した円グラフである。
 本人も自覚していない障害特性がこれまでの住居喪失の隠れた要因となっている場合が多く、サポ-トホ-ム入居中に自身の特性や苦手さを自覚することは、住居喪失の予防として非常に重要であると考える。そのため、家計管理を含む生活習慣の改善を行う中で把握した利用者の情報をもとに、障害者手帳の取得を見据えた医療機関への受診を促すこともある。結果として、障害者手帳所者のうち、サポートホーム入居後に手帳取得に至った方が約半数を占めている。
 一方で、不所持59%の中には、手帳の取得が可能という医師の判断がありながらも、本人が障害を自覚していない場合や受容できず、手帳の取得に至らないことも多い。

 下記は、無低調査とサポートホーム2021年度統計の障害者手帳所持者に関する比較である。
 サポートホームは、無低調査に比べ入居者全体に占める障害者手帳所持者の割合が高く、特に精神保健福祉手帳所持者の割合が高いことが見てわかる。これは、小規模巡回型で金銭管理や食事提供を行わないサポートホームの形態では身体障害者手帳、療育手帳を所持する方を受け入れるための必要なサービス提供体制が確保できていないことから、そもそも入居に至らない場合が多いこと。また、40代、50代、60代が入居者年齢層の大半を占める中で、入居中に療育手帳取得が実現困難であり、精神保健福祉手帳の取得以外の選択肢が無いことが要因と考える。

 下記は、無低調査とサポートホーム2021年度統計の福祉サービス利用状況に関する比較である。
 無低調査と比較して大きな差は見られないものの、全入居者のうち約17%が何等かの福祉サービスを利用しているという結果であった。
 社会福祉士が運営する無料低額宿泊所であること、また、4.収入状況にて前述した「居宅生活ができると認められる者」の解釈のうち「自己の能力のみではできない場合にあっては、利用しうる社会資源の活用を含めできるか否か」とされていることからも、一人暮らし後も継続利用可能な、家計管理含む生活習慣に関する不安や苦手さを補うことのできるサービス利用の情報提供、調整支援を行っている。

7.まとめ

 サポートホームでは、憲法25条に規定する「健康で文化的な最低限度の生活」のうち、「文化的」という言葉に視点を置き、利用者と関わることを大切にしている。
 一般的に「文化」=「culture」と英語訳されるが、そもそも「culture」はラテン語「colere」に由来し「心を耕す」という意味で用いられたそうだ。
サポートホームを利用する方の多くは、生活に困窮し追い詰められた結果、趣味や息抜きの時間を失い、家族や友人との人的ネットワークを失い、生活の砦である住まいをも失い、心を耕す鍬も、場所も、時間も、関係も何もかも喪失した状態にある。
 そのようなサポートホーム利用者一人ひとりが、主体性を取り戻し(自らの生活を自らの手に取り戻す)、生きる活力までも失うことがないように、良い支援体制を構築するためにはどうすればいいのか、社会福祉の専門職として今後もより研鑽を重ねていく必要があると考える。


¹ この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。
² 社会福祉法令研究会 社会福祉法の解説【2001】p.70
³ 法第2 条に規定する「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」。
⁴ 全国の都道府県、政令指定都市、中核市に届出されている無料低額宿泊所が調査対象施設。施設数608ヶ所、施設入居者数16,397人(うち、生活保護受給者15,183人)。
⁵ さいたま市保健福祉局福祉部生活福祉課への情報提供依頼書をもとに入手。
⁶ 無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準について(通知) 
基準省令の趣旨及び内容について規定。
⁷社会福祉士及び介護福祉士法第2条第1項 社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整、その他の援助を行うことを業とする者をいう。
⁸ 局長通知第7の4(1)カの「転居に際し、敷金等を必要とする場合」の解釈に関する課長通知第7の30の答6「宿所提供施設、無料低額宿泊所等の利用者が居宅生活に移行する場合」に該当。
⁹ 局長通知第7の4(1)キの「居宅生活ができると認められる者」の解釈に関する課長通知第7の78の答「居宅生活ができるか否かの判断は、居宅生活を営むうえで必要となる基本的な項目(生活費の金銭管理、服薬等の健康管理、炊事・洗濯、人とのコミュニケーション等)を自己の能力でできるか否か、自己の能力のみではできない場合にあっては、利用しうる社会資源の活用を含めできるか否かについて十分な検討を行い、必要に応じて関係部局及び保健所等関係機関から意見を聴取した上で、ケース診断会議等において総合的に判断すること」に該当。



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