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学習「五大要素」

「力の連携」

古くからある学習指導があります。「書写」がそうです。この学習方法は今でも受け継がれており学習の定番となっています。この指導は、非常にシンプルですぐには効果として現れませんが実に素晴らしい学習法です。シンプルゆえに、その学習法はバラバラで指導としての一貫性を欠いているように思います。基礎編の書写は既に完成していますが、書写の指導を取り入れた自学自習用の漢字練習帳がもうすぐ出来上がります。書写の基礎編にあるように、使い方なども載っています。漢字練習帳は1~3年生です。いずれ、ホームページでご紹介したいと思います。また、基礎編の書写の発展編が開発されています。合わせてご報告いたします。

今まで学習五大要素の中で、聞く、話す、見るを説明してきました。聞く・見るは学習情報を得るための要素です。そのため、指導では細心の注意が必要です。学ぶための場が、見ることができない、聴くことができない状態では困ります。その準備として、幼児期の読み聞かせは非常に大切なものとなるのです。集中力や記憶力とすぐに成果を求めがちですが、その手前の力こそ大切で、その要素がしっかりしていればおのずと次の力が導かれてきます。

聞く力と見る力で多くの語彙を獲得できます。語彙はほかの言葉を誘い込み、ことばとしての広がりから新しいことばを獲得します。語彙が多いということは、人の話の内容を理解できるという理解力につながります。その結果、人の話をしっかり聞くことができる証として集中力がついてくるのです。

見る・聞くが学習情報の入力であるとすると、それを蓄えることが記憶力となります。記憶力は、見ることや体験することで具体的な情報としてしっかりした記憶となります。イメージはここで生かされます。記憶力を支えるイメージ力は体験・体感・感動が大切です。このように、幾つもの力が連携し合って知性を形成していきます。蓄えられた記憶は、他のイメージやことばを介し思考へとつながります。「話す」ということは幾つものことばをつなぎ合わせることだけでなく、相手に伝えるためには「分かり易く」することが求められます。いわゆる起承転結です。話すというアウトプットの学習は、論理性を伴うもの、お子さんの話に耳を傾けること、聞いてあげることで論理性の一部を養うことになります。

話す、書く、読むはこれらの学習情報を表現するアウトプットの役目があります。蓄えられた情報は、記憶の中で加工され別の形になって表されます。コンロ・やかん・湯気・炎ということばの記憶から「危険」「やけど」「熱い」と別のことばが導かれます。ここに実際の映像記憶が加わることでイメージとことばが重なります。

このように力の連携というものを考えると、幼児教育は子どもたちの知性に対するバランス教育だといえます。偏りのない、それでいて言語活動をしっかりと養い、物事についてより思考できる状態に導く、このような教育だからこそ、子ども自身にゆとりが生まれるのでしょう。幼児教育は、今後、義務教育を支える基礎教育という位置づけを持つようになります。そのためには、系統性と継続性を持った教育が求められます。

2013/4/6


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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