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2017/05/13 イタリアーフランス間を車で越境する
2019年シチリア編も滞っているのに、先日お客さんと話していて急に思い出したので、2017年に起った出来事を書くことにした。
2017年5月、私は初めてのイタリア買い付けを終え、休暇を楽しんでいた。
イタリア旅二度目のレンタカー。
一度目は人生初イタリアレンタカーで、ほんの数日前の話。南部のマテーラからイタリアでの拠点のフィレンツェまでの720kmほどを寄り道しながらを走った。といっても運転はずっと相方だが。
今回は、イタリアから一旦フランスに入国してついでにモナコでカフェでもしてまたイタリアに帰ってこようと目論んでいた。ここまでの日程は1泊二日、欲張っている。
レンタカーを借りたのは、拠点であるフィレンツェではなく、フィレンツェからのショートトリップ目的地、スポトルノという小さなビーチリゾートからちょっと行った小さな街。
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ここでスポトルノの話を少ししよう。
スポトルノは、リグーリア海に面しており、ジェノバよりも少し西に進んだところにある。長靴になぞらえると、足の付け根、鼠蹊部よりも更に腹よりといった具合か。かなりざっくりと俯瞰で見ると、フランスに近い、と言える。街の人口に対する我々の友人の率が断トツ高い、どうしても行ってみたかった街だった。
この旅の1ヶ月前ほどに、スポトルノの友人の一人が大阪に訪ねて来て、共に過ごしたところだったので、鉄は熱いうちにとばかりにすぐに彼らに会いに行った。
スポトルノでは、スポトルネージの友人たち総出でもてなしてもらい、日本が当時、「お・も・て・な・し」と騒いでいたのが遥か彼方に霞むくらい、手厚い全力のおもてなしを受け、お土産からコーヒー一杯に至るまで財布は一度も出せなかった。(出そうとしたら、みんなに全力で止められた)
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スポトルノにはレンタカー屋がなかったので、近くの街でわざわざ彼らが手配して、連れてきてくれたわけだ。
最初から最後まで世話になりっぱなしだった。 「マユコ、これ俺らの電話番号だから、何かあったら必ず連絡しろよ!」と、もしものためにと全員分の手書きの電話番号を渡してくれた。今日日、ずっとフェイスブックで連絡を取り合っているにも関わらず手渡されたメモ用紙の質感、この厚みは友情の証だった。
渾身の見送りを受けて熱い友情に涙しながら出発した。
スポトルノのことも、またいつか書こうと思う。
その数日のスポトルノ滞在の思い出におセンチになりながら、リグーリア海沿岸沿いにどんどん車を走らせる。
ここらの海辺はこじんまりしながらも、どこか余裕があるような、のんびりゆったりとリゾートしたいような雰囲気の街が点在していた。
途中、音楽祭で有名なサンレモのスーパーに寄り、少し食料補給しながら、どんどん西へ向かっていく。
(ちなみに2021年「今年のサンレモ音楽祭は最悪だ!これはCOVID-19のせいはなくmusicistiの怠慢だ!」なんて音楽好きのイタリア人たちが騒いでいた。私は全然知らないので、そうなんだ〜という感じだった。そんなにサンレモ音楽祭ってビッグイベントなのかしら?)
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あたりは少しずつ夕日の色に染まってゆき、湾岸線はしっとりと色気を増してゆく。
もう少しでイタリアーフランス国境だろうというところに差し掛かると、国道はなだらかに勾配をつけ、それまで見通しの良いビーチが連なっていた風景ががらっと変わり、そよかな木々の茂る丘に誘われた。
うねりが増した道はしばし木々に見通しを遮られ、国境越えというクライマックスへの演出をしているよう。
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ところどころ看板にフランス語も混ざり始め、いよいよ国境かと急に緊張してきた。
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その奥には『MONTECARLO』、モナコが控えている……ゴクリ
なんせ、初めて自分たち身一つで国境を越えるのだから。
今まで電車やバスで超えたことはあるが、公共交通機関なので一乗客が個人で何か気にすることはなかった。
ただその他大勢の流れに乗ればいいだけだったから。
でも今回は違う。
自分たちの運転する車で、自分たちで関所に突っ込むのだから。
人間というのは、どうして直前になって色々と頭が働くのだろう。
「そういえば何も調べてこなかったけど、何か特別なことは必要か?あれ?」
と今更ながら焦り始める。
なぜ調べなかったのかと、悔やんでももう遅すぎる。関所はもう射程距離内だ。
けれども2人で知恵を絞っても、思いつくのがパスポートくらいだなと観念して、とりあえず秒で見せられるようにと、膝上にしっかりと置いて、ドギマギしている間についに関所までやってきた。
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手前のイタリアあるある『BAR TABACCHI』がもう、幼馴染みのようなマイメン感に変化した。
そこには、なんとなくイタリア人とは違う雰囲気の神経質そうな警察官がそこにはいた。
ドキドキしながらゆっくり近づき、ウィンドウを開ける。
「どうしたらいい?」
開口一番、英語でそう発しようとしたら、そのお兄さんは 「サバサバ!」 と見るでもなく箒ではくかのように我々の車を右から左へ通した。
え!拍子抜け!!!!!
そんなもんでいいんかい、と突っ込みつつ関所を通過し振り返ると、大きなユーロマークの看板に「Italie」と。
おお、ItaliaじゃなくてItalieだ!本当にフランスに入ったんだ!
人生初の車で国境超えに我々は熱狂した。 もうこうなったら無敵状態。
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ただ調子に乗っているとも言える。
こうなったら、いっそのことマルセイユまで走ってやろうかと盛り上がる。
そこで友人が寿司屋をしているのだ。距離にしたら不可能ではない。
明らかに、おフランスの空気を吸いにきたぜと調子に乗り始めた2人。目に映るもの全てがやけに新鮮。
おまけに、フランスの車はイタリアと違って、「お先にどうぞ⭐︎」と⭐︎マークが付きそうなくらいに譲り合い精神が素晴らしかった。目と鼻の先でこうも違うのかと、さらに感激。
イタリアのあの数秒ごとのクラクションが一気に懐かしくなるのだった。
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国境からすぐにたどり着いたのはMantonという街。
まるでディズニーに丸ごとその一角がありそうな、パステル調の可愛らしい街だった。ピンク色の夕日がその建物たちを照らし、より一層おとぎ話のようであった。
イタリアだって、どこをとっても美術品のような街ばかりなのに、なぜフランスのこの街は角のとれたメルヘン感があるのかが気になった。これも、車の譲り合い精神に通づるのか? ここはおとぎのくに?
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それを狙うワンコがまた可愛んだなぁ〜
しばし街を散策し、ゆったりとしたビーチでサワサワと風に吹かれ、車内のゴミを公共ゴミ箱に捨て(ゴミの越境だーと騒いだのはいうまでもない)、もう少し歩を進めるためにマントンを後にした。
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なんせ我々は思いつき弾丸隊、すぐに落ち着くのは向いていない。行けるとこまでとにかく進んで、一泊二日でイタリアに戻る作戦だ。
なんの前情報もないけど、とりあえずマルセイユ方向に進むのならば、有名なニースとカンヌも寄りたいし、モナコ公国も見てみたいと盛り上がる。
あたりはすっかり暗くなり、街灯の少ない沿岸線を進む。
マントンからモナコは、10キロほどしかないのですぐにたどり着いた。
急に、国道車線の下方の盆地に煌びやかな世界が現れたのだ。
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手ブレもするよね。武者震いってやつ。
これがモナコか!!! 胸が高鳴る。
とにかくモナコに潜入してみようと、国道を下る。このとてつもなくリッチな感じに、足湯程度でも良いから浸ってみたくなったのだ。
国道からモナコの街に降りる間、大きなトンネルダンジョンに迎えられる。いきなりカーチェイスの映画のシーンにダイブしたような感覚。
モナコはそういうお通しからなのね、と妙に納得。
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そしてトンネルを抜けると、、 いきなり可愛らしさと洗練さが混ざった街に出た。 なんだか映画のセットかのように、妙にコンパクトな感じがして、それが可愛らしさに繋がっているのか…USJなどのテーマパークの、あのちょっとだけ縮小された世界観というか…
そして車に乗ってるからこそ、ビビったのが道の狭さ。これもまたコンパクトな感じの要員だ。
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相方はかなり運転は上手い方だが、ただでさえ言語もわからない国から、また言語もわからない国に来て、道幅も狭いので混乱気味になる。
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しかし道幅のタイトさはお分かりいただけるだろうか?
そりゃあそうだ、いままではイタリア語だから助手席で私がナビを出来たけど、フランス語となると話は変わる。私もフランス語はわからないので、安全と運行担当の運転手はもっと大変。
そして夜の闇も相まって、運転がしにくく、店もやってなさそうだしとりあえず明日ここでカフェをしばいてイタリアに帰ろうぜ、とカムバックを誓い小さな宝石のような国を後にした。
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不動産屋も、こんなラグジュアリーな建築の中に構えている。
いったい、ここらの相場はおいくら万円なんだろう….
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この謎のオブジェの実態を知っている方、もし万が一おられましたら、当店まで教えてくださいませませ!!
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モナコへ潜入ミッションは次回に続く……
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買付日記はこちらにまとめています。と言っても、ほぼ珍道中の様子レポートですが。。。
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