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「友達のガムを黙って食べる」という衝撃

私が新卒で入った会社では、アメリカでプログラミング研修がありました。参加者の8割くらいはアメリカ人で、それ以外はヨーロッパや日本からの参加。その中に一人だけ、インド人の女性がいました。

ある講義のとき、私の友人(日本人)が机の上に置いていたガムをインド人のその女性が無言で取って食べ始めたのです。全く悪びれる様子もなく、まるで自分のガムだという雰囲気で。

印象的なエピソードだったのでずっと覚えていたのですが、この話には続きがあります。この夏、「利他」をテーマにした中島岳志先生の本を読んでいたとき出合った一節ではっとしました。

ヒンディー語にはhaveという英語にあたる単語がない。何かを「持っている」を表す単語がなく、その代わりに何かが「私のそばにある」という言い方をするそうです。
つまり、今はたまたまガムが同僚日本人のそばにあるだけで、それは誰かの所有物だという感覚がそもそもない……。あのときあまりにも自然にガムを食べたのはそういうことだったのでしょうか。

このことを思い出したのは、今週9月24日〜25日に東京・八重洲とオンライン配信のハイブリッドで開催されていたエッセンスフォーラムで、インドのCSRの話が出たからです。
日本とインドを行き来しながら出資や創業支援をしているVCの人が話してくれました。

「インドでは2014年以降、純資産が約90億円を超えた企業(注:他にも条件あり)は、直近3会計年度の純利益の2%以上をCSRに使うことが法律で義務づけられているんですよ」

もしかすると、所有という概念が日本とは少し違っているからこそ自然に受け入れられたのかもしれません。

日本でも高齢化が進む中で、企業のフィランソロピーや個人の寄付が話題になることも増えました。日本のカルチャーに合うフィランソロピーがこれから進む兆しを、今週参加したイベントで感じました。

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