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ことば

「語彙数を高める」

数多く寄せられるご質問に「語彙数を増やすには」がある。前回、幾つかご紹介したが、一般には「読書」が良いとされている。本を読めば語彙数も上がると単純に考えてはいけない。ここで大切な事は、語彙を高める為の読書では、選択する本の内容が重要になると言う事だ。言葉を覚えることが目的であることを再確認すると、既に知っていることばで埋め尽くされている内容では意味がないことが解る。

文章の書き方や、接続詞の使い方等には良いかも知れないが、語彙を高めるには内容が薄すぎる。「かなり読書をさせているが、普段話す言葉や、文章表現などから、語彙数の多さを実感出来ない。」と嘆く保護者は数多い。読書=語彙数の獲得という公式は通用しない。読書を前提とすると、語彙数を伸ばす幾つかのアイテムが必要になる。それは、辞書、図鑑、付箋、ノートなどだ。また、書籍を選ぶには、教科書に出てくる内容のものを選ぶと良い。それは、子ども達の知らない未知のものを扱っている文章だからだ。既知ではなく未知の内容に触れなければことばは増えない。だから、あらゆる事に興味関心を示す子どもほど語彙は豊かである。

初めて出てきたことばに対する積極的学習行動は、辞書引きであり、ノートへの書き写しとなる。ことばは、見て覚え、書いて覚える者だ。が、しかし、覚えたことばを実際に使わなければ意味はない。文章表現で使う事もあれば「話しことば」として、実際に使用する事もある。その中でも「話す」事はとても大切だ。プリンスジュニアの教室では、先生の質問に答える指導を行っているが、単純な質問から思考を必要とする質問まで幅広く行われている。語彙は、使う事で定着しことばの土台となる。読むと言う学習はあっても、「話す」という指導は殆どされていない。話す学習はヨーロッパに於いて「修辞学」として必要な学習という位置づけがされている。話すと言う事を積極的に取り組む事が必要であろう。

子どもとには数多く話しかける必要がある。会話の成立条件は、相手の話を聞かなければならない。会話によることばの学習は、机上のものより遥かに生きた学習となる。指導はシンプルな方法が良い。

2012/9/27


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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