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生活と学習

「1,記憶力」

学習現場では、常に子ども達の学力を上げるための論議が盛んに行われています。その殆どが、フラッシュカードや暗記、繰り返し学習などの指導法に委ねられるのですが、別の角度から考えると、記憶は何によって蓄えられるのかを考える必要があるのではないかという疑問が出てきます。

記憶には、宣言的記憶(意味記憶・エピソード記憶)手続記憶の2つがあります。基本的なものは宣言的記憶で、言語によって記述できる事実に関する記憶です。つまり、記憶には「ことば」が必要だということが解ります。よく言われる物心つく年齢は3~5歳児を指しています。この時期はことばを覚える時期と重なります。語彙数の獲得は、記憶力を高める。当然のことのようですが、記憶力向上には語彙数を高める為の積極的指導となります。

また、意味記憶ですが、「何が何だ、何はなんだ」という一般的な知識を指しています。「知識」と言って直ぐ頭に重い浮かぶ指導がフラッシュカードです。フラッシュカードはこのことからも重要な指導法であると言えるでしょう。エピソード記憶、これは、時間的、空間的な内容に関わる出来事の記憶を指します。体験や経験が必要であることがお解りいただけるはずです。

記憶には、語彙の獲得と一般的な知識の獲得が必要です。このことからも、石川メソッドで言語や経験体験という生活体験に重点を置いている事の意味がご理解できると思います。こうして得た記憶は使用して初めて定着していきます。つまり、読む・書く・聞く・話す・作るの学習要素を使い繰り返し使用することが記憶の定着として臨まれます。すると、もう一つ手続記憶があります。石川メソッドの中にある要素にタイル指導があります。タイルを操作し繰り上がりの計算の手順を覚えたり、十進法の仕組みを理解します。こうして手続きを踏みながら記憶します。石川メソッドでは、手続記憶には必ずしも言語的記述を必要としないのですが、敢えて、言語的部分も加えています。この手続記憶に「触る」という感覚が加わります。

記憶は、更に思考により新たな情報に生まれ変わります。「鯨」という名詞と「ほ乳類」という名詞が思考により加工されると、「鯨はほ乳類です。」という新たな意味を持った内容に変わります。この記憶は、更に「イルカは…」「イルカも…」と幅を広げてきます。これが、学習という指導の成果となります。一つの詩を丸暗記することも記憶の訓練にはなるでしょう。しかし、記憶された内容を更にその幅を広げるためには、思考という「記憶の加工」が必要です。だからこそ、その基礎となる語彙数の獲得は、子ども達の記憶力を高めるために必要であり、語彙数の差が学力の差となって現れるのです。学力中心社会になって来ましたが、やはり、ゆとり時代であっても記憶力は高い方が良いに決まっていたはずです。保護者の意識が高まってきたことを背景に、幼児教育もその質を変えています。新年から試験的に行う「積極的語彙数獲得の為の授業」の結果が楽しみです。

2013/12/21


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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