難病体験コラム 「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」「脳脊髄液減少症」「うつ病」40代男性

★「働きすぎ?」・・・疲れがとれない

約15年前、私は採用3年目の公務員でした。配属された部署が非常に多忙で、手の抜き方を知らなかった若さもあり、がむしゃらに働き続けた結果、翌年にはいくら休んでも疲れが抜けない症状に悩まされるようになりました。


「仕事さえ落ち着けば回復する」と考えて働き続けましたが、翌年以降の仕事も多忙を極め、病欠することが増えていきました。

健康診断で軽い異常が見つかれば、期待を膨らませて病院に行き「特別な異常なし」と診断され、落胆して帰るということを何度も繰り返しました。病名がわからないので休む理由も曖昧にならざるを得ず、休職することもできませんでした。

結果的に、無理を続けることに限界がきて、うつ病の診断をもらって休職することになりました。

うつ病になったときは疲労感など身体症状が先に出ることも多いらしいのですが、抗うつ薬も効かず、気持ちの落ち込みなど精神的な症状も少ないことから、精神科の担当医から「身体の症状はうつ病ではなく他の病気が背景にあるかもしれない」と言われました。

そこで、インターネットを使って情報を集め、多くの病院を訪ね歩きました。


★なかなか診断名がつかない


とにかく原因がわからないこと、いくら休んでも元気にならないことが苦しかったです。寝ていれば元気になるわけではないので、次の仕事の予定も立たず、まるで使い古して電池がもたない携帯電話のようだと思いました。

いくつか病院を回る中で、ある内科医から「慢性疲労症候群という病気もあるんだけど、それはもっとひどくて働けないくらいの症状だからね」と言われたことがあります。

結果的に慢性疲労症候群の診断がついたわけですから、そのときに専門医を紹介するなりしてくれていれば・・と今でも思います。


★生活の質がどんどん低下する


私の症状は多彩で、異常な疲労感・頭痛・身体痛・下痢・顔のほてりや足の冷え・起立不耐性(長時間立ったり座ったりしていられない)など多数あり、それぞれに対処していると、いくつもの病院に通院し、多種類の薬を飲み、身体をケアすることにプライベートな時間の多くを割くことになります。

医療費も通算数百万円は費やしたと思います。

仕事をしているときは、休日はほとんど寝て過ごし、趣味の魚の飼育も世話が追いつかず、たくさん死なせてしまいました。

目も非常に疲れやすく、読書などして気を紛らわすことも難しいことが辛かったです。

また、気合を入れればなんとか働けるため、どこまでが休むべき症状なのかわからず、ただ自分が怠けているだけなのかと悩みました。

仕事中は不思議とあまり症状を感じない代わりに、帰宅後や翌日にひどい悪化に襲われるため、上司や同僚から病気を理解してもらうのは非常に困難で「思ったより元気そう」という言葉にはどう返したらいいのか分かりませんでした。

現在3歳の娘がいるのですが、娘と遊んであげたい反面、横になっていたいというジレンマや、もっと大きくなったら遊んであげられなくなるのではないかという不安があります。


★気分転換

症状が軽いときはゲームや漫画で現実逃避します。小説も好きなのですが、長時間文字を追う読書は難しくなりました。

目が辛くなると、ラジオを聞いたり、スマホの読み上げ機能を使って無料公開されている小説を聞いたりします。

経済的な理由で車を処分して原付バイクに乗り始めたのですが、こちらは意外と楽しく乗っています。
 
 ★こんな社会になったら良いなぁ


現在の医療は「検査をして異常があれば治す」ということが基本になっているように思います。

結果として、検査の方法がない、医学の教科書に無い病気は門前払いされることになります。

痛みや疲労を客観的に測ることはできないからです。

患者の「辛い」という訴えそのものに耳を傾け、専門領域が違っても連携して医療にあたる診療体制があればと思います。

それぞれの医師に症状を説明して回るだけでも大仕事だからです。

国の指定する難病以外に、世の中には数百以上の難病があると言われています。

多くの難病患者の方々が団体を作り、世の中の理解や難病指定(病気の研究・医療費の補助)を求めて運動されていますが、一つ一つの病気を指定していてはきりが無いように思います。もっと大きな括りで、難病・障害を抱える人を支える仕組みが必要だと思います。

経済的に苦しく、娘をきちんと育ててあげられるかが常に不安です。

病気以外の理由でも貧困を抱える家庭などを包括的に支援する仕組みを整えていけば、難病・障害者も、一般の方々も、もっと生きやすくなるのではないかと思います。
 


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