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ニューヨークで見た特攻隊

ニューヨークといえば、幾度となく宇宙人に襲われたり、隕石が落ちたりしている、世界一の都市ですね。そんなニューヨークに、ぼくも今年の3月に行ってみました。

なんで3月なのに雪が降っているのでしょうか

ニューヨークに着いた初日には雪が降っていて、3月なのにめちゃくちゃ寒かったです。
1人で凍えながら、「あのビル『スパイダーマン』で見たやつだ!」とか盛り上がってました。
De La Soulの『The Magic Number』を聴きながら歩いてるだけで、なんだか楽しいものです。

別日に撮ったグランドセントラル駅の辺り。カッコいいですね

こんなカッコいい摩天楼が立ち並ぶニューヨークに、空母が停泊しているのはご存知ですか?
正確には、退役後の空母を博物館として再利用している「イントレピッド海上航空宇宙博物館」という施設があります。

イントレピッド海上航空宇宙博物館

甲板には次のように戦闘機がバーっと並んでます。カッコいい。

バックの摩天楼と合わせてスゴイ光景になってます

どうやら施設の基となった空母は、第二次世界大戦のときに就役したらしいです。それで太平洋で日本軍と戦ってたとか。

カッケー

しかしこの空母が戦い始めたのが戦争の末期だったため、空母は神風特攻隊の自爆攻撃に合います。面白いのは、神風特攻隊の扱い方です。日本とアメリカで違ってきます。

日本では、靖国神社の遊就館の展示や、百田尚樹の小説『永遠の0』、あと夏休みにNHKでやってる番組とかみたいに、悲劇的なもの、として扱われてますよね。もちろん、英雄的だとかいう意見もあると思いますが、悲劇的であるからこそ英雄的だという結論になるので、日本では悲劇的なものとして受け取られている、という考えはあんまりズレてないかと思います。

で、そんな特攻隊ですが、この博物館では、日本軍によって採択された特殊な「攻撃方法の1つ」と扱われているのです。もちろん、そこには悲劇的なイメージはありません。

たとえば、イントレピッド海上航空宇宙博物館にも特攻隊の日誌が展示されていますが、日本の展示とは全く違っており、涙を誘うような演出はされていません。むしろ中立的に、特攻隊はこのような日誌を残していた、と淡白に紹介するのです。

展示されていた特攻隊の日誌

そんな展示作品の中で最も興味深かったのが、特攻隊についての「ショウ」でした。さすがアメリカ、すべてをショウに変えてしまうんですね。
これについては、ぼくが撮った動画があるので、それを観てみましょう。

大規模ではない博物館にしては、結構頑張ってる方だと思いませんか?
というか、特攻隊をこういうショウに仕立て上げること自体、アメリカっぽくて面白くないですか?
この後、ナレーションが「この空母は特攻隊に何回も攻撃されたが、くじけずに修理し、立ち向かい、そして戦争に勝ったんだ」的なことを言います。

ショウの終わりには、特攻隊の攻撃で犠牲になった乗組員の名前が読み上げられます。ちなみに、この犠牲者の名前を読み上げるのはアメリカ同時多発テロの博物館である「国立9月11日記念館・博物館」でもやってました。

まず、ぼくが思ったことは「戦勝国マジ羨ましい」でした。
やっぱり勝ってると、素直にオレらは勝ったんだからスゴイだぞ、って言えちゃうじゃないですか。特攻隊、というよりも戦後日本の問題は、負けてるのにスゴイことにしたいから、ねじれてしまうことです。
もし日本が勝ってたら、特攻隊を単に、日本を勝利に導いた英雄として扱えばいいだけですよね。

そして何より面白いのが、さっきも書きましたが「ショウ」として仕立て上げてることです。

ぼく含めてほとんどの日本人は、特攻隊について日本以外の観点で学ぶ機会が少ないと思います。世界は複数の見方ができてしまうので、特攻隊はアメリカから見たら、そりゃ悲劇的ではありません。むしろ、アメリカ人乗組員の犠牲のほうが悲劇的なのです。
しかもアメリカは勝ってるので、「日本軍の攻撃なんかに屈しない!」というショウを作れてしまう。すげえ、ぼくもアメリカ人になろうかなあ。

とはいえ、これはアメリカが特攻隊をバカにしている、とかそういう話ではありません。単純にアメリカ人と日本人では、世界の見え方が違うのです。
これを日本からの視点だけ、あるいはアメリカからの視点だけだと、両者の違いや、お互いの特攻隊の扱い方がわからないでしょう。
どうせ、世界の覇者であるアメリカ人は、日本から世界がどう見えているかなんて興味ないでしょうから、そういった意味では日本人のほうが有利、とも言えます。

世界に対するレイヤーの数を、いかに自分の中で増やせるかを、頑張る。これが世界との程よい付き合い方なのではないでしょうか。
じゃあどうやって増やすか、というと、積極的に外部と触れていくしかない、とかフツーの意見しか、ぼくみたいなフツーの人間からは出ません。まあでも、フツーなりに頑張るしかないんですよ。

最後に1枚、お気に入りのニューヨークで撮った写真を貼って終わりにします。

これはバッテリー・パークにあるイースト・コースト・メモリアルという、第二次世界大戦の記念碑です。
実はこの記念碑、自由の女神の方向を向いているんですよね。

記念碑の向いている方向、真ん中に小さく自由の女神が見える

こういうニクイ演出ができちゃうのがアメリカのスゴさなんでしょうね。ぼくもアメリカ人になろうかなあ。

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