見出し画像

社会とのつながりが途切れぬように―NPO法人マザーハウス会報「たより」2022年8月号Pick Up

NPO法人マザーハウスは、受刑者・出所者の社会復帰支援をする団体です。私たちは会報誌「たより」を毎月発行しています。
塀の中の受刑者から寄せられた手紙(便り)や絵、社会にいる私たちから送りたいメッセージなど、さまざまな内容が掲載されています。今回は2022年8月号の内容をご紹介します。

元受刑者による特別講義 寄せられた学生の声

マザーハウス代表の五十嵐が専修大学法学部で昨年12月に行った「法社会学Ⅱ」での特別講義に、学生さんたちが感想を寄せてくださいました。前回noteに引き続き、その一部をご紹介します。

社会の中で「活躍できる機会」と「居場所」をいかに確保するかが、出所者の社会復帰への鍵となっているため、社会の受け入れ体制を整えることが再犯を防止することになり、結果として社会秩序の維持につながると思うので、これらの課題を解決するために真剣に取り組んでいくべきだと思いました。

受刑者のイメージはなんとなくこわいのかなって思っていましたが、五十嵐さんの最後の言葉を聞いて、話してみるまで判断できないなと思いました。

イラスト01たより8月号

「塀の中からのたより」~受刑者からの手紙~

受刑者から私たちのもとに届いた手紙のうち、一部を抜粋してご紹介します。なお本人の許諾を得て掲載しています。

最後になりますが、本当の意味での償いは、刑期中に被害者側の立場を理解することだと思います。それを感じ取ることができれば、どんな犯罪でも「次」は無くなると思うんです。私が刑務所内で生活していることによって、外で待ってくれている家族は、常に肩身の狭い思いをしているに違いありません。心にも相当な傷を負っているはずです。服役している私より何倍も苦しんでいるのではないかと思うことがあります。同時に、同じ過ちを二度と繰り返してはならないなと、自身が向上して帰らないといけないな、と思っています。

(大阪のピーちゃんさん)

文通相手のご紹介、素敵なご縁を有難うございます。早速、相手の方より便りが届き、大変励みにさせて頂きました。一般の方が受刑中の者と文通をするなど、なかなか決意できるようなことではないはずなのに、それでも参加を決意してくれた相手の方にも感謝の気持ちでいっぱいです。十人十色、良くも悪くも色んな色の受刑者がいる中で、社会一般の方と、私達受刑者を繋いでくださり有難うございます。

(I刑 Tさん)

マザーハウスでは、受刑者と社会のボランティアを文通によってつなぐ「ラブレター・プロジェクト」を行っています。下記記事もよろしければご覧ください。

「塀の外からのたより」~出所者からの手紙~

出所者からの私たちのもとに届いた手紙のうち、一部を抜粋してご紹介します。なお本人の許諾を得て掲載しています。

私は受刑者であったことを人に話さず就職活動をしていましたが、その間中、ずっと人の目が気になり、知らない人と会うたびに、ものすごいエネルギーを使いました。それでも自分の人生、自分の後始末をつけるのは自分しかいないですし、これも罰の一つと考えて前向きにやっていました。
就職に関しても「何となく」や「どうにもならない」といったネガティブな感情は持たず、「どんなことをしても、やってやる」くらいの強い気持ちがあれば、割とすんなり成功するのではと感じました。
そんな私の下地ができたのは、マザーハウスの皆さんだけでなく、たよりに自分の状況や考え方を送ってくれた他の受刑者の方々のおかげでもあるのだと思います。

(元・朱い彗星さん)
(一兵さん)

編集後記

「たより」8月号を読んでいて印象的だったのが、受刑者の皆さん、出所後の皆さんが「たより」に対して非常に素直で率直な意見を投書しておられるところでした。マザーハウスでは出所後の方からも投書を募集しているのですが、服役中ももちろん大変なことはあるものの、出所してからも様々な手続きや居場所づくりが大変だという話が、『たより』の中にありました。

再犯・累犯を防ぐためにも、しっかりとした「居場所」づくりをお手伝いしているのが、マザーハウスの役割です。刑期中はラブレタープロジェクト、出所後は便利屋業などを通じて、受刑中の人にも居場所を作り、出所後には社会的役割を担ってもらうことで、社会との繋がりを意識してもらうことが大切であるように思いました。そして同時に、まずは社会における受刑者・元受刑者の現実をみなさんに知っていただくことが必要であると感じました。

(執筆:田代智美)

マザーハウスの活動へのご支援のお願い

NPO法人マザーハウスでは、受刑者・出所者の回復と社会復帰(就労や生活支援)のためのさまざまな事業を行っています。活動を支えてくださる方からのご寄付・ご支援をお願いしております。

このnoteやマザーハウスのウェブサイトをご覧いただき、活動にご共感いただけた方は、ご無理のない範囲で、ぜひご寄付・ご支援をいただければ幸いです。

ご支援の方法①NPO支援のプラットフォーム「Syncable」を通したオンライン支援(単発・継続支援をお選びいただけます)

ご支援の方法②口座への直接振込でのご寄付

ゆうちょでのお振込
振込先:
 郵便振替:00170-0-586722 
 特定非営利活動法人 マザーハウス
 ゆうちょ銀行 記号:10000
 番号:20404561
 特定非営利活動法人 マザーハウス
 オンライン(ゆうちょダイレクト)でのお振込はこちらから

みずほ銀行でのお振込
振込先:
 みずほ銀行 新宿支店
 普通口座:2376980
 特定非営利活動法人 マザーハウス
 オンライン(みずほダイレクト)でのお振込はこちらから

ご支援の方法③マザーハウスオンラインショップでの、フェアトレードコーヒー「マリアコーヒー」等のご購入支援

マザーハウスでは活動の一環として、「マリアコーヒー」を販売しております。マザーハウス事務所にて、元受刑者が販売に携わっており、収益金は受刑者の更生・社会復帰支援等に使用いたします。

ルワンダから仕入れたフェアトレードのコーヒーであり、生産地ルワンダの生活や産業の発展にも貢献しています。マリアコーヒーが使用しているルワンダコーヒーは、日本国内のコーヒーシェアにおいて大変貴重な希少種でありながらも、近年の世界中のカッピングコンテストでは上位入賞の常連です。

最高級のスペシャリティビーンズで、日本と取引実績のある、信頼できる現地サプライヤーより購入しています。ぜひお求めいただければ幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?