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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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2023年1月の記事一覧

99点、なぜ叱る

「子どもの成績 目標100点!」 先週末、春期講習が修了しました。初めて参加した生徒は、春期講習で大きく成長しました。入塾の際、保護者の方から「色々と問題を抱えている子なので」と相談を受けていました。学習について行けるかとても心配されていました。「場合によっては特殊学級も視野に入れている」という内容でした。人とのコミュニケーションが苦手な子です。会話も途切れ途切れになります。でも、文字をとても丁寧に書ける子です。こういう子は伸びます。間違いなく伸びます。そう思って臨んだ春期

これだけ言っても?

「なぜ言うことをきけないの!」 子どもはよく同じことで親から叱られます。親も「なんで分からないの」とつい怒ってしまいます。こんな光景はどこの家庭でも見られることでしょう。ただ、このようなことが度々おこると親も子育てに自信を無くし、イライラしてきます。この光景を冷静に振り返ると、子どもに感情をぶつけていたり、くどくどと話をしている自分に気づきます。これは特別なことではなく、相手が大人であれば理性や理論で訴えることができます。でも相手は子どもです。 子どもは3歳を過ぎたころか

学習「五大要素」

「力の連携」 古くからある学習指導があります。「書写」がそうです。この学習方法は今でも受け継がれており学習の定番となっています。この指導は、非常にシンプルですぐには効果として現れませんが実に素晴らしい学習法です。シンプルゆえに、その学習法はバラバラで指導としての一貫性を欠いているように思います。基礎編の書写は既に完成していますが、書写の指導を取り入れた自学自習用の漢字練習帳がもうすぐ出来上がります。書写の基礎編にあるように、使い方なども載っています。漢字練習帳は1~3年生で

学習「5大要素」

「本物の基礎学習に迫る」 原点回帰、正論回帰、指導要領の変更に伴い、ようやく教育論や指導論を本気で語れる時代が来ました。ゆとり教育の影響からか、物事に対して短絡的な考え方や捉え方が主流になってきました。人の話を聞くことも苦手になっています。これらは子どもだけに限ったことではありません。これからの教育には、指導者の質、保護者の質、子どもの質が問われます。しかし、幼児期に限っては、保護者と子どもはまだ成長過程にあります。勿論小学生の低学年も同様です。 人は、何の障がいもなく生

学習の基礎・基本

「原点に戻ろう!」 昨日は私の○○年目の誕生日でした。フェイスブックやメールからおめでとうのことばを、そして花などを頂戴しやはり、祝福して頂くのは嬉しいものです。教育を一生の仕事として選んでから37年になります。最近、ある方から「原点に戻るべきだ」ということばを投げかけられました。その原点とは、以前お伝えした、17年前沖縄で行われた研修会でした。 新規に立ち上げられた幼児教育団体に顧問として招かれ、教材開発や職員研修、そして塾の先生方に対する研修等を中心に活動していました

学校や塾から見放される

「新たな落ちこぼしは…」 既に多くの方がご存じのように、学習について行けない子どもは小学1年生から存在しています。この状況は、ゆとり教育時代にも見られましたが、教科書も一新された時期からより目立つようになってきました。民間教育でも、この状況は把握していましたが、低学年指導の必要性というより、経営的な面が目立ち、本格的な学習指導には至っていませんでした。一部幼児教育で行われていますが、本格的指導となるとそれは少数でした。 学習についていけない生徒の状態分析は調査する前から予

学校や塾から見放される

「教育再生」 自民党の教育再生実行本部から新たな提言が出されました。それによると、「理数教育の充実策として、文系を含むすべての大学入試で理数科目を必須とすることや、小学校の理科の授業をすべて理科専門の教師が行う」という内容です。東大の推薦入試、今回の提言など教育界は大きく様変わりをしそうです。 先週、私は興学社学園のプリンス事業部(塾部門)の先生方対象の研修に出向いていました。幼小中一貫教育を目指す本学園の考えで始まった研修会です。ここでは、主に算数・数学系の研修が中心な

学校や塾から見放される

「教育新時代」 1970年代、教育界に「落ちこぼれ」という言葉が広がりました。学力優先、詰め込み教育、能力別クラス編成等、点数で人の価値を判断するかのような時代でもありました。「落ちこぼれ」は「落ちこぼし」という言葉に変化していきます。これは、子ども達が学校や塾から見放されたことを意味しています。この世代の人たちがその後10年、20年と立ち、親となりました。親になった時に、新時代の教育に求めたものが「ゆとり教育」でした。この「ゆとり」という言葉も変化し「ゆるみ教育」となりま

描く

「絵を描く」 子どもの絵を見ていると、その子の成長過程が見えてきます。子供たちが最初に描くのはたいていの場合「顔」です。それは、幾度となく間近で見るからです。次第に顔だけでなく手や足も描くようになるのですが、顔の横から手が、下から足がと、胴やおしりなどはもう少し時が必要です。 子どもが絵を描くようになること、それは脳の大きな発達を意味しています。頭の中にあるイメージで描かれる絵は目の位置や口の位置などがちぐはぐです。自分の中の顔のイメージを、描き表わすので抽象的になります

親子関係

「人情」 父子関係を描いたテレビドラマが日曜日に終了しました。このドラマがどの程度の視聴率を上げたかは知りません。しかし、その内容は、親子関係、人間関係と考えさせられるものでした。今回の主役は「父親」です。我が子を落下する荷物から幼い我が子をかばおうと命を落とした母親、その後、父と子の生活が始まります。不器用で木訥としている父親、素直で利発な子、この親子を見守る寺の和尚。そして、友人や職場の人たち、日本人ならだれもがそうするはずの光景が映し出されます。幼くして母を亡くした子

独り言-未成熟な教育

「学校で何が起きているのか?」 佐賀県で中学1年生の男子が「いじめ」を受け、70万円も脅し取られたという。殴る蹴るという暴力、更に金銭を脅し取る、刑事罰、民事罰に相当する行為が昨年4月から行われていたという。これ自体が異様で異常な状態であったはず、保護者が少年のアザなどに気づかなければと思うと背筋が寒くなる。学校は本来学問を学ぶところであるが、このようなことを真顔で言うと馬鹿にされる世の中になってる。 昨年の4月からいじめが始まったと言うことは、小学校を卒業した翌る月だ。

独り言-未成熟な教育

「学校で何が起きているのか?」 あれだけ騒がれた体罰問題が話題に上らなくなってきた。問題は解決されたのだろうか。体罰問題を分析してみると、主従関係にあることがわかる。すると、教育という世界も主従関係になってしまうのだろうか。 17年前に撮影されたビデオが手元に届いた。そこには40代の私が映っていた。沖縄で行われた研修会だった。ここから、塾の先生方対象が始まり、全国を飛び回った。幼児教育という立場から話をさせて頂いた。教育というものの原点を先生方に語っている私がいた。今日の

一歩先を見る

「ものの与え方」 今日は、研修会があったので、ブログの更新が遅れました。今回の内容は一歩先を見る「ものの与え方」ですが、もう一つ<賢い子を育てる>が入ります。 子育てには様々な悩みがついて回ります。健康、食事、遊びとおもちゃ、学習と教育数え上げるときりがないほどです。わが子を健康で賢い子に育てたいと誰もが願うことです。しかし、可愛いあまりいくつかの点で度を越してしまうこともあるのです。 まずは「おもちゃ」の与え方です。「おもちゃの役目」をご存知でしょうか。その前に、子ど

家庭学習

「家での学習」 多くの場合、家庭学習は山あり谷ありの状態で、平均した学習活動にはなりにくいのが現状です。原因は簡単なことで習慣化されていないからです。そして、習慣化されているものは、短い時間で終えるものが多く、歯磨きや洗顔など毎日当たり前のように行っています。実際、朝起きてからの行動もパターン化、習慣化されており、動きを表す動線もほぼ同じです。学習も、このように習慣化することが大切で、幼児期では躾の一つとして捉えるという考え方もあります。 何事にもそうですが、習慣化に向け