見出し画像

学習指導要領「総則」を読もう~序章~

NPO法人SOMAによる「学びの懇談会」で感化されたので、ちょとずつ発信します。とにかく学習指導要領を読みましょう。学習指導要領の解説ではなく『学習指導要領』の。特に総則だけでも読みましょう。なぜそんなことを言っているのかというと、

だからです。アクティブラーニングとか、プログラミング教育とか、英語必修化の前に。学習指導要領の総則を読むことの必要性をすべての人にお届けしたい。

学習指導要領とは

学習指導要領を通底した理念というものがあって小学校・中学校・高校と共通しているものがある原理原則が総則。今回の学習指導要領は総則を作ってから、各教科をつくっている。2020年度から順次実施される学習指導要領は、総則を作ってから、各教科をつくっています。(これまでは総則と教科を同時進行で作っていました)教科は各教科で読めばいいが、総則は教員だけじゃなく、地域の人全員がわかったうえでやっていきましょう。ということで、総則を読むことが大切です。

何度も言います。

「学習指導要領 解説」ではなく、「学習指導要領」そのものを読もう。

主体的・対話的「で」深い学び

今回の学習指導要領は大きな変更があります。総則については次回以降にふれますが、第1章「総則」の第1の2にこう書かれています。

第1 小学校教育の基本と教育課程の役割
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の⑴から⑶までに掲げる事項の実現を図り,児童に生きる力を育むことを目指すものとする。

いいですかね。やるべきことは「主体的・対話的で深い学びの実現」です。最初の最初にこう書かれているのです。これ「個別最適化」そのものですよね。学習指導要領の最初に書かれていることなんです。

助詞に気をつけましょう。深い学びの実現ではありません。主体的・対話的「で」です。「で」があるので、主体的・対話的であることは前提条件です。主体的・対話的でないものは論外です。

これからの変化の大きい時代において、受け身ではダメ。知識を得る段階ではpassiveなものが必要なのかもしれないが、自ら主体的に進んで情報を取りに行くことは必要。1人の人間(これまでだと、前でしゃべってる教員)から情報を得るだけではなく、複数の人間からのインプットが大切です。

話し合いではなく対話

「話し合いましょう」的になってたりする話し合い活動時代の目的化が見受けられますが「話し合い」とは書かれてません。あくまでも書かれていることは「対話的」。対話は相手が一方的にしゃべっている場合でも対話であったりするし、自己と「対話」するとも受け取れる。本や動画、情報リソースと「対話」することなのかもしれませんし、過去の自己との「対話」かもしれません。だからこその対話的です。

「深い」学びの主語は誰か?

誰にとって深いなのか。教員が「今日は深い学びができた」ではない。あくまでも、深い学びは「学び手」にとってである。学び手が「あ、そうか」になることが大切です。学び手自身が、そう感じたときにはじめて「深い学びが成立した」となる。

だからこそ、ここまで理解ができた・ここまで点数が取れたでは、深い学びと評価できない。教員がアウトラインを示すことは必要ですが、教員の提示したレベルをこえて、子どもたちの考えが及んで「あー、なるほど」になれば「深い」である。

「深い」は教員が規定するものではない。従来は教員が決めていたが、これからは一人一人がどう探っているかを見るが大切じゃないですか。

だからこそのアウトプット

深いを受けるには、私と私の比較が必要。私と対話をし、昨日より今日「こう深くなった」、今日より明日「こう深くしたい」これをするからこそ、自分の計画を立てていくし、自分がどういうふうに変化していくかが重要である。だから、アウトプットする時間が大事になってくる。自己との対話のためにもアウトプットする時間は必要。

そして、これらの様子を教員が評価していく必要がある。これまでは、教員の世界でこんなことはなかった。コンテンツを教えることが仕事だった。テストでコンテンツが定着したのかを確認するのが仕事だった。出席とグレーディングが評価だった。だから、できない・したことがないので不安である。

そこはわかるが、指導要領に書かれている。「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して」と。改善しましょう。これまでとは違うんです。教員の皆さま、その覚悟はおありですか?

これまで通りでは…

とはいえ、これまで通りでは…と思っている方(とくに先生方)、これは「法的拘束力」があります。守りましょ。学校における「教典」のようなものです。

これまでは授業の在り方に対して、学習指導要領の中では、述べられてませんでした。しかし、今回は「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して」と書かれてるんですよね。法律違反されますか?子どもの前で、法を破っていいとおっしゃいますか?ルールを守らせるの大好きですよね。煽り気味で言いますが、教員の皆さん、ルールを守る・破る覚悟はできてますか?

実は保護者向けにも

どの場面でも、学びに向き合える、子どもを育てるために必要な指針として書かれているものが指導要領の総則です。本来は、学校だけの話ではなく、小学生を対象にした学びとはどうあるべきかが書かれたものです。これまでの学びとは異なるので、保護者も体験したことはありません。そのために、文科省は丁寧に動画を作っています。

リーフレットなどの周知・広報ツールもございます。

政府インターネットテレビでも広報されています。

これ、ホントは、みんなで考える材料なんです。この中身をみんなで話し合うこと、そういう場がとても大切です。「先生読んでくださいよね」ではだダメです(たぶん読みませんので)。

いままで、学校は閉じていた。学校の中でやっていることが見えない。どんな風にブラックかは誰も知らなかった。学校は閉じていたから、変わらなくてもばれなかった。こうして育ててなくても何も言われなかったし。

でも、どうして学習指導要領を大きく変更したのか。考えてくださいね。日本の学びは20年遅れています。総合的な学習の時間がうまく活用できずに、ゆとり教育叩きで20年遅れたんですよ。で、ほころびが出始めている。「ゆとり教育」と言われた指導要領改訂にときに導入されたのが「総合的な学習の時間」です。これ、まさに、今回の改訂での、学びそのものなんですよ。主体的・対話的で深い学びにつながっているって感じませんか?(総合的な学習の時間については、別途あつかいます)

これからの「学び」は総力戦です。学校もネットワークを広げて、それを社会が許容して。このようなネットワークの広がりを促進させましょう。誰が良い・悪いの二項対立で争っていて、不利益をこうむるのは目の前の子どもたちです。

ボクは、今回の学習指導要領を多くの人に丁寧に伝えていきたいし、ここに書かれている学びを提供したいだけ。このような学びは学校で「提供できない」って思って企業でやってたから。でも、これからはやれるんですよ。その違いを丁寧に必要な方へお届けしたいです。

いただいたサポートは、誰でも教員と会って話せる『会いに行けるセンセイ』の活動に利用させていただきます。