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「iPhone12、買う?」から考える、今なおモノに縛られる私たち

「iPhone12、買う?」「もう予約したー」
こういう会話、最近周りでよく交わされていませんか?

かくいう私も、ちょうど今iPhone12の購入を検討している1人なのですが、そんな折、こんな記事に出会いました。

MethodというデザインスタジオのExecutive DirectorであるHelen Le Voiさんが寄稿した「責任とIoT」という記事です。

この記事は、冒頭このような文章から始まります。

Whether we’re going vegan, cycling to work, or swapping plastic-coated giftwrap for brown paper, many of us are examining our daily decisions in order to reduce our impact on the environment.
However, when it comes to our IoT-connected products, we find ourselves in a dilemma.
菜食主義者になるか、自転車で通勤するか、プラスチックでコーティングされたギフトラップを茶色の紙に変えるかなど、多くの人が環境への影響を減らすために日々の決断を吟味しています。
しかし、IoTに接続された製品になると、私たちはジレンマに陥ります。


サステナビリティとIoTのジレンマ

Helenさんがいう「ジレンマ」とは何でしょうか。

それは、
・多くのハードウェアが、一定年数使うと性能が劣化する
(陳腐化するよう意図的に設計されていると噂される商品もある)
・時代の変化によって、メーカーによるソフトウェアのサポートが終了する
などの理由によって、我々は多くのデジタルデバイス・ハードウェアについて、定期的な買い替えをせざるを得ない状況にある、そして、それはサステナビリティの考え方に反する、ということです。

今回のiPhone12を例に挙げると、5Gによる通信の恩恵を得るためには、あ私たちは5Gに対応したスマートフォンを手に入れる必要があり、そのために多くの新たなスマートフォンが生産され、古いスマートフォンの廃棄作業が発生する、というような状況ですね。

UXデザイナーに何ができるか

あなたが技術にも精通したプロダクトデザイナーなら、こうした未来の潮流をいち早く読み取り、ハード(モノ)の耐久性を考慮した設計を行うことで、サステナビリティの実現に貢献できるでしょう。

では、UXデザイナーには何ができるでしょうか?
これについては私もまだ考え中なのですが、現時点で考えていることは2つあります。

1. UXデザイナーの意思決定が、モノの大きさ、速さ、重さ…を決めることを理解しておく
これは実際にモノを伴うプロダクトをデザインしたときの経験から、まだそういった経験がない方にお伝えしたいことなのですが、人間中心設計・UXドリブンなデザインプロジェクトであったとしても最終的なモノの存在を常に意識しながら意思決定を行うことがとても重要です。
これは、サステナビリティへの配慮はもちろんですが、それだけでなく「UXを重視して追加した機能によって、製品全体の重さがX倍になってしまった」ということが実際に起こりうる、というリスクを廃するためにも重要な視点です。

2. デジタルコンテンツは後からアップデートできる、でもそれはフィジカルな世界にも影響を及ぼすことを理解しておく
情報サイトの1記事から、ECサイトの1商品まで、デジタルコンテンツは原則として後から削除・編集・追加ができるという意味で、時間に縛られる制約の少ないコンテンツです。
ただ、オンラインとオフラインの境界がなくなっていけばいくほど、デジタルコンテンツがフィジカルの世界に影響を及ぼす可能性は高くなります。
自分が今デザインしている製品・サービス・コンテンツが、どの程度の不可逆性を求められるものなのか、事前に確認しておくことも必要でしょう。


以上、iPhone12の発売を受けて、1UXデザイナーとして考えてみたことでした。

読んでくださりありがとうございます!