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かんがえちゅう

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最近の記事

クイズをしない生活

わたしはクイズ愛好家である。しかも年季の入ったクイズ愛好家である。クイズのすばらしさや危うさを、誰よりも明視しているという自負がある。そんな厄介な愛好家でもある。 わたしは、このひと月クイズをしないで生活している。よく晴れた冬の朝に、おれは当分クイズをしない、少なくともやりたくなるまではしない、と決めた。一週間くらいしたらやりたくなると思っていたが、意外に長く続いている。 永久にクイズをしない、というつもりはない。どうせそのうちクイズをやりたくなる。それは分かりきったこと

    • 『ハンチバック』読後感想

      芥川賞を受賞した『ハンチバック』を読んだ。感想を書く。 店頭に並んだときは芥川賞候補作のときの帯がついていて、女性の芥川賞作家が推薦文をよせている。ひとりは「小説に込められた強大な熱量にねじ伏せられたかのようで、読後しばらく生きた心地がしなかった」と書いている。そういう感想もあるのかもしれない。とはいえ芥川賞はあくまで新人賞であり、これまでの芥川賞受賞作がそうであったように、本作は新人作家に相応の出来のいい小説という印象を超えるものではなかった、というのが私の正直な感想であ

      • ユニチャレ注釈(S53E02)その4

        前回の続き。 「Another starter question.」 正解は「ヘリウム」。 石膏のモース硬度=2を知っていればいけそう。私は覚えてなかった。頭の回転も問われる。 ◇ ボーナス問題のテーマは「ドイツの州」。 正解は「ニーダーザクセン州」「テューリンゲン州」「バイエルン州」。 ちなみにニーダーザクセン州の州都は「ハノーファー」。 ◇ 「Another starter question.」 正解は「A」。 それぞれ「ハラッパー」「アタカマ」「ア

        • ユニチャレ注釈(S53E02)その3

          前回の続き。 「Another starter question.」 正解は「オリエンタリズム」。 ◇ ボーナス問題は、DNAを増幅する技術である「PCR」について。 正解は「プラスミド」と「プライマー」。ここまでは、生物の教科書。 正解は「好熱細菌(thermophilic bacteria)」。 放送時には、「サーモフィリア」と答えて正解していた。前2問は不正解だったから、語源から推測したのだと思う。 ◇ 「Another starter questio

        クイズをしない生活

          ユニチャレ注釈(S53E02)その2

          前回の続き。 「Let's have another starter question.」 正解は「ピエト・モンドリアン」。 ◇ ボーナス問題のテーマは「先住民」。 正解は「アイヌ人」「アイマラ人」「サーミ人」。 ◇ 「Let's have another starter question.」 正解は「ミッドフォード姉妹」。司会が「もちろん正解」と言っており、有名らしいが聞いたこともなかった。 家禽愛好家(poultry connoisseur)の意味が文字

          ユニチャレ注釈(S53E02)その2

          ユニチャレ注釈(S53E02)その1

          本文の趣旨は以下2つを参照のこと。 前々回と前回で死ぬほど疲れたので、これからは何回かに分けてコツコツ注釈したいと思う。 2023〜2024シーズンの第2戦は「アバディーン大学」vs「バーミンガム大学」。 私は「クイズには興味があるが、クイズプレイヤーにはそこまで興味がないクイズ愛好家」なので、両チームの特徴はまったく把握していない。ただしアバディーン大学のチームワークはおもしろくて見応えがあった。 ◇ 「Here's your first starter for

          ユニチャレ注釈(S53E02)その1

          英国のクイズ番組を観て、てきとうに注釈する2

          前回紹介した英国の人気クイズ番組『ユニバーシティチャレンジ』が、およそ30年ぶりの新司会者アモル・ラジャンのもとで新シーズンをむかえた。インド生まれのジャーナリストで、クリケットの大ファンである40歳。早熟さが買われているという。 そこそこ面白かったので、今回もてきとうに注釈してみる。 当然だが、出題や回答はすべて英語でなされる。そして私はネイティブの英語話者ではない。したがって、私はどんなクイズが出題されたかを、ネットの辞書を駆使したりして推測し、かなり不完全かつ不十分

          英国のクイズ番組を観て、てきとうに注釈する2

          英国のクイズ番組を観て、てきとうに注釈する

          クイズに長いことふれていると、自分が出題したくなるような事柄や、自分の身の回りで出題されている事柄が、どれもこれも同じくパターン化されたものに感じる。さながら金太郎飴のように。いわゆるマンネリ化というものだ。まれによくある。 そうした気分から逃れるために、たまに海外のクイズ番組を見たりするとなかなか楽しいのではないかと思うのである。国によって、出題されやすい知識や出題の仕方が違っているからだ。 その違いにふれ、クイズのありようについてより柔軟に思考できるようになれば、クイ

          英国のクイズ番組を観て、てきとうに注釈する

          『君のクイズ』ざっくり感想文

          ※ネタバレ注意 本書『君のクイズ』は、「クイズは人生を肯定するか?」という問いをめぐる、思想小説として読むことができると思います。 まず、私なりに小説のあらすじを要約してみます。 メインの登場人物は3人。 ① 語り手であるクイズプレイヤーの「三島」(平均的なクイズプレイヤー像を感じさせる) ② 語り手とクイズで対戦する「本庄」(『頭脳王』に出ていた何某がモデルと思われる) ③ クイズ番組を企画するプロデューサー「坂田」(視聴率ありきで動くリアルなテレビ業界を反映し

          『君のクイズ』ざっくり感想文

          クイズのメタゲーム性について

          (推敲中。) ある日の「Mondo」について 最近、QuizKnockが公開している「Mondo」というゲームがマイブームです。全ての文字が伏字になっている問題文の中からいくつかの字を選んでオープンし、正解を導き出すというものです。 例えば、6月20日のクイズはこんな感じでした。 もし問題文が二字熟語や三字熟語で始まるならば、2文字目を見ることで、その前後が推測できる可能性もある。かりに1文字目がカギカッコであっても、なにかしらヒントを得ることができます。 できるだ

          クイズのメタゲーム性について

          みんはや回想記

          「みんなで早押しクイズ」をふりかえる クイズ愛好家の御用達ともいえるアプリ「みんなで早押しクイズ」がリニューアルするという知らせとともに、公式ツイッターが開設された。 もしかすると、このリニューアルをもって、「みんなで早押しクイズ」(以下「みんはや」と略記)は大きく変わるかもしれない。もともと、画面の上半分を参加者のアイコンと問題文が、下半分を早押しボタンが占めているという簡素なデザインが特徴的だったからだ。プロの声優が演じるキャラクターが出てくるというだけでも、ただごと

          みんはや回想記

          佐藤優は「雑学クイズ王」なのか?(クイズ愛好家の立場から)

          昨年(2021年)、元外交官である作家の佐藤優を名指しで批判した本が出版されました。 題して、『佐藤優というタブー』。 出版社のページによると、 という意図の本らしい。 私は佐藤優という人物について詳しくはないのですが、巷がもっている「クイズ」についてのイメージを把握するのに、ひじょうに役立つ本だと思いました。 ちなみに佐藤優氏は、本書に名誉毀損等の内容が含まれるとして、著者と出版社にたいして訴訟を行っていますが、私が調べた限りでは、この「雑学クイズ王」という強烈な

          佐藤優は「雑学クイズ王」なのか?(クイズ愛好家の立場から)

          日本クイズ史の「東洋的な見方」(ユリイカ『クイズの世界』を読んで)

          (過去に書いたものを加筆修正しました) まえがき『ユリイカ 2020年7月号 特集=クイズの世界』(以下『ユリイカ』と表記)を読んだので、ここに感想をあげていきたいと思います。 もともと習慣としては思想誌を読まないこともあり、日ごろクイズを趣味にしつつも、この『ユリイカ』にもあまり食指が動かなかったのですが、もともと愛読している文筆家などが参加していたこともあり買ってみることにしました。 本書には、大ざっぱにいって三種類の文章がありました。 とりあえず、この順番で感想

          日本クイズ史の「東洋的な見方」(ユリイカ『クイズの世界』を読んで)

          ケアとしてのクイズ

          ケアとクイズとのかかわりケアとはなにか この文章では、クイズがもつ「ケア」的な側面について考えていきたいと思います。「ケア」という言葉には、辞書的には「(老人・病人の)介護・世話」や、「(髪の毛などの)手入れ」という意味があります。また、英語の「ケア」という動詞には、「(人が)(人・物・事を)気にする」「(人が)(人・物・事を)心配する」「(人が)(人・物・事に)関心がある」というふうに訳すことができます。 「ケア」ひとつとっても様々なニュアンスがあるのですが、ここでは、

          ケアとしてのクイズ

          芸術と科学のあいだ(『フェルメールの謎』を見て)

          1.『フェルメールの謎 ~ティムの名画再現プロジェクト~』を見た。 1時間ちょっとなので量としては手軽に楽しめるドキュメンタリーだが、その内容はじつに示唆的だ。 あらすじは、アメリカに住む発明家のティム・ジェニソンが、フェルメールの代表作である『音楽の稽古』を再現するというもの。だがひとくちに再現するといってもその道のりは長い。まずはフェルメール本人の足跡を辿らなくてはならない。 フェルメールは17世紀に活躍した画家だが、一説によると、当時存在していた「カメラ・オブスク

          芸術と科学のあいだ(『フェルメールの謎』を見て)

          クイズにおける「ソウゾウ力」とは?

          1.クイズにおける「ソウゾウ力」とは何だろうか? というのがこの文章のテーマです。 先日(2021年9月10日)放送された「高校生クイズ2021」にかこつけてカタカナにしてみました。 ふりかえると、ここ数年の「高校生クイズ」は、「地頭力」というキーワードを前面に出して、現場における考察力や発想力を試すようなクイズが出されていました。 そして今年は「ソウゾウ脳」をテーマとして、知識だけではない「想像力」と「創造力」が問われるクイズが出題されています。 ところで、これは

          クイズにおける「ソウゾウ力」とは?