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#006 クラスとは違う人間関係で

「どの子にも絶対にいいところがある」
私たちはこのことを強く信じています。子どもたちのいいところを見つけたとき、私たちは宝物を見つけたような気持ちになるのです。私たちが日々出会う放課後ならではの子どもの成長物語。その一部をご紹介いたします。


授業で手を上げることや発言することも少なく、遊ぶ時もお友達についていくだけのとてもおとなしい3年生の女の子がいます。なんでもお友達の言う通りにしているので、本当はやりたくないことをしているのではないかな? 楽しいかな?と心配してしまい、「大丈夫?」とこちらから声をかけることもありました。

学校でも同じようで、先生によると、一人でいるよりその方がいいようで、いつもお友達についてまわっているそうです。

はじめはアフタースクールでもそうでしたが、夕方、子どもたちの人数が少なくなると、その子が話しやすい雰囲気になるようで、思っていることを話してくれるようになってきました。すると、彼女自身の発言は少ないけれど、周りのお友達の様子をよく見ていることや、相手が自分の名前を知らなくても、彼女はちゃんとみんなの名前や性格を見ていることが分かってきたのです。

彼女の素敵なところがもっと引き出せるように、ほんの少しお手伝いをしました。彼女のようになかなか自分を出せずにいる1年生の女の子と一緒に過ごしてもらうよう声をかけました。

すると、彼女の優しい雰囲気はちゃんと1年生の女の子に伝わり、その子から慕われるようになりました。自分から行動することがなかった彼女は、その1年生の女の子を見つけると自分から遊ぼうと声をかけ、その子が楽しいことはなんだろうと考えて、自発的に遊びを始めるようになったのです。

アフタースクールで見せる表情の変化には、スタッフだけでなくお迎えに来る保護者の方や学校の先生方も驚き、「アフタースクールだからこそ見せることができたんでしょうね」とおっしゃっていただきました。

アフタースクールでの経験も一つのきっかけに、自分を出していく機会も少しずつ増えていくかもしれません。

クラスでは個性が発揮できなくても、アフタースクールではそのチャンスがあります。これからも、子どもたちの成長にそっと寄り添うことができたらと思います。

出典『子どもたちの物語 エピソード1 クラスとは違う人間関係で』


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