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感覚教育

「子ども達を守る」

今日の朝刊に「千代田区 公園でボール遊び解禁」という記事が載っていました。子ども達の遊び場が久しぶりに帰ってきました。子ども達がゲーム機に夢中になっていった背景と、遊び場である公園で多くの規制が始まった時期と重なります。大人が取り上げた遊び場、遊び場を失った子ども達が行き着いた場所は家でした。その後、子ども達はゲームに嵌っていきます。これがゲーム世代を作り、今でも多くの問題を抱えるに到りました。

社会は驚くほど便利になりました。平行して子ども達の環境は大きく変わりました。生活環境、食環境、社会環境、考えてみると、子ども達の成長発達に問題のあるものばかりです。便利さと同時に失ったもの、その代償はあまりにも大きいものでした。子ども達は、年ごとに不器用さが目立つようになって来ました。あるテレビ番組の街頭料理コーナーでは、「~ぽい」「~らしい」「こんな感じ」と実際の料理とはほど遠いものばかりで唖然とさせられます。家庭で料理は作られているのでしょうか。「食育」とは、食べる事だけではなく、料理をする事も含まれています。しかし、冷凍食品、レトルト食品等の売り場面積が広がるにつれ食育は乱れてきました。簡易に出来るもの、温めるだけで食べられるものを食べていると、素材も調味料も、料理方法もわかりません。常識や道理も理解できず、出来ている完成品だけを見ていると、大切な感覚が麻痺してきます。子ども達の、感覚の交通整理が出来ていないのは、このような背景があります。不器用になって来たのも頷けます。大人が手先、指先を使うことが少なくなってきたため、子ども達は手本を失ってしまったのです。

感覚で養われる学習の基礎は全ての教科に関係してきます。手間がかからず便利だから、もう、お気づきでしょう。子育ては手間のかかることばかりです。その手間とは、読んで字の通り、手の間と書きます。手の間で出来る事を放棄したときから、人としての発達は止まります。それは、子どもの成長発達だけでなく、親としての成長も止まってしまいます。すると、子ども達はどの様に育っていくのでしょうか。料理は人の作ったもの、子育ては学校任せ、子どもはどこで親の愛情を感じるのでしょうか。料理の味は親の愛情、それを知らずに育つ子どもの心は何を感じるのでしょうか。豊かな心に育つのでしょうか。感覚教育は、子どもにも、親にも、大切なことを教えてくれる学習です。「お母さんの作る料理は、お母さんの臭いと笑顔の味がする。」と言った子どもがいます。感じた事を素直にことばに置き換えて表現した子、勿論、この子の笑顔は光輝くものでした。

2013/2/20


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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