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【予算850億の元バイヤーが解説】たった4個に選ばれるには?其の三

こんにちはのじです。
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大手ドラッグストアで10年化粧品バイヤー、1年半雑貨のカテゴリーマネージャーをしていました。辞める年は予算850億を管理していました。

今は化粧品メーカーでマーケティング本部のディレクターやってます。

今回はドラッグストアの買い物についての続きになります。


↓前回の記事はこちら

【予算850億の元バイヤーが解説】たった4個に選ばれるには?其の一|のじ(ノジプロ企画)|note(ノート)https://note.mu/npkikaku/n/n2c1b31f8d951

【予算850億の元バイヤーが解説】たった4個に選ばれるには?其の二|のじ(ノジプロ企画)|note(ノート)https://note.mu/npkikaku/n/ne763043e1a01

前回までの内容を簡単におさらいしておくと

▪️女性の9割以上が利用
▪️コンビニ4個分の大きさ
▪️20000個の商品
▪️1回の買い物は4個
▪️利用は月に2回
▪️ほとんどの商品は買われていない
▪️企業によって違う特色
▪️お客さんは生活必需品を安く買いたい
▪️65%の女性が働いている
▪️有職女性は忙しくて買物時間が短い
▪️買い物時間はたったの10分

実は楽しくない買い物がメイン

過去2回の内容をまとめると多くの方は忙しい中短時間で必要な物をちゃちゃっと買い物終わらせたいという事ですね。日常すぎる事はあまり記憶に残らないので、気に入った化粧品を見つけたり、効く薬を教えてもらったりした記憶が残りやすいのですが全体では楽しくない買い物の方がメインです。

全ての商品を販売数順に並べたら上位に来るのは紙やラップや牛乳や洗剤で化粧水や薬が来ることはありませんしね(インバウンドの店は除く)

私が店にいた頃に、おすすめ商品のキレイなディスプレイも凝ったポップも大事だけど、お客さんが欲しい商品を欲しい時に欲しい価格で提供する事が1番大事なんだ、だから欠品は悪だと教わったのを覚えています。

10分間で立ち寄れるのは4ヶ所

そのため短時間で買い物をしやすいように店内を大きく4つのゾーンに分けて配置しています。4つとはヘルスケア、ビューティーケア、ホームケア、コンビニエンス(食品)です。これは10分間で立ち寄れるのは4ヶ所しかないという行動学に基づくものです。今やチェーンストアでは当たり前になっていますが、手探りで店を作っていた時期はゾーニングも結構めちゃくちゃの店も多かったものです。

店に入って3秒で判断

お客さんは店に入って3秒以内に無意識で買いやすい店かどうかを判断すると言われています。買いやすいとは何がどこにあるかがわかるという事です。だから店の入口が真ん中よりも角にある方が買いやすい印象を与えやすいと言われています。入口が真ん中だと左右に首を動かさないと全体を見渡せないのに対し、入口が角だと視覚の範囲で全体を見渡しやすいためです。店が広い場合は天井も高くして壁にコーナーサインが書いてあったりすると思います。

買い物は定番が8割

お客さんはいつもの場所に欲しい商品が並んでいると買いやすいという安心感を得ることができます。だからドラッグストアは定番の棚というものを主体に店作りをしています。シャンプーはあの辺、歯磨き粉はあの辺とすぐ探せる事が必要だからです。

また次に来たときに買えるように商品は頻繁に入れ替えはせず半年は固定している事が多いです。だから多くのカテゴリーは8割以上が定番の棚から売れています。アウト展開の場所は目立つので並べた商品の売上は大きくなりますが、並ぶ商品の数を考えると圧倒的に定番棚の売上の方が大きくなります。でもメーカー視点だとアウト展開は選ばれし商品しか並べてもらえないのでめちゃくちゃ魅力的です。

ちなみにこれがスリーコインズのようなお客さんが何かワクワクするものを探しに行く店だと、商品の配置を変えたり常に新しい商品を入れ換えたりして安心感よりは目新しさを提供する必要があります。

女性の目線は130センチ

定番棚のどこに置くかもとても重要になります。日本人女性の平均身長は158センチです。ということは一番見やすいのは目線の高さの130センチ前後になります。当然そこには主力商品や売りたい商品を配置します。一概には言えませんが棚のどこにあるかでどんな位置付けの商品かがわかります。もし通路幅が狭い店だったら1番下や下から2番目の棚は目に入らないので売りたい商品はそこに置こうとは思わないですね。分かりやすい資料があったのでお借りしました。

↓中小企業基盤整備機構資料より

商品は棚の中での見た目が大事

商品や販促物を作るときにどの棚のどこの辺に並べるかを想定してないと埋もれてしまって全く見向きされない可能性があるので注意が必要です。下の画像を見比べてもらうと分かりやすいと思います。

ウォーリーを探せ(裏面) 商品単体の見え方

ウォーリーを探せ(表面)棚に並んだ時の見え方

実際はこんなに探しにくい事はないかもしれませんが遠くから見たら商品の文字が読めない、棚の影でくすんで見えるなどと事は良くある事です。お客さんに買ってもらうにはまず目に止めてもらわないと次のステップに行きません。まずは消費者目線で棚全体を見てイメージする事が大事です。

つづく

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最後まで読んで頂いてありがとうございました。

のじ

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