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夜野なみだ(詩と日常)
2020年5月25日 16:26
花として生まれました。太陽の光が降ってくること、震える雨の粒に触れたこと、黄色い蕾が春を呼ぶことをわたしは生まれる前から知っていた。やがてわたしの茎や葉は手脚へと変わっていき、背中には雲が縫い込まれていた。どこまでも飛んでいけそうなくらい美しい雲だった。公園を散歩するわたしの隣では、風が人間のふりをしながら歩いている。楽しいね、空が青くて気持ちいいことを理由に、わたしはいつでも人間を嫌いに