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水道方式の復活

「数指導→算数指導→数学指導」

「算数の探検」という本がクローズアップされている。水道方式は、それまでの数え主義という算数指導に一石を投じた。この本は、その水道方式を内容毎に幾つかに分けまとめた本だ。それまでの指導法では、幼児から小学生、そして中学生とステップアップしていく指導に一貫性がなかった。また、水道方式は、算数:数学という論理的学習の特徴を活かし、「分析総合法」という考え方で臨んだ画期的な指導法だった。この指導の産みの親である遠山啓先生は既にお亡くなりになったが、私は、この指導法に40年前に出会い、分析総合法という考え方と学習の系統性という大切な考え方を教わった。

水道方式の誕生は、次第に増加していた「落ちこぼされた子ども達」対策としても用いられた。時代は、高度学習時代まっただ中だった。その批判は落ちこぼされた子ども達の増加と共に高まり、次第に先の「ゆとり教育」へと傾斜していく。水道方式は落ちこぼされた子ども達の指導に実に有効的だった為、一部では、出来ない子の為の指導法として定着し、健常児には適さないのではと誤解されるようになった。水道方式指導の特徴としてタイルがある。しかし、数え主義で慣れてしまった子ども達からは、「面倒くさい」「タイルを使うのは出来ない子だけ」など嫌がられ、加えて、大人達の偏見が子ども達のタイル使用の大きな弊害になった。

「水道方式入門」という指導者の為の本がある、整数編・小数分数編・計算体系と数多くの書籍が出版された。その中で「歩き始めの算数」がある。水道方式によるタイル指導が広まるにつれ、障がいを持たれた方に適していることが解ってきた。ここでも水道方式に対する偏見が生じてくる。「障がい者の為の指導法」という言葉が多く聞かれるようになったのだ。しかし、間違えてはいけない。教育というのは究めていけば解るように、基礎教育、つまり幼児教育など、ことばを自由に扱えない子ども達を指導する場合、こうした障がい者教育と相通ずるところがある。健常児教育も、こうした幼児教育(基礎教育)や障がい者教育を否定しては成立しないのだ。故七田眞先生が唱えた「右脳教育法」がある。この指導の原点は障がい者教育であったことをご存じだろうか。脳障害に至った場合、残された脳の機能を最大限引き上げることが優先される。特に言語機能を犯されている場合の知能発達には限界がある。言語機能は左脳に集中すると言われていた、その為、右脳を活かした指導法が開発された。言語性だけではなく他の能力を引き出す指導だ。同時に言語性の向上にはフラッシュカードが有効的な指導手段となった。この指導法は、健常児に活かすことでより効果的な授業を可能としたの承知の事実だ。それが、今、私たちが取り組んでいる幼児教育に繋がってくる。結果は、既に出始めており、幼児期からこの指導で学んだ子ども達の活躍は既にこのブログを通してご紹介した通りだ。

時代は、水道方式を必要とし始めている。数の考え方を基礎から系統的に学ぶには「水道方式」が一番だろう。しかし、残念ながら幼児から中学生まで、この水道方式で指導している教育機関は少ない。特に、幼児算数の研究開発をしてきた私にとって、プリンスジュニアだけでなくもっと多くの幼児教室や幼稚園、保育園で指導をして頂きたいと切に願っている。2桁のかけ算と因数分解/式の展開の関わりを見ていて、数学指導に於いて具体物の使用が可能なのかと驚かれた中学校の先生がいた。手こずっていた、一次関数のグラフの指導がこれほど解りやすく出来るのかと感心しきりの先生もいた。これから、高度学習時代を迎える子ども達は、出会う先生の指導力、指導法如何で成績が大きく変わるだろう。右脳教育でよく使われた「イメージ力」は、タイル指導による、視覚、触覚、の感覚教育が加わり新たなステージが与えられた。水道方式は、幼児期の数指導、そして小学生の算数指導、中学生の数学指導と一本のライン上に並んだ。水道方式の復活は、既に訪れている高度知的学習が選択させたのかもしれない。

2013/1/25


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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