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特急「しまかぜ」と外宮と内宮と。番外編その2

‥最終日‥

旅が終わる日の朝って、独特の寂しさがあるもので、2日過ごしただけのこの部屋もなんか愛おしいような気がします。

とはいえ、いつまでも此処にいる訳にもいかず身支度を整えることに。

部屋に忘れ物がないのを確認し、朝食バイキングの会場がある2階のフロアへ降ります。

そこそこ遅い時間ということもあり、空席が目立つ会場の中ほど、テレビが良く見える席を確保できゆっくりと料理を選ぶことができました。

料理を口に運びながら

「今日はどのルートで岡山に帰ろうかな?」

と、脳内行程表の制作が始まります。

「近鉄三昧の旅だったなぁ」

などと考えていると、

「近鉄京都線、乗れば」

脳内の誰か(誰だ?)が語りかけてきます。

‥うん、そうします。

朝ごはんを食べ終え、フロントで精算を済ませて伊勢市駅へ向かいます。

まずは路線図を眺めてウットリとし、時刻表に目を移すと京都行きの特急は本数が少なく、あと15分ほど後に出るのを逃したらしばらく無いことが分かり急いで切符を購入。

道中のおやつと飲み物を手にホームで待つこと10分。到着した列車に乗り込むと、空席がポツリポツリといった感じの混み具合。

なんとか相席にならずに窓側を確保しひと段落。

伊勢に別れを告げ、一路京都へ向かいます。

特急「しまかぜ」より多くの駅に停車し、大和八木駅に到着。

ここで大半の乗客が降り、車内はガラガラに。どうやらここで大阪難波行きに乗り換えるようです。

大和八木駅を出ると進路を北寄りに変え京都線特急は、かつて都があった大和平野を駆け抜けて行きます。

旅行に行くといつも思うのですが、大して体を動かす訳でもないのに朝昼晩のご飯どきになるとお腹が空いてきます。京都に着くのはお昼前、

「京都でお昼何食べようかな?」

なんて思ってる私を乗せた近鉄特急は安定したスピードで、起伏の少ない平野を走り続けます。

木津川、宇治川を渡ると両側の車窓に京都の街並みが静かに流れてゆき、徐々にスピードを落とします。

名神高速をくぐり、高さを制限された建物が立ち並ぶ京都の街中を進むと、大きく右カーブを描き駅ビルに吸い込まれ、近鉄京都線の旅は終わりました。

近鉄のホームで駅の雰囲気を堪能し、飲食店のあるフロアへ向かうと昼時ということもあり、どの店も案内待ちの人たちがベンチに座りメニューを手に案内されるのを待っています。

急ぐ旅でもないので、いくつかの店のメニューを覗き見して、魅力的な小鉢がついてる定食がある店に決めました。

さほど待たされる事なく席に案内され、辛口の燗酒とだし巻き注文し、趣あるメニューをしばらく楽しむことに。

いくつかある魚の中からメインの焼き魚にするものを選ぶシステムで、悩むこと数分。

鰆の西京焼きの定食と冷酒を注文し、京都駅を行き交う列車を肴に燗酒を頂きます。

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今回の旅を振り返りながら燗酒とジューシーなだし巻きを堪能していると、もう匂いだけでも美味そうな定食が到着。

どれもこれもとにかく美味い!

出汁の風味豊かなお味噌汁、優しい塩気の漬物、食感が楽しいガンモの煮物、クリーミーな茶碗蒸し、そして爽やかな味噌の風味に箸がすすむ鰆の西京焼き。

食べ終えるのに寂しさを感じながら完食。ごちそうさまでした。

食後のほうじ茶を飲みながら帰路の行程を思案するべく、iPadを取り出しgoogle mapを眺めること10分。

今回はあえてJRを利用せずこの旅を完結することに。

四条河原町から阪急梅田へ。

阪急三番街から高速バスで岡山へ。

腹が落ち着いたところで、京都の街を堪能しながら徒歩で四条河原町へ徒歩で向かいます。

西本願寺を左手に北上し、四条堀川の交差点で進路を東に変え、四条通りを河原町に向け歩を進めます。

天気が良く、程よい肌寒さのおかげで心地よい京散歩を終え、地下にある阪急の駅へと階段を降りていきます。

梅田までの切符を買い、追加料金なしで乗れる特急の入線を待ちます。

10分ほどでマルーンカラーの電車が梅田から到着。乗客が降りるのを待ち、深いグリーンのボックスシートに体を委ねます。

インバータ音を地下に響かせ約50分の梅田までの小旅行が始まりました。

程なくマルーンカラーの車体を地上に現し、私を乗せた特急はグングン速度を上げます。

撮影スポットに居る撮り鉄の前を、各停が止まっている駅を駆け抜けひたすら西へ。

大山崎付近を東海道新幹線と並走するこの区間。通過するときはいつも

「あの新幹線のレールの上を阪急電車が走った時期があったんだなぁ」

と感慨に耽りながら車窓を眺めます。

新幹線の撮影スポットでもある水無瀬駅を通過すると新幹線との並走を終え、高槻市、茨木市、淡路に停車し、十三へ。

十三を出るとクライマックスの阪急三路線の共演が始まります。

ここから梅田までの区間、いつ来てもワクワクが止まりません。

新旧のマルーンカラーが抜きつ抜かれ、すれ違うさまは圧巻です!

そして、仕上げは「私の好きなターミナル駅」ランキングで常に上位にある阪急梅田駅への入線です。

静かに停車し、ドアが開きホームへ降り立ち阪急梅田駅を堪能。

線路が川の流れのようにいくつも伸びる景色と、あちこちのホームで入線しては折り返すのを見ると、時間が経つのを忘れます。

しばし悦に入った後、岡山へ帰る高速バスに乗るべく、あの活気あふれる阪急三番街バスターミナルへ向かいます。

阪急で大阪へやって来て、近鉄三昧を堪能し、そしてまた阪急で岡山へ帰る、充実した非日常でした。

‥こうして脳内の思い出旅行が終わりました。




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