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脱線日記「世間はもっと貧ぼっちゃまを見習った方がいい」

・とある哲学用語の意味を調べたくてネットで検索した。検索上位にわかりやすく解説したサイトがヒットする。そのサイトを順番に見てみるのだが、何故だか猫も杓子もサイトの後半に「この考え方はビジネスにおいても応用できます」とビジネスの現場における使い方の事例を綴り始める。ここで僕はこう叫びたくなる。
「なんでもかんでもビジネスに繋げようとすな!!」

・そもそも哲学用語を調べたくなる時って、大抵の場合考えが迷走している時で、人生についてとか、人間についてとか、自我についてとか、もっとメタな視点で物事を考えたい時のはずだ。先人の智慧に助けを求めて検索したはずなのに、後半に「ビジネス」とか出てくると、片腕をぐいっと引っ張られて現実社会に振り戻されたような感覚に陥る。結局そこに着地するんかいという軽い絶望感を覚える。どうしてもビジネスに繋げたい時は【閲覧注意】と予め明記しておいて欲しいものだ。

・無印良品が経営やらマーケティング戦略の本を出しているのをしばしば本屋で見かける。僕は無印がガチガチにストラテジックな話をしているのを見るとかなり萎える、というのをよく友人に話すのだが、いまいち理解してもらえない。無印良品愛好家としては、無印良品には芯からポエティックであって欲しいというかなんというか、うまく説明できないんだけど、なんとなく寂しい気持ちになる。前にハリウッドザコシショウがインタビューで「このキャラはかなり計算した上で戦略的にやっている」って応えていたときの、あ、やっぱりそうだよね…という寂しさに似たものを感じる。

・僕は裏側まで知りたくないという気持ちが強いのかもしれない。法人も芸人も、根っこからその人格であってほしいのだ。そこに作為性があったことはバラさなくていい。騙されたままで居させてほしい。前に日記で書いた、ローワン・アトキンソンがMr.ビーン引退時に「このキャラをずっと続けるのはしんどいものだよ」って答えた時のショックさも同じ話である。裏側を丸裸にするものは全部ひっくるめて【閲覧注意】だ。世間はもっと貧ぼっちゃまを見習った方がいい。

貧ぼっちゃまこと貧保耐三(びんぼたいぞう)

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