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U30がつくる若者のための政治と社会の教科書、出版します!

10月10日、NO YOUTH NO JAPANが、 2冊目となる書籍、「YOUTHQUAKE(ユースクエイク)〜U30がつくる政治と社会の教科書〜」を発売します。
※ 販売日は10月19日に変更となりました。

プロジェクトの根幹にあったのは、わたしたちU30が欲しい政治の教科書を作ろう、という想い。
「政治に関心がない」と言われるU30自身が、もっと政治を気軽に、安心して話題に出せるように、NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)がこのたび、U30向けに作った政治の教科書です。
教科書制作プロジェクトリーダーを務めた宮坂へのインタビューを通じ、この本に込めた想いと魅力をたっぷりお伝えします。

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タイトル:YOUTHQUAKE 〜U30がつくる政治と社会の教科書〜
発売日:2021年10月20日
値段:1980円(税込)
出版社:よはく舎
ページ数:264p

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お話を聞いた人:宮坂奈津
「 YOUTHQUAKE〜U30がつくる政治と社会の教科書〜」多数のNYNJメンバーが執筆として関わった教科書制作において、執筆メンバーをまとめるプロジェクトリーダーを担当。
最近読んだオススメの本は、ジョージ・オーウェル『1984年』。

U30のための教科書を。それは、若者が安心して政治を語る土壌づくり

2020年に発売したZINEに引き続き、2冊目となる今回は本格的な書籍の出版となりました。本に込めたコンセプトは?

宮坂:本全体のコンセプトは「若者が政治を語るための共通言語を持つ」です。共通言語といっても、堅苦しく、政治に関する用語をそろえようということではなくて、政治について気軽におしゃべりができるきっかけをつくる、というのが目的です。
この一冊を通じて、政治について語るための基本的な言葉、今の日本社会の状況を友達と共有して、もっと日常の中で当たり前に政治が話のタネになるような、きっかけづくりの本になっています。

社会課題になんとなく関心はあるけど、政治には興味がないし、投票にも行かない。学校でも形式的にしか教わらないから、政治は休憩時間の雑談にもならないし、なんとなくタブーな気さえする。「政治に関心がない」と言われる若い世代のリアルは、こんな感じなんじゃないかと思います。

だからこそ、自分たちが欲しい政治の教科書を、自分たちの手でつくろう、というところから、この本の制作が始まりました。
ただ知識を蓄えたり、用語を知ったりするだけだったら、新聞や学校で配られる教科書で十分です。でも、私たちは、政治についての対話って、単に事実が淡々と語られた記事や、政治に関する用語を知るだけではできないと思っています。
対話を生むための教科書として、それぞれの社会課題についてどんなポイントについて話すのかを示したり、対話をするときに必要な姿勢や話し方のスキル、政治に関する価値観の違いってそもそもなんだろうということも含めて伝える本、この本を届けたい人たちと同世代のNYNJだからこそ作れる内容の本を作りたかったんです。

「共通言語を持つ」というコンセプトの中には、若い世代で共有したい空気、安心して政治について話せるための土壌をつくるという意味も入っていて、この本がその土壌を耕していく一つのきっかけになればという想いが込められています。

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ーどうして、政治を語る「共通言語」が必要なんでしょう?

宮坂:NYNJが掲げるビジョンは「参加型デモクラシーをカルチャーに」です。そして、参加型デモクラシーで少しずつ社会を良くしていくうえでキーワードとなるのは、知識の量で相手にマウントをとる(相手と競争して優位にたとうとする)ような議論ではなくて、ファクトとリスペクトに基づいた対話だと思っています。そのためには、対話が生まれるきっかけと、ツールとなる言葉が必要です。

でも、言葉といっても、ここで考えているのは誰かの主張を打ち破ったり、まくしたてたりする「論破」じゃなくて、気軽なおしゃべりのことです。若者は関心がないと言われるけれど、ほんとはみんなもっと話したい・考えたいと思っているんじゃないかなという肌感覚があります。

一方で私自身もまだまだ未熟です。政治について友人と話をしてみたとき、お互いの意見を貫くばかりで、建設的に話せなかったことがありました。気軽に対話をするためには、話し方のノウハウやマインドセットも大切だなと感じた背景には、そんな経験もあります。だからこそ、それを含めたこの本が、若者が政治について話すための潤滑油みたいになったらいいなと思っています。

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コラム①:タイトルに込めた想い!

タイトルの “YOUTHQUAKE”は「若者の行動や影響によって起こる意義深い文化的・政治的・社会的変化」という意味で、2016年にイギリスでBrexitの議論が高まる中、若い人の間でスローガンになった言葉。
共通の知識や言葉を実装して、対話のできるU30が増えるということは、対話や言葉のパワーを通じて社会を良くしていける人が増えるということ。それはまさに、この本を手にとって「知って、スタンスを持って、行動する」方が沢山になる理想のかたちです。

でもそんな、ポジティブな社会の揺れ動きや変化、まさにYOUTHQUAKEをつくっていくには、そうした動きが生まれてくるような土壌、政治をもっと語りやすい環境が大事なのではないか。土壌を耕して、柔らかくなった地中から、むくむくと今まで眠っていた何か、まさにYOUTHQUAKEとなるような動きが生まれてくるんじゃないか。
この本が、YOUTHQUAKEにつながる土壌を耕すための肥料みたいな本になってほしい。
そして、まだ政治への関心もそれほど持っていないという同世代が、この本をきっかけにちょっとでも目を向けてもらって、YOUTHQUAKEの可能性にワクワクしてほしい。タイトルには、そんな願いが込められています。

用語の解説から始めない。U30から同世代へのメッセージを込めた構成

ー全体の目次は下のような感じですよね。

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宮坂:全体構成の背骨はNYNJのミッションでもある「U30世代が政治や社会を知って、スタンスを持って、行動する入り口をつくる」という一連の流れに沿ったつくりになっています。1章〜3章は知るパート。1章で、自分たち若者と政治の距離感を知り、次に2章で、政治につながる具体的な社会課題を知る。この2章の執筆は、ぞれぞれのトピックに関心のあるNYNJメンバーが担当しました。そして最後に3章で、政治って何?というところに迫っていきます。

4章「政治について友達と話してみよう」は、「スタンスを持つ」ために必要な、対話のコツについて伝えるパートです。意見の違いって面白いな、相手が言っていることは100%は分からないけれど話すの楽しいな、といった対話のいろいろな醍醐味を感じてもらえるよう、対話にあたっての姿勢やスキルから、自分の政治的価値観を知るためのヒントも盛り込みました。

本編の最後となる5章「政治参加って何がある?行動してみよう」では、読者の皆さんにも「行動する」を身近に感じてもらうために、署名やTwitterデモなど、色々な方法で行動を起こしてきた方たちの声を収録しています。

6章「もっと政治を話すための知識編(NYNJ特別ゼミ)」は特別編。本編を読み終わって、もう一歩踏み込んで政治について知ってみたいなという方向けに、政治学や憲法学の教授、ジャーナリストの方のお話を通じて、政治について知ることを、さらに楽しんでもらうパートになっています。

ー最初に政治や投票に関する前提知識や用語の解説ではなくて、「若者」との距離感を持ってきているんですね。

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インタビュー中の様子。左:インタビュイーの宮坂。右:インタビュアーの名倉

宮坂:そうなんです!最初から政治や投票って大事だよねというスタンスを出したり、用語の説明から始めたりすると、心理的にハードルが少し高いかなと。入り口では、若者の政治の関心度や、投票率の変化を示すデータを使って、若者×政治の現状を伝えることにしました。

その後も、すぐに政治に関する知識の説明という形にはしていなくて。2章で「わたしたちの社会にある様々な課題」を持ってきているのは、教育、ジェンダー、環境、社会保障といった身近なテーマを入り口に、政治とのつながりを伝えるためです。インスタグラムの投稿でも意識しているところですが、政治それ自体が大切!ということを主張するのではなくて、今より社会をちょっと良くするための、その一つの手段として「政治」があり、だからこそ大切だ、ということが伝わればいいなと思っています。

私たちが作った教科書と、学校に配られる教科書との大きな違いは、作り手も同世代ということ。同世代が同世代へ発信する教科書ということで、同じ目線で一緒に考えたいことを提案する感じの内容になったんじゃないかなと思います。

コラム②:SNSでの発信を中心とするNYNJが、書籍を出したかった2つの理由
1つ目の理由は、学校の図書館にも置いてほしかったから。若い世代にSNSが浸透しているとはいえ、普段のSNSだけでは情報が届かない方もたくさんいます。図書館の本として学校においてもらうことで、全ての同世代の方がNYNJの発信する情報へアクセスできる環境づくりをしたかったのです。

2つ目は、形として残すこと。視覚的に分かりやすく訴えるInstagramでの発信も大事ですが、SNSの情報はどうしても流れてしまうもの。私たちの言葉で、NYNJの大切にしているスタンスや安心して政治を話していこうという雰囲気をじわじわ伝えていくために、丁寧に想いを伝える文章を残しておきたい意図がありました。

プロジェクトリーダー、一押しポイント!

ー特に工夫した仕掛けはありますか?

宮坂:意識したのは、生の声を多く入れるというところですね。特に5章では、実際に政治を動かした人たちのエピソードを豊富にいれています。「行動しよう!」って言われても、やっぱり具体的に行動するイメージってつきにくい。「本当にやった人がいるんだ」という実感を持てるように、Twitterデモの発起人となった笛美さん、気候変動問題に関し行動を求めるデモを行うFridays For Future Japanの皆さんを始め、沢山の方にインタビューをさせていただきました。

ーずばり、一押しポイント!を教えてください!

宮坂:もちろん全部推したい!260ページ全てが、思い入れのあるページたちです。中でも、2章「わたしたちの社会にある様々な課題」の9つの社会課題のページは、NYNJメンバーも沢山関わっていて、一語一語悩みながら書いてもらったところなので、ぜひ注目してほしいです。

NYNJメンバーって、政治オタクの集まりではなくて、それぞれ何かしら社会課題や社会に対するモヤモヤを持っているメンバーの集まりなんですよね。第2章は、その強みを最大限に活かせたパートだと思っています。各課題で載せきれなかったトピックも本当に沢山ありますが、外せない論点や見せ方が精査されているという意味で、書いている人の想いが存分に乗っている章です。

それから、この2章の終わりには、必ずディスカッションテーマを設けています。テーマについて解説するだけで終わるのではなくて、そのテーマの論点となる部分、自分の意見を持ちやすいディスカッションテーマを提案して、具体的な事例でおしゃべりができるようにしました。
第4章「政治について友達と話してみよう」で紹介する対話のコツと、この第2章の具体例なディスカッションテーマとを、行きつ戻りつしながら読んでもらえるといいかなと思っています。

発刊に寄せて、よはく舎代表・小林えみさん、デザインを監修くださった平山みな美さんからもメッセージをいただきました。

よはく舎代表・小林えみさん

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さまざまな教科書はありますが、U30世代が自分たちと同世代へ向けて執筆されたものは日本初ではないでしょうか。NYNJらしいインフォグラフィックを駆使しつつ、ただ「教える」ではなく「実践」につなぐ教科書です。「読んで終わり」ではなく、それぞれの政治参加に繋がると嬉しいです。

NYNJデザイナー・平山みな美さん

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インスタグラムで見ているNYNJがそのまま書籍になったようなデザインを目指しました。元々NYNJのビジュアルアイデンティティとして選んだ色がデジタル用(RGB)で印刷用(CMYK)で再現できないことが課題でした。そこで、特色3色でカバーから本文まで全てを印刷することに決め、最初から終わりまで楽しく飽きないデザインに仕上がったと思います。

10月10日、全国の書店で発売です!

ー最後にこの記事を読んでくれた方に一言、お願いします!

宮坂:ぜひ、手にとって読んでください!そして、いいなと思ったら、周りの方に広めてほしいです。YOUTHQUAKEは少人数で起こせるものではありません。一緒に、社会をちょっとでもいい方向に動かす仲間になるきっかけに、この本がなってくれればと思っています。

また、表向きはU30向けを謳ってはいますが、ぜひ様々な世代の方に手にとっていただきたいです。「若者は政治に関心がない」と常套句のように言われますが、実際に行動を起こしている若者がいることも、本を読んでもらえればわかると思います。それに若い世代は、上の世代のサポートがあればあるほどその声を社会に届けやすくなる。読んで応援いただくことで、この社会でより多くの年代の方が、政治について話したり参加しやすいきっかけ・環境を、一緒に作っていけたら嬉しいです。

書籍は、10月10日より、全国の書店でお求めいただけます。(※ 販売日は10月19日に変更となりました。)
沢山の方にこの本が届くことを願っています。

(文=名倉早都季)

NO YOUTH NO JAPANのInstagramの投稿を続けるためのデザイナーさんへの依頼料と活動の運営経費にさせていただきます!