見出し画像

元気な後期高齢者は “薬” を飲んでいない

転載

80歳以上の「元気な人」は、やっぱり薬を飲んでいなかった!高齢者取材で判明した驚愕の事実

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49247

2016年07月30日(土) 週刊現代 :現代ビジネス



■薬をやめたら眩暈が治った


「3年ほど前、検査のため病院に行ったところ『血中のコレステロール値が高いので、下げる薬を飲みましょう』と医者から言われ、リバロ(スタチン系薬)と呼ばれる薬を処方されました。


ところが1日1錠を5日間飲んだ時点で、体に異変が起こった。突然、太ももに激痛が走ったのです。その後、痛みはふくらはぎ、肩、腰、お尻と次々に広がっていきました。あまりの痛さに大げさではなく、死ぬ覚悟をしたほどでした」


こう語るのは、東京都在住で、現在80歳になる野村隆志さん(元会社員・仮名、以下同)。


野村さんは、同じ病院内の麻酔科でモルヒネ系の強い痛み止めを処方してもらい、なんとか痛みは治まった。


「その麻酔科医によると、薬の副作用で筋肉が溶けてしまう『横紋筋融解症』の可能性が高いとのことでした。2週間くらいで激痛は治まったものの、筋肉が溶けてしまったわけですから、座っているだけで大変でした。お尻の筋肉がないので、15分くらい座っているとお尻が痛くなるんです。


また、大好きだったゴルフを再開しようと思って練習場に行ったのですが、以前の半分もボールが飛ばない。体の力がなくなったことを実感し、呆然としました。


それ以来、私は薬を飲むのをやめました。その後、スポーツクラブで水中ウォーキングなどをすることで、少しずつ筋力を戻しましたが、元のレベルになるのに1年もかかりましたね。たった5錠しか飲んでいない薬の副作用がこれほど長く続くとは思ってもみませんでした。私はもう、どんな薬も飲む気はまったくありません」


現在、野村さんは趣味のゴルフも再開し、健康な毎日を送っている。


今回本誌が、80歳以上の元気な高齢者を対象に取材した結果、「現在薬は飲んでいない」「以前は飲んでいたが、やめたことで体調が良くなった」という人が多数いることが分かった。


生活習慣病の代表である「高血圧」と診断された安藤浩二さん(82歳・埼玉県在住)もその一人だ。


「75歳から5年間降圧剤のブロプレスとオルメテックを服用していました。ところが服用から3年を過ぎたあたりで動悸や眩暈がするようになった。そのせいで階段を踏み外して足を怪我してしまったんです。


足が痛く病院に行くのが億劫になって、薬を切らしたままにしていたら半月ほどして眩暈が治まったんです。しかも服用前より血圧も安定し、身体も軽くなりました。あの時、薬をやめて本当によかったと思います」


長野県に住む佐々木昭さん(88歳)も、現在は薬を服用せず健康な毎日を過ごしている。


「医者から糖尿病と診断され、糖尿病薬のアマリールと悪玉コレステロールを減らすクレストールを5年以上飲んでいました。しかし一向に症状は改善されず、『このままだとインスリン注射をしなければならない』と医師から言われたので、一念発起し、食生活など生活習慣を改めました。結果、コレステロールの値が下がり、血糖値も正常値近くにまで下がったのです。


今では薬を飲まなくても元気に畑仕事もできるようになった。やっぱり薬など飲まないで元気なまま死にたいよ」


■薬より自然治癒力を大事に


先の戦争を体験した渡邊道夫さん(岐阜県在住)は、90歳になる現在も元気そのもの。何か飲み続けている薬はあるか尋ねると「何も飲んでない」と言う。


「会社員時代に高血圧(上が140を超えるくらい)だと診断され、降圧剤を処方されたけど、大騒ぎをするほどのことでもないと思って、1週間ほど飲んだ後はすべて捨ててしまった。それ以来、風邪をひいても薬は一切飲んでない。一度薬に頼ると、飲み続けることになるからね。


今、健康のために心がけていることは運動と食事かな。食事はよく噛むこと。一口で50回は噛むようにしている。おかげで体調はいいよ」


渡邊さんのように、80歳を超えても元気に長生きしている人は、薬に頼らない生活を送っている。ひいてはそれが自然治癒力の維持にもつながっている。だがその一方で「薬がないと心配でしょうがない」という人が多いのもまた事実だ。


降圧剤のディオバンとノルバスクを毎日服用しているという佐藤清さん(87歳・神奈川県在住)が言う。


「飲むと気持ちが悪くなり、ときに嘔吐することもあるが、血圧が心配で飲み続けている。本当は減らしたいし、やめたいんだけど……」


予防医療の第一人者である医学博士の金城実医師は「最近の高齢者は、薬に頼る傾向が強まっている」と語る。


「日本人は医者と薬が大好きなんですよね。病院に行って『何かいい薬を出してください』と申し出る人が非常に多い。医師が『まずは生活習慣を改善しましょう』と言っても、手っ取り早い解決策を薬に求めてしまう。だったらと医者も安易に薬を出してしまうのです。


でも薬というのは、いわゆる対症療法でしかない。血圧が高ければ下げる薬を飲む、すると今度は胃が荒れるから胃薬、便秘になるから緩下剤といった具合に、多量の薬を処方されている患者が非常に多い。


忘れてはならないのは薬には必ず副作用があること。『医師の言う通りにやっていれば健康になる』という幻想をもっている人がいますが、自分の身体を治すのは医者でも薬でもなく自分自身なんです」


大手の老人ホームで多くの高齢者を世話する介護ヘルパーは、こんな実情を明かす。


「施設にいる多くの高齢者が知らず知らずのうちに薬依存症になっています。寝られないからと安易に処方された睡眠導入薬を飲み続ければ、次第に効果が薄れてきます。そうなると強いものへ強いものへと移行していく。まさに悪循環です。1時間置きに『もっと薬ちょうだい』と訴える方もいます。


そういう方には、主治医と家族の了承を得て、お菓子のラムネを偽薬として与えるようにしています。するとスヤスヤとお休みになるんです。『プラシーボ効果』ですね。こうして薬を減らすことで、体調がよくなる方は少なくありません」


薬から自由になるために、そして80過ぎても健康でいるために、今一度、自分の身体とよく相談してほしい。


(*Yahoo!など配信先でご覧の方は、こちらで一覧リストを見られます。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49247)






「週刊現代」2016年7月23日・30日合併号より