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二度と抱っこさせてやんない

 まるちゃんが我が家に来て一年が過ぎた頃。

 親戚の子が我が家にやってきた。

 その子は確か三歳くらいだったと記憶しているが、まるちゃんを抱っこしたいといってきた。

 一応、私は年上になるので気は進まなかったが、

「いいよ」

 抱っこしていたまるちゃんをそっと渡した。

 嬉しそうな顔をしていたが突然、抱っこされていたまるちゃんが地面に落下し、お腹を打ったらしく暫く動かなくなってしまった。

「まる!まるちゃん!!大丈夫!?」

 震えるまるちゃんを抱き上げて、ずっと名前を呼んでいた。

 少しづつ呼吸が正常に戻り、ペロペロと私の顔を舐めはじめた。

 ほっとした私は、親戚の子を見ながら、

お前には二度と抱っこさせてやるもんか!
 と、心の中で呪文のように唱えていた。

 子供ながらに、家族と信頼できる友達以外は抱っこさせないと誓った。

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