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学習指導要領「総則」を読もう~その1~

体調不良に陥り、noteから少し離れてました。こんばんは。のざたんです。リハビリのためにモノを書いて脳みそを復旧させます。

学習指導要領の総則を読みましょうという序章の続きを。本編入りです。はい。

学校の教育活動を進めるに当たり

2010年度の学習指導要領において「学校の教育活動を進めるにあたって」と書かれている総則の一番最初の部分ですが、こう書かれてます。

各学校において、児童に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、基礎的・基本的な知識および技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐぐむとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かす教育の充実に努めなければならない。その際、児童の発達の段階を考慮して、児童の言語活動を充実するとともに、家庭との連携を図りながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。

だそうです。創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で様々な形の「生きる力」をはぐくめばよかったんですよ。

これが、2020年度の学習指導要領では

各学校において、第3の1(これは後述します)に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)まで(ここは次回説明します)に掲げる内容の実現を図り、児童に生きる力を育むことを目指すものとする。

「創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する」の前に、しっかりと、『主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して』と書いてあるんですよ。『授業改善を通して』と。いいですか、全国の教員の皆様、学校の教育活動を進めるにあたって『主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して』児童に生きる力を育むことが求められておりますよ。ほら、すぐに変えないではないですが、少なくともこの10年間で授業改善をしましょうねと。学習指導要領が最初に述べています。「教科書が終わんね」「授業時間数が足らね」という前に、「授業改善できてない」と先に発言しましょう。

さ、教員や教員を目指している方、やる気になりましたかね。では、授業改善とは何なのか。それは第3の1に書かれてます。

第3の1とは?

途中で出てきました「第3の1」は、先に引用した文章の後に、出てきます。それがこちら

主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 第1の3の⑴から⑶までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
 特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,
判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の
対象となる物事を捉え思考することにより,各教科等の特質に応じた物事を
捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくこ
とに留意し,児童が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,
知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりす
ることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。

⑵ 第2の2の⑴に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて,児童の言語活動を充実すること。あわせて,⑺に示すとおり読書活動を充実すること。
⑶ 第2の2の⑴に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
 あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施するこ
と。
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要とな
る情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を
行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
⑷ 児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるように工夫すること。
⑸ 児童が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様
な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよ
う,各教科等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
⑹ 児童が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど,児童の興
味・関心を生かした自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
⑺ 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに,児童の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。

という形で、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に対してながーく述べられています。特に(1)の部分は大切ですよね。「~より深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。」とあるので、教員は児童がプロセスを重視した学習の充実できることを図りましょうねと。ここを大切にしましょうねと。

ちなみに、ここに登場する「第1の3の⑴から⑶まで」というのは

(1)知識及び技能が習得されるようにすること。
(2)思考力、判断力、表現力等を育成すること。
(3)学びに向かう力、人間性等を涵養すること。

のことです。

3つの力をバランスよく

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この3つの力です。今回の学習指導要領を説明する際によくでてくる3つの力。

『(1)知識及び技能が習得されるようにすること』というのは、『あなたが、何を学ぶか』です。『(2)思考力、判断力、表現力等を育成すること。』というのは、『あなたが、どのように学ぶか』です。これまで、この2つの軸で対立のようなものが起こってましたよね。知識・技能重視?それとも思考力・判断力・表現力重視?みたいな二項対立。

今回は、それだけではなく、『(3)学びに向かう力、人間性等を涵養すること。』が入っていること。これは『あなたは、何ができるようになるか』なんですよね。ボクの解釈では「Being」。バランスよく育みますといいながらも、この(3)が一番上に書かれているところに何かの意図を感じます。

(1)と(2)を続けている限りは、どうしても『点』でしかモノゴトを捉えられないんですよ。だって、ジブンゴトじゃないから。これからの教育は、学校の学びをどうジブンゴトに結び付けていけるか。文科省から『主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善について』という詳しい資料が提示されていて、目指すのは「何ができるようになるか」と大きく書かれています。

いいですかね。これまでと、違うんです。

コノママデイイデスカ?

読んでいただくと、気づくかもしれませんが、これまでとは異なる教育の形にシフトチェンジしようとしています。少なくとも、学習指導要領はそう示しています。「といっても、変わらないんでしょ?」って思っていると、子どもたちの将来には、さらに遅れたミライしかやってきません。変わろうとしなければ、「ズット、コウシテ、ヤッテキタ」の一斉授業が提供され続けます。「ワレワレガ、ウケテイタキョウイクヲ、コドモタチニモ」でいいですかね。

少なくとも、このままではダメだと感じた文部科学省の大人たちは、ここまで踏み込んで「変えましょう」と言っています。あとは、学校の中が変わるだけです。そのためには、大人のみなさんが読んで「ん、これまでと違うことをやろうとしてるぞ」と感じていただけると幸いです。

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