舞台『VAMP!』をより楽しむ⑪の脚本執筆秘話~公演DVD発売記念!手書きネタ帳も初公開!!~(W)

関西を拠点に活動する劇団、STAR☆JACKSとCheeky☆Queensのプロデューサー・脚本担当をしております浜口望海と申します。
私のnoteにご訪問くださってありがとうございます。

自己紹介はこちら↓

前回、初めての有料記事を書いてみました。
買って頂けるかなぁ~
買うに値する内容書けてるかなぁ~

と、ドキドキしながら投稿ボタンを押しました。

買ってくださった皆様!!
ありがとうございます!!!!!!
記事を買って頂けたり、サポートを送って頂いたり、スキを頂いたりしたら通知が来る設定にしてるんですが、想像以上に嬉しい!!!!!

もっと頑張ろう!と励みになりました。
本当にありがとうございます!!

さて。
先日、私が脚本・プロデュースを担当し、今年4月の上演したCheeky☆Queens(以下、C☆Q)の公演
Stage#004『VAMP!』
の公演DVDが先日発売されました。
ご好評なようで、初回限定盤のご予約も好調だった様子。
こちらも大変嬉しい限りです。

今回は、DVD発売記念に脚本担当の視点で『VAMP!』執筆秘話などを記してみようかと思います。

せっかくだから、執筆当時あれやこれやとアイディアを出したり、頭を整理するために書いてた思索ノート(いわゆるネタ帳)も本邦初公開してみようかと。
超恥ずかしいけど!

本noteは、公演やDVDをご覧になってない方もお楽しみ頂ける(観たくなる)内容を目指しつつ、すでにご覧頂いた方も思い出してお楽しみ頂けるように、⑪の裏話を綴ります。(キリが悪い!笑)


はじめに.『VAMP!』とは

C☆Qの4作品目となる本公演。
2019年4月19日(金)~21日(日) 大阪・HEP HALLにて上演。

【出演】
畠山薫 鳶野皐月 三原悠里 赤松英実 留奈 丈野瑞歩 (以上、Cheeky☆Queens)
オオサワシンヤ 泥谷将(Micro To Macro) 田代圭佑 ハラマサ(トムハウス) 下浦貴士(STAR☆JACKS) 塚本凌生
伊藤汐理(劇団1mg) 岩本沙希 大寺悠陽 北あかね(劇団ひまわり) 酒井翔悟 白川優弥(MIST) 玉井優樹 豊倉里奈 福永樹 ほのぴ 松田翔 森島雅 横堀菜々美 吉本美翔子
酒井高陽
生田朗子

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【あらすじ】
実はこの公演、あらすじを3回も出してるんです。

第一弾

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これ、脚本書き始める前に、ひとまず書いたやつですね。
大枠だけ決めて、細かいところはまだどうしようか全然決まってないのがアリアリとわかりますね(笑)

第二弾

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これは脚本自体が書き上がってから出した分です。
第一弾で「世紀末SFアクション」とか書いちゃったのですが、結局それ一体何やねん?!と自分でもちょっと思いまして。
もう少しどんな作品なのかをお伝えした方がいいかなと思って出しました。

第三弾

画像4

これは稽古も佳境に入ってから出したもの。
この段階に入ったら、大分語ってます。
第一弾との情報量の差よ!(笑)
ネタバレなんか一切気にしてません。

というか、そもそも私、ネタバレってほぼ気にしないんです。
映画とかは事前に大分情報を出しますよね。
クライマックスシーンだってトレーラーでバンバン出しちゃう。
それに比べて演劇はネタバレを気にしすぎるきらいがある気がします。
お客様だって、限られた時間の中、数ある娯楽の中から舞台を選んで足を運んで下さります。
ならば面白いもの、面白そうなものを観たいに決まってます。(少なくとも私はそう)
だったら可能な限りお伝えしよう、と思うわけです。
そもそもネタバレごときで足を運んで頂けなくなる、本番の面白みが無くなるくらいなら、所詮そこまでの作品・公演なんですよね。
「生で実物をご覧頂けば絶対に面白い!」という確信があるのなら、ネタバレなんて恐れずに出すべきだというのが私の信条です。
(もちろん、作品にもよりますし、お見せする場所は厳選しますけどね)

話は大きく逸脱しました。
脚本執筆の話に戻りましょう。


①.実は書く気が無かった

実はStage#004は脚本を書く気が無かったんです。
毎年新作を書き下ろすっていうのはなかなか大変で、自分的にはちょっとネタ切れ感がありました。
それに、Stage#004から留奈・丈野瑞歩がメンバーとして加わり、C☆Qの第二期がスタートすることに。
ならば、原点回帰して、旗揚げ作品Stage#001『アタシたちには明日しかない』を再演するのもいいのでは?と思ったんです。
メンバーの年齢やキャリア的に考えても、同作を出来るのは今年がギリギリ最後かなという気もしましたし。
そのことはメンバーにも話し、提案しました。

一蹴されました。

おまけに「第二期に入るからこそ6人の新作で!」なんて言われてしまう始末。
しばらく駄々をこねた末、ついに観念して執筆を了承したのは昨年の夏の終わりのことでした。


②.『仮面ライダーアマゾンズ』にハマったんです

Amazonプライム・ビデオで配信している『仮面ライダーアマゾンズ』に一時期ハマりまして。

他の平成ライダーには全然触手が動かなかったんですが、これだけはドはまりしました。
「自分が何者なのか」「生きるとは」「食うとは」などの、根源的な問いがすごく刺さりまして。
めちゃくちゃ端折って書くと、私もそんな物語を書けないかなぁと思ったことがこの作品に取り掛かった発端でした。
(Amazonプライム会員の方はぜひ観てみてください!笑)


③.1999年を時代設定に選んだワケ

1999年という年は個人的にすごく印象に残ってまして。
私は二十歳を迎える年。
春に大学進学で大阪に引っ越し、一人暮らしを始めた年でもありました。
30代以上の方ならある程度覚えているかと思いますが、
当時、オウム真理教事件や阪神淡路大震災の記憶はまだ新しく、
北朝鮮との関係性も悪化していってたり、
景気も悪いし、先行きが見えない世紀末感というものが世間には確かにあった気がします。
ノストラダムスの大予言は本当に起こるんじゃないか、なんて真面目に考えたりもしてました。
なので、なぜ1999年に設定したのかというと、
「個人的に印象が強かったから」
というのが正しいかもしれません。

ただ、『遺伝子操作』という観点で言うと、実はちょっと嘘があります。
主人公であるさとみと未来は、演じた畠山薫と鳶野皐月の実年齢25歳に設定したので、生まれは1974年ということになります。
74年の時点では遺伝子工学はそこまで進んでない。
むしろ、物語の中で起こっていることは、最近になってすごく現実味を帯びてきた話かと思います。
その辺は、ちょっと嘘をついております。
(実はそういう嘘なら他にもあるんだけど、それは後ほど・・・)

ちなみに、冒頭に出演者がランダムに1999年に起こった事象を言っていくというシーンがあるのですが、執筆にあたって当時の出来事を改めて時系列で見直してみたら、結構ショッキングなことも多かった気がします。

「大阪06市内局番4桁化」
「携帯電話・PHSの電話番号11桁化」
「厚生省バイアグラ認可」
「NTTドコモiモードサービススタート」
「日銀ゼロ金利政策実施」
「石原慎太郎東京都知事に当選」
「男女共同参画社会基本法成立」
「国旗国歌法成立」
「組織犯罪対策三法成立」
「小渕第2次改造内閣発足」
「神奈川県警の不祥事相次いで発覚」
「池袋通り魔殺人事件、2人死亡、6人が重軽傷」
「東海村JCO臨界事故発生、日本初の臨界事故」
「三菱化学と東京田辺製薬が合併」
「桶川ストーカー殺人事件」
「警視庁と静岡県警が法の華三法行を捜索」
「ノストラダムスの大予言」

当初書き出した事件はもっと多かったのですが、音楽の曲尺に合わせるために絞り込んでくれという演出のオーダーを受けて厳選したものです。

画像5


④.なぜ渋谷を舞台にしたのか

90年代後半、日本で一番活気があったのは渋谷だと思います。
千葉の小田舎の高校生だった私は、たまに渋谷の街に行ったりなんかしたらドキドキしたもんです。
当時はチーマーとかもいて、結構怖かったし。
混沌とした街の裏側で事件は起こっている・・・なんかそんな絵にしたかったのです。
だから、渋谷が舞台ということは結構すんなり決まりました。
また、さとみの妹・あおいが青森から家出してくるという設定なのだけど、田舎から出てきてびっくりするような場所にしたかったのもあります。


⑤.Vampire→VAMP

ヒトではない存在を通して、逆に「ヒトとは」を描きたいなと思ったのです。
そういう存在って、何がいいかなぁ・・・と考えまして。
かといって、舞台なので先述の仮面ライダーアマゾンズに出てくる人工生命体「アマゾン」みたいに変身させることはできません。
では・・・と考えた末に思いついたのが、ヴァンパイアでした。
でも、そもそも私、SFが苦手で。
(「じゃあなんでそんな題材選んだんだよ!」というツッコミはこの際無しでお願いします)
なので、いわゆるドラキュラ伯爵みたいな非科学的なものではなく、
科学的な説明が付けられる存在としての「吸血鬼」は描けないか・・・と。
そこで、かなり強引なこじつけではあるのですが、

遺伝子操作によって脳の反射速度が飛躍的に向上
→そのせいで酸素消費量と糖代謝が常人の何倍もに跳ね上がる
→吸血による経口摂取で補う


という設定にしたのです。

それから、vampという英語には以下のような意味もあります。

(靴の)つま革、(靴のつま革用の)革、(ジャズの単純な)即興的伴奏(曲)、妖婦、魔性の女、バンプ、妖婦役

当初、鳶野皐月演じる西川未来(コードネームE)は、街娼のふりをして街中で獲物を狙っているという設定も考えたのですが、設定的に無理が出てくるのでボツになりました。


12/8追記①実は一番最初に書き上げたシーンは・・・

『VAMP!』は、三つの年代のシーンが出てくる物語です。
1989年(平成元年)→回想シーン
1999年(平成十一年)→メインの物語
2019年(平成三十一/令和元年)→エピローグ


実は、エピローグが一番最初に書き上がっていました。
正確には、このエピローグをオープニングにしようと思って書き始めました。
このシーンで、45歳になったさとみが幻想社SF小説新人賞という賞を受賞します。
その作品名が『世紀末のヴァンパイア』
つまり、舞台はさとみの小説であるということを最初から分かるように書こうと思ってたわけです。
ただ、少し書き進めてみて、展開が面白くない気がして、根本から見直して、エピローグに持っていくことにしました。
結果、クライマックスシーンでボロボロになった畠山薫と鳶野皐月が、その直後に超早替えをしなければいけないという、最後の最後で大変なシーンとなってしまいましたが(笑)
でも、結果的には入れ替えてよかったなと思っております。

ちなみに、『世紀末のヴァンパイア』を公演自体のタイトルにしようかとも思ったりもしたのですが、
Stage#002『暗殺者の抱擁』
Stage#003『紅の旗』
と、『××の××』というタイトルが続いていたので、印象を変えたいという意味もあってやめました。

それに、さとみが起こったことすべてを小説に書くとも限りませんしね。
『VAMP!』=『世紀末のヴァンパイア』なのか、そうじゃないのか、その辺はご覧になったお客様のご想像に委ねたいなと思ったりもしています。


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