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学習指導要領「総則」を読もう~その2~

学習指導要領の総則を読みましょう企画の第3段。

学習指導要領には、「児童に生きる力を育みなさいね」ということが書かれているのですが、なんでも好き勝手に育みなさいではなく、ある内容に従うこととなっているのですよ。今回はその内容。(小学校の総則をベースに書いていますけど、中学校でも高等学校でもほぼ同様の内容です。はい。)

まずはおさらい

総則 第1小学校教育の基本と教育課程の役割 の2の部分に書かれていることから。おさらい。

各学校において、第3の1(これは前回を参考に)に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)まで(ここを今回説明します)に掲げる内容の実現を図り、児童に生きる力を育むことを目指すものとする。

ここを目指しましょうと書かれているんですよ。端的に言うと、

≪目標≫ 児童に生きる力を育むことを目指しましょう
≪なぜ≫ 次の(1)~(3)の実現をするために
≪how to≫ 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して

ってことになんだと思う。≪how to≫の部分については序章で書きましたので、そちらを参考にしてください

(1)~(3)の(1)「ともに」とは

この箇所をそれぞれ、引用しながら、読み解いてみましょう。まずは(1)から。

⑴ 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,児童の発達の段階を考慮して,児童の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,児童の学習習慣が確立するよう配慮すること。

2つの文章から構成されています。1文目が述べていることとしては

基礎基本の知識及び技能は確実に習得させて

思考力、判断力、表現力を育む

『とともに、』


主体的に学習に取り組む態度を養う
個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること

です。

ここの部分の主語は、教師になるんでしょう。「学校教育を提供するヒト≒教師」。教師は、知識技能を確実に習得はさせ、思考力判断力表現力を育みましょう。それとともに、(子どもが)主体的に学習に取り組む態度を養い、多様な人々との協働するように、(教師が)促す教育の充実に努めましょう。

と書いてみましたが、教育提供する方は知っておいた方がいいですよね。知識技能だけじゃなくて、思考力。判断力、表現力を身につけるだけではダメで。その次の、子どもが主体的に学習に取り組む態度を養いましょうね。と。多様な人々と協働するように促しましょうねと。教育はそのようにシフトしていきますよと。知っておいたほうがいいです。

詰め込み教育を否定はしませんが、それだけじゃダメってことですよ。両方大切だし。そのうえで、主体的に学習に取り組む態度を養いましょうねって。いや、子どもにイヤイヤやらせたらアカンのですよ。彼らが主体的になれるのかが大事なところですね。

(1)~(3)の(2)「主体的な判断」とは

(2) 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。……

この部分は、道徳科や体験活動を通して、『自己の生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。』って書かれてます。

これも「主体的な判断の下に行動し」とあるので、行動に際して「彼らがどう考えたのか」が大切になるのでしょう。「他者と共に」よりよく生きるわけですから、自分勝手ではいけないんです。これ、教員の皆さんわかってますかね。圧をかけて子どもに行動を制限してませんかね。主体的な思考を止めていませんかね。自分も気をつけないといけないなと感じた部分です。

(1)~(3)の(3)「日常生活において適切な活動」とは

(3) 学校における体育・健康に関する指導を,児童の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科,家庭科及び特別活動の時間はもとより,各教科,道徳科,外国語活動及び総合的な学習の時間などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めること。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。

『健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること』……健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現……中学とか高等学校の総則にもこれは書かれてます。健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現ねぇ…特別活動の時間(部活動はこれに含まれますが)においてこれは害されてるんじゃなかろうか。。。時間の制限を超えて、練習をさせたりって例が散見されますからねぇ。

これらの指導を通して、家庭や地域社会の連携を図りながら「日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し」ですからねぇ。日常生活に適切な体育・健康に関する活動ってねえ。土日祝日も休みなくやることなんですかね。まぁ、やりたかったら、家庭や地域社会と連携して、やりたい方だけがやればいいと思うのですが。

現在の学校の休校騒動の中でも「クラブはいつできるんだ」と言っちゃう先生とかいらっしゃるようですので。「日常生活において適切」とは何とお考えなのかは伺ってみたいですけど。

と(1)~(3)について紹介しましたが、『これらの実現を図り、児童に生きる力を育むことを目指すものとする』って示しているのが、今回の新学習指導要領なんですよ。

アタリマエを疑う

学校の中で、延々と存在してきた、「いままでこうだったから、これからもこうします」を疑いましょう。変わらないといけない時期ですよ。総則に書かれていることと照らし合わせてみると、違和感を覚えませんかね。それでいいんだっけ?と問い直すきっかけにしていただければ。

これまでとは違うんです。(これまでも間違ったままだったのかもしれませんけどね)


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