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誤った認識が…「独り言」


「低学年指導の罠」

年末も押し迫り、今日のクリスマスが過ぎると、日本国中新年への準備に入る。しかし、年々、日本の正月の風情がなくなって来ていることが寂しい。今年は、後半から教育界に学習の低年齢化の波が押し寄せてきた。中高生から指導に力を入れ初めても遅い、というのが大方の見方であり、実感である。算数という学習で、子ども達の状況分析をすると、やはり小数・分数での躓きが目に付く。特に、計算では、数の概念に問題を抱える子が多くいる。

今月初めに行われたプリンスジュニア新越谷校のセミナーで、タイルを使用した小数指導について保護者から質問があった。1より小さい小数を掛けると元の数より小さくなる。私達では当たり前の概念だが、子ども達はそうではない。整数に小数を掛けると小さくなるという概念は簡単に理解出来るものではない。しかし、この小数概念を理解する前に、子ども達には誤った認識を与えてしまう事がある。それは、身勝手な大人の指導によるものが原因としてある。

計算の基本は足し算だ。その手前である数指導で、数の構成を知る合成分解の学習がとても大切になる。数の構成と共に、「0」の概念、2桁の数の概念(位取りと十進法の概念)を系統的に指導しまとめていくことが大切だ。これらには、半具体物であるタイルを使い、実際に操作し体感することが重要である。しかし、この頃から数字だけで指導し、具体的な操作無しに計算をする傾向がある。計算の誤った概念は、数字だけで指導されてきた子ども達が、引き算指導に入ったときに起きる。この概念には意味的なものと、計算などで行う手続き的なものがある。意味的な概念は勿論文章問題で指導が行われる。この時点で、問題の文章を理解する必要が生まれる。足し算では、その性質上○+●でも、●+○でも答えは同じであった。しかし、引き算では違う。そこで文章の中から「大きい数から引く」という指示や指導をしてしまう。文章を読むのではなく見る行為をさせてしまう。これだけではない。筆算でも、計算を行わず位置の移動だけという指導もある。「一の位の計算は0+2、だから2がそのまま降りてきて2。」というものだ。すると、引き算でも同じような誤った計算をしてしまう。

こうして、指導の中で誤った指導が機械的に行われる場面をよく見る。すると、子ども達は次第に誤った認識で学習に臨むことになる。掛け算も、1あたりの数×いくつ分=全部の数として指導すれば問題はない。この基本的な概念が、小数の計算指導をスムーズに進行させてくれる。図を見て頂くとお解りのように、1より小さい数を掛けると、元の数が小さくなる事がご理解頂けると思う。小数という1より小さい数を表すには、より具体的な指導が望ましい。その為、タイルは算数指導に於いて優れた教具として位置づけられている。他の、計算棒・おはじき・ドッツでは、こうした指導は難しいだろう。ただ、この指導は指導者の力量にもよる。指導の緻密さも必要になる。

引く場合も、割る場合も、低学年時代の指導で、「大きな数から引く・大きな数を割る」という指導の刷り込みが、思考力を失わさせるという結果を招いてしまう。思考させずに、要点のみ文から抽出させ、立式させてしまう。すると、中学で学習する方程式で12X=4を、X=12÷4として計算してしまう子どもを作る。中学生で方程式から躓くのは、基礎計算を安易な指導で学んできた子どもに多い。学習の低年齢化が進む中、指導者の育成も焦点に入れて臨まなければならないだろう。幼稚園で、幼児教室と同等の、質の高い知的学習が行われ始めている。保護者の方々の認識も高く、専門的な質問も増えている。もっと多くの保護者の方々に、低年齢の指導に関心を持って頂きたいと願う。

2013/12/25


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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