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気功生活 Vol.137

2023.7.7 発行

心願成就
全てを手放し、
新しく迎え入れる。

無一物と無尽蔵 天野泰司
無尽蔵と無一物 〜心願成就との深い縁
翠と平和の総会II 報告と感想 吉田純子・山下尚
The Book of Life 6/14・6/25
がんの気功・保存版
 アイロン温熱療法
 がんとワクチン
梅雨の養生・急に暑くなった日に
『悲嘆とケアの神話論』と複雑性感謝  鎌田東二
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無一物 と無尽蔵

天野泰司

 蔦町の庭は、苔の緑が鮮やかです。梅雨は過ごしにくい季節だからこそ、体の内には、変わろうとする力が渦巻いています。今が変化のタイミング。体の声に従って無理なく過ごしましょう。

翠と平和の総会

 梅雨の合間のおだやかに晴れた6月25日。京都御苑の茶室・拾翠亭をお借りして、本年度の総会が開催されました。昨年度に引き続きお茶を楽しみながら、平和の本質に気づく集まりになりました。
 平和を考える時に、まず第一に思い浮かぶのは、争いのない生活を求めて無所有を貫き、奉仕に生きた一燈園の西田天香さんです。
その書「無一物中無尽蔵 花有 月有 楼台有」を床の間に掛け、お掃除から準備を始めました。
 天香さんは、他家のトイレ掃除など、下座の奉仕を進んでさせていただくことで、自他共に無垢な美しい心に立ち返り、争いの根を断つ「行願」ということを生活の中心に据えていました。これは私のもの、自分の力で成したこと、といった所有やおごりの心を離れて、素のままの自分に還る。「無一物」とは、おそらくその純粋で美しく満ち足りた心持ちのことではないかと思います。

 「物そのものは本来誰のものでもない、すべて全体のものである」「拝むとうのは自分をなくするのです、自分をなくすると全体が自分である」……。天香さんは、そう言われています。所有を離れ、自我を離れると、あらゆる物や力が「無尽蔵」にそこにあることになります。この「無一物中無尽蔵」は、いわば先天世界の様相。生まれる前はみんな無一物だったので、赤ちゃんの心になれば、いつでもそこへ還っていけます。

落ち着いた生活

 『西田天香語録』に、「今いちばん世界で要求していますものは、落ち着いた生活でありましょう。それは、思い切って複雑なものを捨てることによってでないとあらわれてまいりませぬ。あらゆる点において人類全体が楽しめること、落ち着けること、そうしてまた闘争しないような平和な世界を生み出すには、極度に単純な、ありのままに帰らなければならぬ。そうしたものが一番値打ちのあるものです。また美しい尊いものです。」(一燈園出版部)とあるのを読み、私は、気功の大きな可能性を感じました。「落ち着いた生活」そして「平和な世界」を生み出すには、次々と新しい何かを求めて複雑にしていくのではなく、どこまでもシンプルにやさしく、ただありのままの自然を味わうような方向性がピタリと合います。

 「心がおちつく やさしい気功 」を筆頭に、シンプルでやさしく、無心になって、素のまま、ありのままの自分へ還っていく気功を、私たちはずっと大切に育ててきました。人種や国籍、宗教や思想、地位や肩書き、性別や年齢を問わず、やわらかに自分をなで、気持ちよく体をゆらし、ゆっくり息をすることで、誰もが簡単に、自らの自然性に気づき、落ち着いた平和な心持ちに戻っていくことができます。
 その一番の基本は、力を抜いてゆるむこと。心身の心地よいゆるみは、「無一物」の世界へと私たちを誘い、その向こう側に「無尽蔵」が広がっています。

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