ケガの影響と身体の状態

 数年前に数回施術させてもらったお客さん(=Pさん)が、久しぶりに来院されました。側弯症のあるかたです。

 Pさんとご家族のかたの話によると、……前回の施術からの数年間、側弯が進むことはなく安定していた、ところがこの数か月で急に悪化して、「このまま進行すれば手術の可能性が出てくる」と主治医に言われた、でも手術は避けたい、とのことでした。
 「なんで急に悪化したのでしょう? その頃に何か変わったことはありましたか?」私が訊くと、「その1~2か月前に自転車でこけました」とPさん。「あ、じゃあそれですね」。

 実は偶然、その前日に来られたお客さん(=Qさん)も、自転車で転倒したとのことでした。調子良く過ごしていたある日に自転車で転倒し、横ざまにこけて壁で頭を打った、それから両腕とかあちこちに筋肉痛のような痛みが出てきた、と。

 自転車での転倒に限りませんが、ケガをして身体を傷めると、筋肉のバランスが変わります。〈ケガで欠席〉している筋肉の代わりを〈元気に出席〉している筋肉が担うことになりますから、〈欠席〉筋は脱力気味、〈出席〉筋は緊張継続の状態になります。
 もともとの〈出席〉筋がたくさんあれば、〈欠席〉筋の影響は小さくて済みます。Qさんのように、あちこちに筋肉痛が出て、しばらく我慢して過ごしていたらやがて忘れる、というのがよくあるパターン。忘れたところで〈欠席〉筋が〈出席〉できるようになったわけではありませんから、自覚はできなくても動きの質は低下しているはずですし、やがて何かしらの自覚症状が出てくる可能性はあります。が、でもまあ、とりあえずは、しのげる。
 ところがもともとの〈出席〉筋がすでに少ない状態だと、新たな〈欠席〉筋の出現は大問題です。今回のPさんがその状態で、少ない〈出席〉筋ががんばってきゅうきゅう骨を引っ張って支えますから、〈ゆったり、バランス良くまっすぐ〉みたいな姿勢は維持できない。結果、現象としては〈側弯の進行〉みたいになります。

 Pさんの場合、じっくり時間をかけるメリットは全然ないですから、近い間隔で来院願って、集中的に施術させてもらうことにしました。とにかく筋肉のバランスを、少なくとも以前レベルにまで戻して、安定させなきゃなりません。もちろん本音はもっと欲張りで、以前以上に良いバランスにまで改善させて側弯度を減らしたいので、えいえい、気合を入れて施術しました。
 Pさんの病院での診察は数日後。手応え的には大丈夫だと思っていますけど、うまくいってますように。

(2022年6月20日ブログで公開)


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