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【作成報告】重度訪問介護の当事者と介助者の日常動画-2022年度

こんにちは!
特別なスタンスとスキルを持つ介助者の会の活動報告の一環ですが、こちらでは作成した動画についてまとめていきます。

  • 活動報告会の報告レポートはこちら


概要

これまでの交流会や実態調査を踏まえ、“特別なスタンス”を伝えるコンテンツとして“重度訪問介護の当事者と介助者の日常動画“を作成しました。(日本財団助成事業)

目的:
現場で抱える悩みに共感できるもの、解決の糸口になるものを作成する
2022年度の目標:
①熟達介助者のスタンスとスキルが見える動画作成
②当事者から見る熟達介助者のスタンスとスキルが見える動画作成


2022年度は6本作成しました

はじめに

  • これらの動画は当団体YouTubeにて限定公開(リンクを知っている人のみ閲覧可能)しています。

  • 周りの方へご紹介くださる場合は、動画単体でなく、本記事ごとご紹介ください。本介助者の会のメンバーの想いも含めて汲み取っていただきたいためです。

・介助者って孤独だと思う。利用者さんと一対一のことが多いし、介助者同士で何かやるということも少ない。
・「私何をしているんだろう」と漠然と不安になることもあると思う。
・表に出づらい仕事だからこそ「一緒にがんばっている仲間がいるんだよ」ということを、動画で親しみやすく見てもらいたい。

活動報告会より

あるALS当事者のもとで働く重度訪問介護の介助者の日常

・清水さんは、利用者さん宅での空気感を読み取る、感じることが上手いと感じました。見る人によっては、清水さんペースのケアに見えるかもしれませんが、私には入江さんの表情を確認しながら、ペースを合わせているように見えました。
・山田さんは、無駄のないケアの動きの中に、確認作業が常に行われているのだろうと感じました。自らの経験や、他のヘルパーを指導する中で得た知識の中から、目の前の利用者さんにとって最適なケアを選択して行なっているのではないでしょうか。
・【お二人を見て感じて貰いたいこと】要領よくスムーズに行われるケアは良いことではあるが、利用者さんの意思に沿ったケアでなければ、本当に良いケアとはいえないということ。
・“しっかりやる”ことだけが良いのではないのかもしれない。2人の共通点は観察力だと思う。

本介助者の会メンバーより


あるALS当事者と重度訪問介護の介助者の話

・ヘルパーひとりひとり、もちろんその当事者の全てのことに関わってはいるけれど、ヘルパーによって役割があるのだなというのが良くわかる。経験から体制作りなどにアドバイスするヘルパー、ご本人やご家族の悩み(おそらく愚痴も)などを聞くヘルパーなど。上手くいっているチームというのは、ひとりひとりが自分の役割をわかっているのだと感じる。
・山田さんは、短期目標と長期目標で考えているのではないかなと思った。「家族には家族として接してほしい」という長期的な目標に向かうために、今は何をすべきなのか。そういう視点を持ちながら関わっていたのだと思う。
・重度障がいのある方の介護において「ご家族を巻き込まず、患者さんの生活は他人介護で成立させる」というのが、とても絶妙なバランスの上に成り立っているなといつも感じます。介助者からすると「家族はそれぞれの生活を崩さないままでいて欲しい」という思いだけど、どうしても家庭に紛れ込まなければいけない介助者が、やりすぎたりやらなすぎたりしてひとつでもバランスを間違えると、ご家族同士の時間や絆を邪魔してしまうのではないかと不安になるときがあります。理想は「障がいを持つ前の家庭環境に少しでも近付けること」であり、それは当事者さんやご家族の努力があるから成り立つものだとは思いますが、様々な家庭の色がある中で、自身の経験と知識からそれを読み取って自然と行動に移せるヘルパーが特別なスタンスとスキルを持っている人なのかも…と感じました。

本介助者の会メンバーより


24時間365日介助者と生活をするあるALS当事者の話

・「続かない介助者はどういう方だと思いますか?」の問いに「気持ちが私に向いてない方」。「それはどういう方か?」の問いに「自分の考えのみで行動される方かな」と。常々『その人のことを知ろうとしない人は研修さえ終わらないな・・・』と思っているが、それを上手く説明できないでいたのでこの会話の部分はとても分かりやすい。
・「入江さんと誠実に向き合えば間違いない。清水も大丈夫だと思った」という言葉が響きます。動画全体を通して共通することですが、患者さんにとって介助者は自分の身体と命を預ける相手だから、よくわからない人だと不安に決まってますよね。
・「私を見ているか?仕事を見ているか?」仕事であり技術であるが、その人を知ることが大切だということが集約されているなと感じた。山田さんと清水さんが体現していると思う。

本介助者の会メンバーより


あるALS当事者のもとで働く介護保険の介助者の話

・短時間で決められたケアを行う場合、利用者さんは限られた時間の中で、多少のことは我慢してでもケアをして貰わなければいけない。一方でヘルパーも限られた時間の中で、決められたケアを終わらせなければいけない。今回出演されている澤畑さんは、そんな状況の中でも入江さんのことを知ろうとしていることが素晴らしいと感じました。
・介護保険では30分とか1時間とかでやるべきことだけやって帰っていくイメージがあると思うけれど、時間の長短では無いと感じる。意識の違いかなと思った。例えば、訪問看護師さんでもリハビリの先生でも直接当事者さんと話したいと思う方は、ヘルパーとのコミュニケーションの取り方を良く見ていて、いつの間にか直接話していたりする。
コミュニケーション支援の必要性は、高齢の方の介護とは異なる点であり、重要な点だと思います。

本介助者の会メンバーより


あるALS当事者のもとで働く学生介助者の話

・入江さんと同じタイミングで泣いてしまった。
・排痰ケアで手で痰のあるところを確認していた。やったことが無かったのでなるほどー!と思った。
・新人さんに教えるのに「なんでこうやるんだと思う?」と、『教えるのではなくて考えてもらう』。すごく良い教え方!教える側のヘルパーにも問題があると感じることがあるので、“こんなふうに教えると良いよ”って研修方法のひとつとして提案したい
・この仕事でどんなことが得られたのか、どんなことがあったから辞めようと思ったのか・・・などもう少し具体的なお話が聞いてみたい。
・「辞めようと思ったけど、ここまで教えてくれたのに失礼かなと思って」と話してくれてました。よく「介護の仕事は大変そう」と言われますが、介護ほど人と人との繋がりを大切にできる仕事は無いと思っています。互いに話し合って信頼関係を結ぶというのは、どんな介護技術より大切なことだと再確認できました。

本介助者の会メンバーより


ある重度訪問介護の介助者の関係構築初期の頃について

・今は穏やかな日々に見えても、ご家族との距離感などに悩む時期があったのだと、悩む内容に違いはあれど、悩むのは自分だけではないと感じる。
・「一歩引きながら信頼を得る」「知識や経験をフル稼動する」。自分もそんなふうになりたいなと思う!
ベテランのヘルパーでも悩みやうまくできないことがある、というのが伝わってきました。スイッチの位置が上手くいかない&ご家族の気持ちのケアの話などは、具体的な内容で興味深かったです。
・スイッチの位置は、特殊なコミュニケーション支援が必要な方にとってはとても重要なポイント!クリックができない、呼び出しコールが押せない、となったら命の危険につながることがあるから。だから、うまくつけられないとすごく焦るので、清水さんのもやもやがすごくわかる

本介助者の会メンバーより


おわりに

補足ポイント

【透明文字盤の指し方について】
山田さんと清水さんの文字を指さす順番が違うようだけど、当事者さんがこの人はこの順番で来る!とわかっているのかな?
↓ ↓ ↓
・初めに「文字盤の使い方や指し方についてルールはありますか?」と確認したところ、「特にありません。ヘルパーさんのやり方で大丈夫です。」という返答だったそうです。
・透明文字盤は基本的な使い方やルールがありますが、当事者さんやチームによって独自のルールがあったり様々な工夫をしていたりします。その辺りは生活力向上講座で詳しくご紹介します☆

今後に向けて

今回は、6名の方にご協力いただきました。
他の方もそうですし、別の疾患の方にもご協力いただいて、少しずつ作成していこうと思っています。

当団体の3本柱、知ってもらう育てる繋がる
その中心になるこのプロジェクト。

皆さんの“何か”の一助になれたら幸いです。


お問い合わせ

info@sakaiwokoete.jp

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