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デジタルマーケティングで飲食店業界を救えるのか?!

飲食店業界は休業要請やステイホームによって打撃を受け始めて、すでに1年半もの時間が経過しているが、なにか打つ手はあるのだろうか。デジタルマーケティングで飲食業界を救えるのかを検証していく。

飲食店業界の今の状況は異常なのか?!

最初に飲食店業界そもそもの大前提を話して置かなければならない。

飲食店業界の廃業率というものをご存知だろうか。開業から2年後に生き残っている確率は50パーセントで、3年で30パーセント、5年になると20パーセントと、飲食店業界は、そもそも難易度が高い業種なのだ。

それはなぜなのか?答えは簡単で「儲からない」からだ。飲食店業界は、参入障壁が低く、特別な資格や権利は必要ないので、誰でも出店できる。飲食店にはある種のロマンのようなものがあり、採算度外視だったり、勢いで出店する例も多い。実際に経営能力がないまま始めてしまうこともあり、筍のように沢山の飲食店が出店される。

結果、過当競争になり利益率が下がり、廃業率が上がるというメカニズムだ。

中には、こういうことを言う人もいるだろう。「秘伝のこのタレはうちでしかできない」、「うちはサービスで定評がある」

実は、本人が思っているだけで、実際はそうでないことのほうが多い。また、客にとっては正直どうでもいいことだったりする。今の時代、安くて食べられればいいとさえ客が思っていることのほうが多い。もちろん、中には、高級店で行列ができるような一部のお店はあるだろうが、過当競争で利益を削りサービス向上に取り組むライバルが多い環境の中で、差別化というのは、一般的にかなりの難易度が高い。

参入障壁が低いので、飲食店業界はそもそも数が多く、その中で競争が起こると、値下げ合戦になり消耗戦を繰り広げている状態だ。その結果、お店が潰れるということになる。

もともと飲食店業界は生き残りに大変な業界で、潰れるお店は潰れるというのは前からの話である。

その点をしっかりと理解した上で、これからの話しを聞いてほしい。

休業要請やステイホームで打撃を被った飲食店のデジタル化は進んだのか?!

飲食店業界は非常に薄利で大変な業界であるために、新たに、デジタル化を進めるための予算がなかなか出てこないのが現状だ。

大手は、モバイルオーダーなどを取り組んではいるが、あれは客の都合というよりも店側の都合でやり始めたものだと言えるだろう。

デジタルというと、2つの側面がある。ひとつは顧客を増やすためのマーケティング、もうひとつがコスト削減などのオペレーションを改善することだ。

飲食店で語られるデジタルの話というと、メディア、つまり集客に集約される。ほとんどが、食べログやホットペッパーなどのメディア媒体を使っての集客となる。飲食店業界の場合、ブランド名をGoogleなどの検索エンジンで入力すると、自社サイトよりも食べログやホットペッパーのメディアの方が上位表示されてしまうので、彼らに頼まざるを得ない状況だったりもする。食べログやホットペッパーなどのメディアは、かけた分(広告費)しか儲からせてくれないシステムになっている。なかなか上手いことできている。

唯一、デジタルメディア集客で有効なのは、無料でできるグーグルマップだろう。流石のGoogleで数年でユーザーの利用シェアを伸ばしてきた。

飲食店でのデジタルマーケティングの取り入れ方

飲食店でのデジタルマーケティングの取り入れ方だが、ここ数年で人気となっているのが「横丁」スタイルだ。専門店が軒を連ねて、客は一軒のお店で飲んではいるが、それぞれの専門店で購入したものをそこで食べることができる。

この「横丁」をデジタル上で再現するというのは楽しそうだ。ウーバーイーツなどのデリバリーサービスを上手く使うことでデジタル横丁を実現することもできる。KOBUSHI BEERでは、食べ物メニューは一切置いていないので、デリバリーサービスでお店に届けてもらい、ビールと共楽しむことができる。これは、KOBUSHI BEERとしては、食事を出すためのコストが要らないということになるので効率的だ。料理を作らなくても良いのでワンオペで出来てしまう仕組みとなっている。キッチンなども作らなくても良いので、その結果、客席を増やすことができるというわけだ。

このような形態をデジタルで取り入れている飲食店はまだまだない。また、KOBUSHI BEERは食事で勝負をしようというお店ではなく、イベントであったり、コンテンツなどで勝負をしているので、試行錯誤の末、この形態で営業をしている。

一般的な話だと、ポイントカードを取り入れているお店は多い。そのポイントカードなどをデジタル化するのはおすすめだ。スマートフォンで簡単にポイント管理ができるようになるといいだろう。

広く使われているLINEは、LINE公式でポイントカードシステムを取り入れて、飲食店を束ねている感じだ。飲食店も顧客管理ができ、ポイントやクーポンを発行できるシステムとなっている。低コストで、このようなシステムを取り入れることができる。自社で開発してデジタル化されたポイントカードを作るよりは、すでにある枠組みの中で利用するほうがお店としてもメリットが高いだろう。

また、「CRISP SALAD WORKS」という高級サラダを提供する麻布十番のお店だが、モバイルオーダーでサクッとオーダーしてテイクアウトできるということで人気だ。昼休みにランニングがてら、出発前に注文して、回収して戻って食べる、なんて利用をかつてはしていた。

また、十割蕎麦が高コスパで食べれる「そばだ家」は、キャッシュレス化された蕎麦屋だ。キャッシュレスのバーコードを読み込ませて会計ができる。

このようなシステムは、接客が特に必要ではないようなお店だからこそ、取り入れることができる。接客が必要になるであろう居酒屋などではこのようなシステムは取り入れられないだろう。一部、大手で非対面システムを取り入れている居酒屋を利用したが、正直クオリティが低く、頼む側とすると面倒になり、「もういいや」となる。特に居酒屋は雰囲気を楽しむものなので、客単価を下げる要因になってないだろうか。

論理的には、注文のオペレーションを減らすことで客への提供時間を早くすることで客単価を上げるというような施策だと思うが、結局タッチパネルで出来ないこと(水や取り皿、質問など)が結構あって、有効に活用できていないところの方が多いという印象だ。

デジタルマーケティングを使っての顧客との繋がり方

ここまで、デジタルマーケティングと飲食店との関わりを話してきたが、実は、飲食店は他の業種と比べて、比較的デジタルをうまく取り入れている方ではないだろうか。バーなどでは個人的にLINEを交換して、次回の来店を促したり、手軽に使えるLINE公式を上手く使っている飲食店も多い。

KOBUSHI BEERでは、今までの記事で話してきたように、個人と繋がることができるSNSを上手く活用している。KOBUSHI BEERでは、リアルがあってのSNSの活用方法を研究している。

飲食店とインフルエンサー・マーケティングは相性が良いだろう。KOBUSHI BEERでもインスタグラムを使って、美女にKOBUSHI BEERのモデルをお願いしている。飲食店の場合は、to Cのインスタグラムを活用するほうが相性はいいだろう。

居酒屋や定食屋に関しては、食事で勝負をするということなので、メニューの写真をしっかりとSNSで出していき、結果、インフルエンサーにお店を紹介してもらえると大きな成果になるだろう。

飲食店は、顧客との繋がりが大切なので、ひとつひとつ手間をかけて丁寧に繋がりをデジタルマーケティングで構築すると良いだろう。自分のお店にどんな人に来てもらいたいかをイメージしながら丁寧に戦略を考えるべきだ。デジタルというと、広告費を払って簡単にと考えがちだが、実は、細かい作業の積み重ねが非常に大切なのだ。

リアルな接客を丁寧に行うことと同じように、デジタルでも行うということが大切になる。

デジタルマーケティングを使ってデリバリーサービスに活路を見いだせるか

休業要請やステイホームでデリバリーを始めた飲食店は多いが、それは一過性のもので、すべてが落ち着いていけば、このタイミングでデリバリーサービスを始めたお店も、店舗が忙しくなれば、デリバリーサービスをしなくなるだろう。

もともと、デリバリーサービスを行っていた出前館やピザハット、銀のさらなどと今始めているお店とは棲み分けがあった。この棲み分けにまた戻っていくだろう。そもそもデリバリーサービスは客席を設けていないので、客席をロスしている飲食店のデリバリで太刀打ちするのは理論的に難しい。来店接客で培った信用貯金やブランドを食いつぶしているのに過ぎないので長くは続かないだろう。

ただし、横丁のように人がいる場所と、作る場所をわけてしまう発想、セントラルキッチン的な考えは今後のテーマになるかもしれない。

大手チェーンはセントラルからの一括配送で低コストを実現してきた。個人飲食店がUBER EATSなどの新しいソリューションを使って、どの飲食店からでも別の飲食店のメニューを注文できる「デジタル横丁」のような世界が実現されるとユーザーにとっては面白い体験になるのではないだろうか。

飲食店のSNSの新しい活用方法

飲食店というのは、もともと人が集う場所であり、SNSでその世界観を作っていくということはあるだろう。その世界観に客が集まってくるようにさせる役目がSNSには出てくるはずだ。

今までは、クローズドであったSNSが、よりオープンとなっていくことが、近い未来に起こるのではないだろうか。人との繋がりを大切にしたコミュニティがデジタル上で広がっていく未来はくるだろう。

新たな展開をみせるデジタルマーケティングによる飲食店の未来

飲食店の競争優位性はアクセスの良さ(大通り路面で沢山の人が通る場所にある)か、そこへ行かなければ体験できないこと(駅から遠くても特別な価値を求めて来店する)の2つに分かれていくだろう。

この2つのどちらに、自分のお店がカテゴライズされるかによって、どのようなデジタル化やマーケティングを実施するかを考える必要がある。駅から近いお店は集客にお金をかけなくてもいいので、店舗のオペレーションやキャッシュレスなどにデジタルを使っていくべきだし、駅から遠い場合はどのように自分たちの価値を知ってもらうかということになる。

会社というコミュニティが分断されてしまい、今までのように、みんなで居酒屋でワイワイというような形態は受け入れられなくなるかもしれない。人間関係もドライになっていく可能性もある中で、飲食店のあり方も変わっていくことだろう。

デジタルマーケティングの視点でも、顧客との繋がりを大切にすることがとても重要だ。デジタ化の前に、当たり前のこと、つまり飲食店としての競争優位性が確保できているかを再確認する必要もありそうだ。

店舗の存在意義や価値をいかに顧客にSNSで伝えられるかに未来はかかっているのではないだろうか。

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