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親子関係

「人情」

父子関係を描いたテレビドラマが日曜日に終了しました。このドラマがどの程度の視聴率を上げたかは知りません。しかし、その内容は、親子関係、人間関係と考えさせられるものでした。今回の主役は「父親」です。我が子を落下する荷物から幼い我が子をかばおうと命を落とした母親、その後、父と子の生活が始まります。不器用で木訥としている父親、素直で利発な子、この親子を見守る寺の和尚。そして、友人や職場の人たち、日本人ならだれもがそうするはずの光景が映し出されます。幼くして母を亡くした子は、母の味だけでなく、母の思い出もありません。そして、この子が成長するに従い、親子の絆も深まっていきます。父子家庭とはこうだろうと納得し、周囲の助けを借りなければ育児は難しいと実感させられます。しかし、この関係を見つめていくと、誰もが助けたり、助けられたりでそれぞれが対等の関係であることに気づかされます。社長も従業員という上下関係がないのです。

最近、娘と父親の親子関係に変化が出てきていると言われています。父親の存在は自然に例えるならば大地なのでしょう。母親は太陽なのかもしれません。戦後、次第に父親の威厳が低下しました。すると、コマーシャルでも父親を馬鹿にしたものが数多く出てきました。最近、コマーシャルも、テレビも特定の会社やタレントが出てくると、チャンネルを変えたり、消音ボタンを押す回数が増えていると聞きます。人を馬鹿にする、まして父親を馬鹿にする、こんな低次元のCMを誰が好むのか、作り手や、それをCMとして流す側の倫理観を疑ってしまいます。早く気づいてもらいたいものです。

美輪明宏さんの「ヨイトマケの歌」が注目された背景には、日本人の持つ心が呼び起こされたからではないかと思います。そして、この歌を若者が認めたことに大きな意味があると思うのです。若者の中に、ことばには表現できない社会全体への疑問があり、同時に人間関係に関する不安と疑問を感じているのではないでしょうか。その昔、皆が持っていた「人情」という優しさに、親子の絆に、美輪さんの歌を通してその原点に触れたのではないでしょうか。

子育ては、両親だけではなく、周囲の人々の助けが必要です。このことを親が、保護者が理解をしなければなりません。ドラマでは、父親の親代わりをしていた和尚が出てきます。我が子より厳しく、親代わりとして接してきた和尚。その存在は大きく、二人っきりの親子にとってかけがえのない人でした。このように、子育ては、人の助けを借ります。誰もがそうです。核家族化が進む世の中ですが、人情だけは捨てずに生きていきたいものです。

2013/3/22


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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