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会計と税務は異なる基準であることを理解する

上場準備に入るにあたって監査法人のショートレビューがあります。その時に通常会計処理の見直しや損益や残高の修正がおきます。

会計事務所は、小規模の会社には税金が正しいかや節税・融資可否、といった視点では見ているとは思いますが、取引先ごとの残高が正しいか、計上の根拠は正しいか、という会計監査視点でエビデンスを求めてまでは確認していない現実があるからです。リソースの問題もあるでしょう。

そのため、修正が入ったり、誤っていた会計処理が行われていたりするのです。最初からみていて、新しいことが分かる都度聞いたり、事業などについてきちんと話していたりすればわかることも多々ありますが、全てにおいて正しい処理を社外の人間が内部の状況を把握し処理することは難しく、また開示やIR・申告書などを作成した人間でない限りどのようになっていた方がいいか、という先まで考えることは困難です。チャットで気軽に状況聞くことができるのは本当に便利になったなとつくづく感じます。また、税効果会計やいくつかの見積もり計上は税務上関係してこないので計上しているケースは少ないでしょう。

社外から別の視点で確認されるということが上場準備に入るために生じることでいろいろなものが発見されることになるわけです。

そんな中でそもそも会計と税務で処理が異なることはあります。役員報酬の定期同額でない費用や固定資産の計上判定もそんなでしょう。

決算書(会計)をベースに税務申告書は作成されますが、そもそも会計は適切な期間損益計算による投資家への情報提供を目的にしてますが、税務は公正な課税を目的にしてます。

そのため、税務は一定の処理については各社に対して同様のルールが適用され、ルールに若干の選択肢がある、というわけです。その中で現状の会社の状況と管理コスト、損益との兼ね合いで自社の経営成績・財政状態を適切と思われるものを選択していくことになります。

固定資産の減価償却期間は法人税の耐用年数に一致していないといけないという理解の人は正しく理解してほしいです。そもそもそれは認められているだけで会計上は実態に合った処理が選択されるものです。


まとめ

・会計の目的は投資家への情報提供、税務の目的は公正な課税なので処理が異なる
・会計の利益と税務の所得は一致していないといけないわけではないし一致していることが正しいとは限らない

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