心療内科に行った話
人生で初めて、心療内科に行った。
寝れない。ストレスが溜まると微熱が出るというのが理由だ。
この症状は今に始まった訳では無くて、高校生くらいから続いている。しかし去年になって症状が頻発し、仕事に支障が出始めたので心療内科に行ってみる事にした。
まず驚いた事は、僕の最寄りの駅(西東京の小さな駅)に3〜5つの心療内科がある事だ。
更にどの心療内科も直近1週間のweb予約はすでに埋まっていた。ダメ元で電話をかけたところ、症状を心配した看護師?カウンセラー?の方が予約を入れてくれた。(ありがとうございます。)
それほど多くの病院がありながら、予約が満杯という事は、僕の想像よりも心が傷ついている人が多いのだと実感し驚いた。また悩んでいるのは自分だけでは無いのだと少し安心も覚えた。
予約の混雑具合から、冬場の発熱外来のように待合室の混雑を予想していた。しかし心療内科の待合室には誰1人患者がいなかった。前後の患者の往来を考えると、患者同士が顔を合わさない様に工夫がされている事が分かった。電話の応対から感じていたが、精神への細かい気配りがされているのだと感じた。
問診では、中年女性の先生に症状を説明した。家族構成から最終学歴、勤めている勤務先、仕事内容まで聞かれて、少し驚いた。しかし嫌な感じはしなかった。治療のため親身になってくれている雰囲気を感じたからだと思う。
また発熱の事や、不眠の事を説明した。
今まで不眠や微熱の症状を他人に話す際、僕は努めてコメディ的に話していた。誰も共感してくれないだろうという諦めと、表面的な共感が嫌だったからだ。
しかし彼女は、それらの症状を親身に共感してくれ、「それは辛かったね」と言葉をかけてくれた。僕は自分の目に涙が溜まっていく感覚を覚えた。僕は他人に喜劇として自分の不調を話す事で、何より自分を騙していたのだと気がついた。本当はとても辛かったのに、自分の弱さを責めて、他人の顔色を伺っていたのだ。
診療が終わった後、僕は映画の「グッドウィルハンティング」を無性に見たくなった。
主人公のウィルが大学に残らず、彼女を追って車を走らせた意味がやっと分かった気がした。
僕も僕が向かいたい方向に車を走らせようと思う。そして運転席の窓を全開にして、僕が属していた世界に中指を立ててやるのだ。
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