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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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#算数

算数タイルの活用

「これからの算数・数学指導にタイルを!」② 子ども達の学力低下の一因は、国語力の低下です。そして、子ども達の獲得すべき語彙の内容にも問題があると思われます。また、国語力の低下と同時に、実体験の不足も上げられるでしょう。思考の源はご存じの通り「ことば」です。そして、この「ことば」を更に印象づけるのが実体験です。よく、このブログでも取り上げる、TV番組で若い子に指定した料理を作って貰うコーナーがあります。先日は「サザエの壺焼き」でした。「サザエ」「壺」「焼く」このことばから彼女

幼児の算数、幼児の国語

「年長児の義務教育化で何が変わる」 「幼保の年長児に、小学1年生の国語と算数指導を」というニュースに、様々な方から御質問やご相談を受けました。また、コメントも寄せられました。これからの審議によるかと思いますが、導入が決定されると、教育界の底辺からの改定ですから大きな影響が出てくるのは必至です。幼保の年長に対し、公的に行われる小学校の教科対象となる国語、算数の指導ですから、小学校受験も大きく影響を及ぼすことは避けられません。ただ、現在、対象児童の全員が幼保に通っているわけでは

考えない子ども達

「算数の問題で…」 多くの小学生が躓く問題があります。それは、「距離・速さ・時間」・「割合」・「比例・反比例」「単位換算」などです。その中でも、「距離・速さ・時間」に関係する問題と、「割合」では相当手こずっているようです。算数では、よく計算の重要性が叫ばれます。それは、その後出てくる多くの問題を解く際に必要な学習だからです。計算ができなければ答えを導くことはかなり難しいでしょう。だから、計算練習が多くなるのです。ただ、計算問題ばかり練習しても、算数を理解したとは言えません。

イメージと理解

今日2回目の更新です。 これからの学習で、子ども達に必要とされる「問題解決能力」を養うためには、刺激や繰り返しだけでなく、学ぶ内容のイメージが重要となります。算数では、何かと数字中心に指導が進みますが、数字に至る手前の具体的思考と、具体的思考に至るまでの学習の導入が重要になります。 算数指導(?)でよく見られる数え主義と呼ばれる、指を折って数を数える指導では、小数・分数、掛け算・割り算などで躓く原因ともなっています。当初は速いのですが、問題の内容が次第に複雑になるにつけ、

何故解けない文章問題

子ども達にとって最も苦手意識を持つのが文章問題と図形です。そして、この二分野に共通するのが「思考」と「イメージ」です。文章問題は応用問題とも言われ、様々な要素が加わり構成されています。ですから、単純に数字だけを追っていくと「足し算?引き算?掛け算?それとも割り算?」とお決まりの質問が子ども達から飛んできます。こうした傾向は小学2~3年生頃から見られます。つまり、足し算、引き算、掛け算、割り算という四則計算の概念が出そろう時期だからです。 計算にはそれぞれに考え方があります。

見直される算数指導

「タイル学習」 最近、連日全国からタイルのご注文や問い合わせを頂きます。殆どの方が、私どもの動画映像をご覧になってのご注文です。やはり、指導の仕方や、タイルの応用がご理解頂けると指導もし易いと思われます。タイル指導は、指導対象が幼児から中学生までと幅が広く、昨日も解説させて頂いたように、小学生低学年で指導される、タイルを使った2桁の掛け算ですが、そのタイルとタイル図がそのまま式の展開と因数分解に応用できるのです。中学の教科書もタイルを模した図が使われています。しかし、タイル

「分析総合」算数指導

「算数指導を考える」 劣等意識 子どもが持つ意識の中で最も学力に悪影響を及ぼすのが劣等意識です。30年ほど前までは、小学3年生後半から4年生ごろに劣等意識が芽生えてくると言われていました。しかし、最近ではその年齢が下がり、幼児でも持つと言われるようになってきました。幼児期では、過度な受験対応と、合格に至らない場合において顕著に見られるようになりました。また、保護者による言葉の虐待が招くこともあります。虐待の中でもかなり日常化している精神的虐待は、言葉による人格の否定、能力の

「分析総合」算数指導

「算数指導を考える」 昨日は、文章問題の分析で、加法までお伝えしました。さて今日は減法、引き算です。減法の文章問題には足し算以上に様々な要素が加わっており、子ども達が文章問題に苦手意識を持つ一番大きな要因となっています。保護者の方から引き算の文章問題に関する質問が多いことからでも、子ども達がかなり苦戦していることがわかります。引き算の文章問題の基本は残りを求める問題で「求残」と呼ばれる問題です。「残る」この言葉の持つイメージや、実際の体験が文章問題を解くための大きなヒントに

こんな所でつまずく算数

「ケアレスミスが全ての元」 中学生の数学、テスト採点をしていると頻繁に出てくる「+」と「-」の符号ミス。分析してみるとそれがミスでないことに気付きます。一定のパターンの数式でそのミスが発生しているからです。これはミスではありません。正負の符号の付いた計算の中で、足し算や引き算の場合と、掛け算や割り算の場合で異なる符号の変化をしっかり学びきれていないことが原因です。こうした一見ケアレスミスによる計算などの間違えは、認識不足や学習不足が主な原因です。こうした学習の積み残しは小学

算数の得意な子に!

「これからの時代に」 時代の変化と共に、教育への要求も変化してきます。算数教育は、認知心理学の多重知性論の中で「論理数学的知性」として位置づけられ、思考力を必要とする論理性を求められています。考える力は、抽象思考の前に具体的思考が大切で、それは、昨日も申し上げたように、具体的な経験や体験が必要になります。 具体的な経験や体験では、まず料理を上げましたが、買い物も大切な体験的学習になります。以前にも申し上げたように、「選択」をさせることで必然的に思考させる場が作られます。金

算数が得意な子に!

「算数指導」 毎週日曜日の午後に放送されるあるテレビ番組が好きで、さて、今日もどんな大失態を繰り広げてくれるだろうと楽しみにしています。それは待ちで、若い女の子に与えられたテーマの料理を作って貰うコーナーです。見ているだけで、その子の家庭での生活が見えてきます。まず、料理は学校の家庭科でする程度、殆ど家庭では作っていないのでしょう。でも、最近では、料理を作らないお母さんも増えているので、多少は頷けるのですが…。 料理は、学習の宝庫です。料理は科学(化学)であり算数(数学)

数・算数・数学指導

「学習の成果」 言語教育の話が続いたので、数・算数教育について述べてみたいと思います。学習成績で真っ先に評価の対象となるのが数・算数・数学という教科です。多くの方が、人の頭の良し悪しをこの教科で判断します。ある東大出の女性タレントが、平方根、いわゆるルートの付いた計算を解いたところ、スタジオ内で歓声が上がり、「さすが元東大生だ!」という声が至るところで発せられました。 数教育は系統性を大事にしなければならない学習です。積み重ね、応用、思考という、大抵の人が苦手とする内容が

重要性を増す「家庭学習」

「経験を与える学習」 来週後半は早いもので3月に突入です。新年度の準備はお済みでしょうか。この1年で、幼児教育への関心がかなり高まってきたことを肌で感じます。幼児教育の場合、今まで、学習色を出していた教室は保護者からは敬遠がちでしたが、脱ゆとり教育が進むにつれ、今までとは逆に幼児教育にも「学習成果」を望む声が高まってきました。学習効果といっても何を基準に見ればよいか解らないという保護者も多いはずです。 また、学習に必要な知識や経験、体験も具体的に何をとなると直ぐに思い浮かば

思考の前の知識

「基礎がものを言う」 ES細胞やiPS細胞とは異なる新しい万能細胞、『STAP細胞』の作成に成功した小保方晴子さん。これは我が国の基礎研究レベルの高さを世界に知らしめた。しかし、その画期的な、また常識破りの論文であったため、昨年春、世界的に権威ある英科学誌ネイチャーに投稿した際は、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している。」と酷評され、掲載を却下されたと言う。なるほど、こうした知識偏重と権威主義が科学の進歩を遅らせる事もあるのだといことを知った。いずれにしても、こうした